クリニックスタッフの離職率が高い3つの理由|適正人数や離職率を下げる方法をわかりやすく解説!
2023年07月27日
「スタッフが定着しないことが悩み」「常に人手不足状態にある」。このような悩みがある先生は少なくないはずです。スタッフが定着しないのは職場環境が原因かもしれません。そこで本記事では、クリニックスタッフの離職率が高い3つの理由から適正人数、離職率を下げる方法まで解説します。
スタッフの離職率を下げたいと考える場合は、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
クリニックにおけるスタッフの適正人数とは?
クリニックにおけるスタッフの適正人数の考え方として「最大患者数の70%」を目安にするものがあります。たとえば、1日に100人の患者が来院するとして、その70%にあたる70人に対応するために必要なスタッフ数を計算してみてください。
一般的に来院患者20人につき1人のスタッフが適正とされており、この場合は4人程度の配置が目安です。自分が開業している予定地のリサーチを実施し、混雑する時間帯などを配慮しておくと、さらに適正なスタッフ数を配置しやすくなります。
適正人件費を算出する方法
適正人件費を算出する方法は、クリニックの収入から計算する方法が挙げられます。一般的に、適正な人件費の割合は収入の15%とされており、たとえば、クリニックの年間収入が5,000万円だとすると、以下のように計算することが可能です。
- 5,000万×15/100=750万円
この場合、750万円の人件費で雇える正社員は多くても2人が限界だといえます。もちろん、この計算から算出できる人件費は目安となり、パートの比率を増やすことなどで雇える人数を増やすことは可能です。注意点としては、待遇を悪く設定すると長く働いてもらえなくなる点が挙げられます。
常勤スタッフとパートスタッフのバランス
常勤スタッフとパートスタッフのバランスについても考えておくことが、円滑にクリニックを運営するうえで大切なことです。時間単位で給与が発生するパートは、人件費を抑えやすいかもしれません。
しかし、パートの人数を増やしすぎると、シフトの時間がかぶりどちらかを休ませなければならないなどの問題も発生してしまいます。円滑にクリニックを運営するには、常勤スタッフを中心に雇用して不足する労働力をパートで補うように配慮することがポイントです。
クリニックにおける離職率の現状
「2022年病院看護実態調査」によると、2021年度の離職率は以下の通りです。
- 正規雇用看護職員離職率:11.6%
- 新卒看護職員離職率:10.3%
- 既卒看護職員離職率:16.8%
上記は、全国の平均値となり、地域によって離職率には大きな差が見られます。また、傷病休暇の取得状況を見てみると、2021年度に7日以上連続した傷病休暇を取得した正規看護師がいたと回答している病院は86.5%(内メンタルヘルス不調者がいたと回答した76.1%)です。
一般的に休職者の2人に1人は退職してしまうとされているため、看護師の労働環境では、離職の大きな原因となっていると考えられます。
参考:2022 年 病院看護・助産実態調査 報告書
クリニックスタッフの離職率が高い3つの理由
クリニックスタッフの離職率が高い理由には、以下の3つが挙げられます。
- スタッフ1人あたりの業務量が多くなりやすい
- 人間関係の問題が生じやすい
- 転職という選択肢を取りやすい
ここではそれぞれに分けて解説します。
1.スタッフ1人あたりの業務量が多くなりやすい
クリニックは、人手不足が常態化していることが多い職場です。そのような労働環境下では、スタッフ1人あたりの業務量が多くなりやすい傾向にあります。
長時間労働が続くと、心身ともに疲労が溜まってしまいかねません。また、慢性的に人手不足のクリニックなどでは休暇を取得することが難しいことも考えられます。
そのため、体調を崩したことから休職につながり、いずれ離職してしまうおそれが高まってしまいます。なお、クラウド歯科業務支援システムDentisは、Web予約管理と柔軟にカスタマイズできるメッセージ配信機能に対応しており、スタッフの業務効率化につながる機能を提供します。
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2.人間関係の問題が生じやすい
クリニックは、医師・スタッフ間の連携が求められます。規模にもよりますが、クリニックは数名の医師・看護師・事務スタッフで構成されているケースがほとんどです。それぞれの関係性がこじれてしまうと、修復できないまま溝が拡がる場合も考えられます。
また、看護師や受付スタッフは女性が多い職種です。そのため、個々のライフスタイルによって、勤務変更を余儀なくされることがあり、これが繰り返されると悪い感情を抱きやすいことも原因となります。職場における人間関係の問題が生じると、離職率が高まります。
3.転職という選択肢を取りやすい
医療業界は、慢性的な人手不足状態にあります。さらに、専門知識や経験が求められるため、転職先がたくさんある職種です。そのため、退職したとしても簡単に転職することができます。
1つの病院・クリニックに勤め続けると考えなくてもよいことが、離職率を高める理由のひとつです。また、日本人と看護師の平均転職回数を比べてみると、看護師の方が上回っていることがわかります。
- 日本人の平均転職回数0.89回
- 看護師の平均転職回数1.1回
クリニックスタッフの離職率を下げる5つの方法
クリニックスタッフの離職率を下げる方法には、以下の5つが挙げられます。
- スタッフにしかるべき価値を提供する
- シフトの見直しを行う
- 教育体制の構築・見直しを行う
- スタッフのニーズにあった設備を導入する
- 不平や不満が表に出ている間に対応する
ここではそれぞれに分けて解説します。
1.スタッフにしかるべき価値を提供する
スタッフにしかるべき価値が提供できていないクリニックは、離職率が高い傾向にあります。ここで指す価値とは、金銭的な報酬ばかりではありません。
業務を円滑に行うために欠かせない指導や職場環境、正当な評価などが挙げられます。一気に改善することは難しいかもしれないが、スタッフへのヒアリングを元に優先度が高いものから取り組むことで離職率を下げる効果が期待できます。
2.シフトの見直しを行う
クリニックで離職率を高める理由のひとつとして、精神的・肉体的な疲労が挙げられます。看護職や介護職は長時間労働しやすい職種であるといえ、長年の疲労が蓄積しやすい傾向です。
忙しさを緩和するには、シフトの見直しが欠かせません。人員を増やさなければならなくなりますが、離職率を低く抑えることができれば、新規採用するためのコストを割く必要がなくなります。そのため、長期的な目線で見ると人件費 を抑制することが可能です。
3.教育体制の構築・見直しを行う
新しく採用したスタッフが定着しない場合、教育体制に不備があるおそれが考えられます。その場合、教育体制の構築・見直しを検討しなければなりません。チェックしたいポイントは以下の通りです。
- 業務手順の伝え方を統一しているか
- フォロー体制は十分なものか
- 気軽に質問しやすい環境か
この中でも、業務手順の伝え方が教える人によってばらつきがあると混乱させる原因となります。さらに、教わった業務をしてもほかの人から叱られると、働く意欲を失いかねません。
4.スタッフのニーズにあった設備を導入する
スタッフの離職率を下げるには、ニーズに合った設備の導入も効果的です。たとえば、スタッフルームを過ごしやすい環境にすると、勤務中に溜まった疲労やストレスを回復させることが期待できます。
その他の設備としては、電子レンジや冷蔵庫、ポットを設置して食事しやすいように配慮するとよいかもしれません。また、休憩中に患者とすれ違わないような場所に設ける工夫も必要です。スタッフの要望をヒアリングし、ニーズに応じた設備を導入することをおすすめします。
5.不平や不満が表に出ている間に対応する
不平不満が表面に出ている間は、適切に対応できるタイミングといえます。もし、不満があって退職したような場合、ほかのクリニックで以前の勤務先の愚痴をこぼしてしまう ことがあるかもしれません。
しかし、現場が不満に思うことが見えづらいことも考えられます。その場合、匿名アンケートを実施することがおすすめです。アンケートを行い、職場の不満に気づくことができれば適切な対処法を考えられるようになります。職場環境を改善できれば、スタッフのモチベーションを高め、離職率を下げることが期待できます。
まとめ
クリニックスタッフの離職率が高い理由や、退職する人を減らす具体的な方法について解説しました。クリニックのスタッフは、業務負荷が高いことが多く、精神的・肉体的につらくなってしまうことが多い職種です。
そのため、適正な人員配置を心がけ、職場環境を整えることが離職率を低下させるために有効な手段だといえます。まずは、現場スタッフ1人ひとりの意見を聞き取り、不平不満の原因を明確にすることから取り組んでみてください。
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