【2022年度】診療報酬改定の概要|基本的視点と具体的な方向性をわかりやすく解説します!

【2022年度】診療報酬改定の概要|基本的視点と具体的な方向性をわかりやすく解説します!

2023年09月11日

2022年度の診療報酬改定は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、大きな変化が行われました。医療現場の働き方やサービスの質を向上させるために、どのような施策が実施されたのでしょうか?この記事では、診療報酬改定の概要や基本的視点と具体的方向性をわかりやすく解説します。

2022年度診療報酬改定の概要

診療報酬改定とは、医療保険制度のもとで医療機関が提供する診療行為や医薬品などに対する報酬額を見直すことです。診療報酬は、国民の健康や医療の質、医療費の抑制、医療従事者の働き方などに大きな影響を与えます。
診療報酬改定は、原則として2年に1度行われます。2022年度の改定は、新型コロナウイルス感染症への対応や医師の働き方改革などを踏まえて特別な内容となりました。

全体では0.94%のマイナス改定となり、医療現場には厳しい影響が予想されます。2022年度診療報酬改定の概要を改定スケジュール、基本方針、改定率の3つの観点から紹介します。
参考:令和4年度診療報酬改定について|厚生労働省

基本方針

  • 新型コロナウイルス感染症への対応の強化と感染拡大防止のための医療提供体制の確保
  • 医師(医者)の働き方改革の推進や、安心・安全で質の高い医療の実現、持続可能な医療提供体制の構築
  • 医療費抑制のための適正な診療報酬算定や薬価・材料価格の引き下げ
  • 地域包括ケアシステムや在宅医療・介護の充実
  • 医療技術や医薬品等のイノベーションの促進


改定率

項目 改定率
診療報酬 +0.43%
薬価 -1.35%
材料価格 -0.02%
全体 -0.94%


薬価は令和4年3月4日時点で決定したものであり、今後変更される可能性があります。令和4年度診療報酬改定は、新型コロナウイルス感染症への対応や医療提供体制の強化などを踏まえたもので、診療報酬本体は0.43%増額されました。

これには、不妊治療の保険適用や看護職員等の処遇改善などの0.40%分を含む国費300億円が含まれていますが、これは令和5年度予算案に盛り込まれたものです。

一方、薬価や材料価格は後発品への置換えが進まない先発品や長期収載品などに対する引き下げが大きく影響し、それぞれ1.35%と0.02%減額されました。そのため、全体(ネット)改定率は0.94%減額となります。

診療報酬本体は増額されましたが、薬価・材料価格の引き下げが大きかったためです。令和4年度診療報酬改定は、国民の健康や医療従事者の働き方に大きな影響を与えるものであり、今後の実施状況に注目が集まります。
参考:2022年度の診療報酬改定率は0.43%に決定

2022年度診療報酬改定の基本的視点と具体的方向性

診療報酬改定は、医療の質や効率、医療従事者の働き方、国民の健康などに大きな影響を与えます。

令和4年(2022年度)改定で、挙げられている重要なポイントは以下の4つです。

  • 新興感染症における対策の継続
  • 医師の働き方改革の推進
  •  かかりつけ医の機能強化
  • 医療DXの推進

それぞれについて詳しく紹介します。

新興感染症における対策の継続

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療提供体制に多大な影響が生じ、地域医療の様々な課題が浮き彫りとなりました。

今後、新興感染症等が発生した際に、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えるなど
円滑かつ効果的に対応できるような体制を確保することが必要です。

そのためには、医療機能の分化・強化、連携や、地域包括ケアシステムの推進、かかりつけ機能の充実等の取組を着実に進める必要があります。具体的な方向性としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 外来感染対策向上加算の新設

    診療所において、平時からの感染防止対策や地域の医療機関との連携を推進するために、外来診療時に6点の加算ができるようになった。

  • 感染防止対策加算の見直し

    感染対策向上加算に名称を変更し、入院時に710点、175点、75点の加算ができるようになった。また、感染症対策に関する助言やサーベイランスへの参加などについても加算が新設された。

  • 地域医療支援病院の指定要件や施設基準の見直し

    地域医療支援病院は、新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築するために重要な役割を担う医療機関。2022年度改定では、地域医療支援病院の指定要件や施設基準を見直し、一般病床の数や看護配置、診療科や設備等について厳格化した。

医師の働き方改革の推進

医師等は長時間労働や過重な業務負担により、健康や生活に支障をきたすことが多くあります。

医師等が高い専門性を発揮できる環境の整備を加速させるとともに、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点にも留意しながら、主に勤務医の先生の労働時間の規制を進めるものになります。

具体的な方向性としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進
  • 各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進
  • 業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価
  • 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保


医師の働き方改革の背景には、医師等が長時間労働や過重な業務負担により、健康や生活に支障をきたすことが多くあるという現状があります。厚生労働省が2020年に実施した「医師等の勤務実態調査」によると、医師等の平均月間勤務時間は約200時間であり、約4割が過労死基準(月間80時間超)を超えていました。

また、約6割が休日出勤しており、約3割が年間休日数が60日未満でした。このような過酷な労働環境は、医師等の健康や生活に悪影響を及ぼすだけでなく、医療ミスや院内感染などのリスクを高める可能性もあります。

この課題に対応するためには、2024年4月から始まる制度として、「医師の時間外労働の上限規制」や「面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等の実施」を含む一連の法改正になります。医師の労働時間に関する取り決めを中心とした労働時間の規制が進められます。
参考:08 参考資料3 医師の勤務実態について

かかりつけ医の機能強化

かかりつけ医は、患者の健康管理や疾病予防、診断・治療、在宅医療や専門医療への適切な紹介など、患者にとって身近でわかりやすい医療を提供する重要な役割を担っています。

かかりつけ医機能に係る診療報酬上の措置を見直すことで、かかりつけ医機能の充実や外来医療の機能分化・連携をさらに推進させる見込みです。具体的な方向性としては、以下のようなものが挙げられます。

  • かかりつけ医料(基本料)や予防接種管理料(基本料)等の算定要件や算定方法の見直し
  • かかりつけ医料(基本料)や予防接種管理料(基本料)等と併せて算定できる加算や減点等の見直し
  • かかりつけ医料(基本料)や予防接種管理料(基本料)等と併せて算定できる加算や減点等とは別に算定できる加算や減点等の見直し
  • かかりつけ医機能を有する医療機関が提供する在宅医療や訪問看護等への評価


かかりつけ医機能の強化の背景には、少子高齢化や生活習慣病の増加だけでなく、新型コロナウイルス感染症の流行や医師等の働き方改革等の推進など、社会的な課題があります。

少子高齢化に伴い、高齢者や多重疾患者の数が増え、医療ニーズが多様化しているためです。また、生活習慣病は、早期発見・早期治療が重要であり、予防的な医療が求められています。

新型コロナウイルス感染症の流行は、オンライン診療や遠隔医療などのICTを活用した医療の必要性を高めています。そして、医師等の働き方改革等の推進は、大病院への患者集中を抑制し、かかりつけ医である診療所や中小病院への受診を促すことで実現が可能です。

医療DXの推進

医療DXとは、医療におけるデジタルトランスフォーメーションのことで、ICTやAIなどの技術を活用して、医療の質や効率を向上させることを目指すものです。令和4年度診療報酬改定では、医療DXの推進を重要な視点として位置づけ、以下のような取り組みが行われました。

  • オンライン診療やオンライン処方箋発行などの遠隔医療サービスの拡充
  • 電子カルテや電子レセプトなどのデジタル化の促進
  • AIやIoTなどの先端技術を活用した医療サービスの開発や評価
  • 医療情報システムの標準化や相互運用性の確保


これらの取り組みは、新型コロナウイルス感染症等への対応や医師等の働き方改革にも貢献することが期待されます。また、患者にとっても、オンラインで予約や問診ができたり、キャッシュレスで決済ができたりすることで、より便利で快適な患者体験が提供されます。

クラウド型業務支援システムDentisは、Web予約、Web問診、ビデオ通話などの患者支援機能と、カルテ、レセコン、サブカルテなどの業務効率化機能があり、医療DXに最適なシステムです。

施設基準の変更点

令和4年度診療報酬改定では、新型コロナウイルス感染症等への対応や医療提供体制の強化などを目的として、さまざまな施策が実施されました。それらの施設基準の変更点について説明します。

新設された施設基準

【紹介受診重点医療機関】

外来機能報告対象病院等とは、医療法に基づいて定められた保険医療機関です。保険医療機関は、外来医療を提供する基幹的な病院として都道府県に公表されています。

このうち、紹介受診重点医療機関となる意向のある保険医療機関は、都道府県知事から認定を受けられます。認定された紹介受診重点医療機関は、紹介受診重点医療機関入院診療加算(900点)や紹介受診重点医療機関外来診療加算(100点)の算定が可能です。

紹介受診重点医療機関は、地域における専門的な医療を提供するとともに、かかりつけ医や他の医療機関と連携し、紹介・逆紹介を円滑に行うことが求められます。

【在宅医療支援専門施設】

在宅医療支援専門施設とは、在宅医療を提供する保険医療機関の一種です。この施設になるには、都道府県知事から認定を受ける必要があります。

認定された施設は、在宅医療支援専門施設加算(300点)や在宅医療支援専門施設入院加算(600点)を算定できるようになります。

令和4年度診療報酬改定では、紹介受診重点医療機関や在宅医療支援専門施設といった新たな施設基準が設けられました。これらの施設は、地域における医療の連携や質の向上に貢献することが期待されます。

見直しされた施設基準

【地域包括ケア加算】

地域包括ケア加算は、地域包括ケアシステムの推進に貢献する保険医療機関が算定できる加算である。令和4年度改定では、地域包括ケア加算Ⅰ(200点)と地域包括ケア加算Ⅱ(100点)を統合し、地域包括ケア加算(300点)とするとともに、算定要件や施設基準を見直す。地域包括ケア加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要がある。

  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を行っていること
  • 地域包括ケア病棟入院料の施設基準を満たしていること
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組に関する報告書を都道府県知事に提出していること
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組に関する報告書が都道府県知事から承認されていること
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組に関する報告書に基づき、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を実施していること
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組の実施状況を都道府県知事に報告していること
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた取組の実施状況が都道府県知事から承認されていること


【地域医療支援病院】

地域医療支援病院は、地域医療支援病院として厚生労働大臣から指定された保険医療機関である。
令和4年度改定では、地域医療支援病院の指定要件や施設基準を見直す。地域医療支援病院の指定要件は、以下のようになる。

  • 一般病床の数が200床以上であること
  • 一般病床のうち、看護配置7対1以上の入院基本料(特別入院基本料等を除く)を算定できるものが50%以上であること
  • 一般病床のうち、看護配置10対1以上の入院基本料(特別入院基本料等を除く)を算定できるものが80%以上であること
  • 総合診療科及び救急科を設置していること
  • その他、地域医療支援病院として必要な診療科や設備等を有していること


まとめ

2022年度の診療報酬改定は、地域の医療機能の強化と在宅医療の質向上を重視し、新たな施設基準を創設しました。さらに、新型感染症対策や働き方改革の一環として、医療DXが位置づけられました。これは、ICTやAIの力を借りて医療の質と効率性を高める取り組みで、歯科医院でも同様に取り組むことで、業務の効率化と患者満足度の向上が期待できます。

クラウド型業務支援システムDentisは、Web予約、Web問診、ビデオ通話などの患者支援機能と、カルテ、レセコン、サブカルテなどの業務効率化機能があり、医療DXに最適なシステムです。

ブログ一覧に戻る