大規模医療機関でのシステム切替成功の鍵 診療と並行しながらの合意形成とDentis導入実現までのプロセス

大規模医療機関でのシステム切替成功の鍵 診療と並行しながらの合意形成とDentis導入実現までのプロセス

Dentisをご利用している沖縄県の沖縄医療生活協同組合 協同にじクリニックの上原新翔先生にインタビューを行いました。今回はレセコンを切り替える際に、診療と並行しながらどのようなご準備を行ったり、操作習得をしていったのかお伺いしました。

ーDentisを導入した経緯・背景をお伺いできますか

まず当院では、電子カルテへのリプレイスは3年程前から検討をしていました。紙資料が膨大になってきたのと、利用していたレセコンシステムが14年目に入り、機材なども限界を迎えていました。システムの選定にあたっては、医科電子カルテと連携できるようなことを要件としていました。当院は病院の駐車場に併設されている歯科で、病院の患者様がそのままお越しになる医科併設の歯科となりますので、医科との連携が必須要件でしたがそれが難しく検討は難航していました。

その後、要件の変更があり医科電子カルテと連携せず単独利用でも良いとなったため改めて検討をしました。5〜6のメーカーを比較し、最後はDentisに決定しましたが決定理由は以下の通りです。

  • コスト観点で、最もコストがかからなかった
  • いくつものシステムを入れずに、患者管理・共有、専用の患者向けアプリ、オンライン診療など機能が多岐に渡り今後の展開を見据え拡張性があるものにしたかった
  • 長年実施してきたオペレーションを急に変えるのは難しいが、Dentisには電子カルテ、アクティビティなどのメモ機能、タブレットで写真撮影して取り込みができるなどオペレーションを大きく変えずにiPadなど利用して、デジタルなオペレーションに移行しやすい機能が備わっていた。その結果、オペレーションは一部踏襲しつつ、紙からデジタルへの切り替えもスムーズに行うことができた。
  • 二要素認証や証明書の認証など、セキュリティ観点でも要件を満たしていた

特に、コスト観点では当院が医科も管轄する情報系の部門と端末必要台数を議論し見積もりをするとオンプレ型はサーバーやライセンス費などでかなりの金額になってしまいました。その点、Dentisはライセンスフリーですし、端末も特に指定はなく必要な分を用意すれば良いので、かなり低コストで導入することができました

またこれは余談ですが、検討している最中に台湾の方面で地震があり、当院のエリアに津波の警報がありました。院内サーバーのオンプレ型だと全てのサーバーを退避しないと診療が今後できなくなってしまいます。そういったこともあり、オンプレ型ではなくクラウドでデータ管理する方が最悪の事態でも対応ができるとBCP対策の観点から考えさせられました。

ーシステムを実際に決定する際、複数の方が関わる場合の合意形成についてはどのように実施されましたか

当院は情報系の部門、事務系の部門など複数名の責任者がおり最終的な会議の場で意思決定をもらう必要がありました。関係する部門の責任者とカンファレンスを行い、Dentis営業担当の方にもWEBで面談をしていただくなど、細かい要件をすり合わせて解消しながら最終的にシステム選定を実施しました。例えば情報系の部門だと安全なネットワーク利用だったり、事務系の部門は端末台数は問題ないかなど各部門、気になる点はそれぞれありますので、しっかりすり合わせながら進めていきました。逆に当然ながらシステム系に詳しくない意思決定者もいますので「それはなぜ必要なのか」などきちんとオペレーション観点なども踏まえながら丁寧にすり合わせしていきました。

ーシステムの具体的な選定から稼働に至るまでのタスクとスケジュールをお伺いできますでしょうか

具体的に動いたのは契約の4ヶ月くらい前からで、そこで説明会などを営業担当の方に実施いただきました。契約後はデータコンバートやシステム連携のためのネットワーク整備を行ったり、必要な端末を準備するなどの準備から、実際のオペレーション検討と操作のインストラクションなど時間を設けて実施しました。工程表のようにすると以下のようなスケジュールイメージでした。なお、元々あった紙カルテなどの資料は利用を開始して、患者様がお越しになったら都度スキャナーでPDFにしてDentisにアップロードを開始しています。

Dentis導入の工程表

紙の資料は患者様がお越しになる都度スキャナーでPDFにしてDentisに取り込み。訪問診療にも持参でき、ポータブルプリンタと合わせれば提供文章をDentisで作成しその場で印刷しお渡しも可能です。

ーレントゲンやオンライン資格確認といったシステム間の連携に関して、事前にご準備されたことや調整が必要だったことをお伺いできますか

こちらは当院の情報管理チームが主導してくれました。まずはインターネットを整備することから準備しました。同時にシステム間の連携をするためにメドレーさんのエンジニア担当の方と打ち合わせをして連携ができるためのネットワーク構成を一緒に考える時間をもらいました。その後はメドレーさんと当院が導入しているレントゲンのメーカーさん同士で連携作業をしてくださいましたが、当院のセキュリティの関係でDentisの連携プログラムを阻害してしまうというトラブルもありました。そこもメドレーさんからいわゆるホワイトリストという安全な対象リストをいただいて、改めて作業することで無事連携することができました。連携は遠隔で設定をすることもできて、何かトラブルがあってもすぐ遠隔対応で修正できるので良いなと思います。

ー患者情報等のデータ移行や予約情報の移し替えなどはどのようにされたのでしょうか

まず患者様のカルテ番号・氏名など基本情報は、当院の方でレセコンからCSVデータを出力してお渡しするだけでコンバートしていただきました。過去の診療情報も過去の電子レセプトファイルをお渡ししてコンバートしていただきました。保険情報も電子レセプトの中に含まれているので、患者様の保険情報も移行できましたし、利用開始時点でオンライン資格確認も連携していたので不便はなかったです。あとは、自費や物販なども100件以上と数が多かったのですが、決まった形式のスプレッドシートに記入するとコンバートしていただけたので登録の手間が省けました。予約情報だけは患者様情報のコンバート後に、人力で手分けして操作練習もかねてスタッフで分担登録していきました。予約自体は1週間もあれば半年分くらいの予約は手動でも登録することができました。

ー診療と並行しながら新システムの操作習得を行うにあたって工夫されたことや実践されたことはございますか

まずは主導する私がオンラインのマニュアルを読み込んで、日々のオペレーションに落としこむなら、というのを考えてDentis習得をしていきました。スタッフへの操作説明はメドレーさん側から2回実施いただきましたが、さらに当院では私も診療終わりに3回程スタッフに操作説明を行いました。

初回は不安を払拭する会、2回目はよくある質問と対応、3回目はロープレで患者様が実際に来て診療、会計しておかえりになるまでを通しで実施しました。

ポイントとしては1名、今回のケースですと私が主導でDentis習熟を覚えてメドレーの担当者さんと一緒にスタッフ習熟をしていくという点だと思います。診療終わりに実施をする形で習熟は少し大変でした。また稼働当日は有償にはなりますが立ち会いをお願いして、医院で常にスタッフの質疑に対応できるようにしました。1日まわしてみると、翌日からは慣れたのか問い合わせもなく無事終えることができたようです。

ー特に貴院では複数の関係者が導入にあたってご準備準備されたプロジェクトだと思いますが、何か進捗共有等のために工夫された点はございますか

特に当院は関係者も多いので、Notionというクラウド型のタスク管理ツールでメドレーさんも含めて招待し、タスクの進捗を確認していました。基本はメドレーさんがキックオフで共有いただいたスケジュールに乗せつつ、細かなタスクを切ってそれぞれで対応を進めました。Notion上でさっと「このタスクどうですか」とメドレーさん側にも確認して進めるなど出来てタスク管理は関係者は多かったですが概ね順調に出来たと思っています。

ーDentisを導入してからのオペレーションの工夫はありますか

基本は今までのオペレーションを踏襲しつつ、「iPadで写真にする」「紙ではなくサブカルテのアクティビティコメント欄に記入する」など少しずつオペレーションを最適化するように工夫しています。当院のスタッフは年齢幅も広く、シニアのスタッフはiPadだと少し文字が小さく最初は忌避感があったのですが、バックヤードに65インチモニターを設置し、外付けでタッチパネル化できるフレームをつけました。通常は予約画面を映して「診療待ち」のステータスを確認し、ずっと待たせている患者さんがいないかチェックしていますが、シニアスタッフはそのモニターでカルテ入力しています。そうすると大きなモニターで見えやすいので一気に忌避感がなくなったのと、他のスタッフもすぐ横からタッチしながらサポートができるので、当院バックヤードに革命が起きました。大型モニターでスタッフ間の助け合いが発生して、導入して良かったなと思いました。

大型のモニターをタッチパネル化して予約を確認

タブレットでもPCでも、接続した大型のモニター(PCと接続)でもカルテを入力

もう1点、当院医科の方ではバーコードを読み取る機器を使っておりますが、それが一部余っていたため、Dentis運用時に取り入れました。具体的には、決まった文言をバーコード化し、入力効率化を行いました。メモ欄を選択しバーコードを読み取ると決まった文言がメモ欄に登録されます。今はそれを使ってメモ欄にユニット名を登録する運用にしました。当院では以前利用していた予約表の見方をそのまま運用したく、そうするとどのユニットに患者様がいるかわからないのでメモ欄に記載しています。毎回手入力は大変なのでバーコードで登録しています。

事前に決めた文字をバーコード化し、リーダーで読み取ってDentisメモ欄に登録する様子

あとは困った時にはDentis上のチャットサポートで聞くようにしています。チャットで解決できるのと、場合によっては遠隔ですぐに確認してくれるのでありがたいです。Dentisを入れてからカルテを見たい時にパッと見れるようになりましたし、分析機能で何の処置を誰が何回算定した、などすぐにデータも取り出せるので非常に便利になったと思います。


上原先生ありがとうございました。

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