小児矯正治療の取り組みから見える、オンライン診療の患者ニーズとは 【セミナーレポート】

小児矯正治療の取り組みから見える、オンライン診療の患者ニーズとは 【セミナーレポート】

2022年08月08日

皆さま、こんにちは。Dentis開発ディレクターの山本です。先日7月21日 (木) に、I Dental Clinicの井上敬介先生をお招きして「小児矯正治療の取り組みから見える、オンライン診療の患者ニーズとは」と題して、セミナーを開催いたしました。その様子をダイジェストでご紹介します。

セミナー概要

コロナ禍において、注目を集めたオンライン診療。新しい通院の形として注目される一方で、処置がメインとなる歯科においては、「オンラインで何ができるんだろう」と疑問の声も多く聞かれます。
歯科のオンライン診療に興味がある方や、実際の映像を見てみたい方、オンライン診療に最適なITシステムを知りたい方は、ぜひご一読ください。

※レポートにまとめるにあたって、内容を一部加筆・修正しております
※ お申し込みいただいた歯科医療従事者の方限定で、セミナーの録画動画を配布しております

登壇者紹介

井上 敬介 (医療法人真稜会 I Dental Clinic 院長)
愛知県常滑市で医療法人真稜会I Dental Clinicで院長を務める。小児期における口腔機能発達不全による歯列不正の予防に力を入れている。コロナ禍を迎える前から、患者様のニーズに応えて、いち早くオンライン診療を取り入れた。

立花 茜 (株式会社メドレー Dentis事業部 カスタマーサクセス)
歯科衛生士として歯科医院に勤務後、歯科医院向けの営業・コンサルを経て、2020年に歯科業務支援システムDentisの立ち上げメンバーとして株式会社メドレーに入社。現在はDentisのカスタマーサクセスを担当している。


最初の接点となる「歯ならび説明会」

井上先生:
まずは、患者様向けの啓発活動として「歯ならび説明会・勉強会」と題して、様々な情報発信をするオンライン勉強会を1ヶ月に1回開催しています。歯並びを治すことの重要性・必要性や矯正治療がオンライン診療で可能であることなど、実際の治療イメージも含めて詳しく説明します。この勉強会で歯並びの重要性を理解した患者様と、小児矯正治療に関する個別のカウンセリングをオンラインで実施しています。

コロナ禍で加速したオンラインの通院

井上先生:
約2年前でしょうか。コロナ第1波では、診療自粛をする医院も多くありました。当院も漏れることなく1ヶ月半の診療自粛をしました。当然ながら売上も下がりましたし、通院中の患者様の治療もできなくなりましたので、休んでいるだけではいけないとオンライン診療システムの導入を決めました。Dentisの前身となるCLINICSを導入し、説明会にスタッフ全員で参加して、全ユニットで同時刻に歯科衛生士がオンライン診療を実施できる体制を構築しました。これにより、オンライン診療で可能な治療が継続できるようになりました。


井上先生:
矯正治療においてはオンライン診療の相性がいい場面がいくつかあります。啓発のカウンセリング、矯正治療を始める前の相談や筋機能療法、矯正治療中のカウンセリングなどでは実際にオンライン診療を活用しています。

特に「筋機能療法」では、トレーニングのための通院の頻度が高く、親御さんにとって負担となることも多くなります。はじめの3ヶ月間は週に1回、その後1年間は月に1回。1年3ヶ月の期間をかけて、24回の治療をすることで、お子様の習癖を直していきます。はじめに集中的にトレーニングを行うことで飽きることなく、コンプライアンスを維持しながら歯並びを直していくことができます。他の習い事があったり、ご兄弟がいたり、夕食の準備もしないといけない…という中で、医院まで連れていくことが時間的にもタイトな状況となります。そのため、当院では4回のうち3回はオンラインでも受診可能な体制を整え、患者様が選択できる通院手段を広げるようにしています。


ゲーム感覚でお子様もノリノリなオンライン筋機能療法

井上先生:
オンラインでの診療は質が落ちるのではないかと心配される声も多く聞きますが、今の子供達はタブレットやPCを触ることが好きだし、上手に使いこなします。まるでゲームをしているかのような感覚で楽しみながら参加してくれることが多いです。患者様側の画面でご自身の映像も確認してもらえるので、対面だと手鏡を持ちながらやっていた口の動きの確認を、映像上で簡単に行うこともできます。対面の良さはもちろんありますが、決してオンラインが引けを取るわけではないと感じています。ずっとオンラインでしか会ったことがなかったトレーナーのお姉さんと対面であったときは、テレビ越しに見ていた有名人に初めて会えたかのように喜んでくれることも多いです。

お家でリラックスした状態で楽しく診療できるという効果もあり、お気に入りのおもちゃを紹介してくれたり、リアルの診療以上に仲良くなれるようなこともあります。

また、画面を共有して、術前と経過途中の比較資料を見せながら治療の状況をわかりやすく確認できる点も大きなメリットです。治療によってどのくらい良くなっているのかというのが中々把握しづらいので、治療経過の状況をわかりやすい形でしっかりと共有していく事は重要だと考えています。

オンライン診療専用システム導入のメリット

井上先生:
ビデオチャットのシステムは世の中にたくさんありますが、オンライン診療専用のシステムを導入するメリットはいくつかあります。まずは、クラウドで全ての情報が一元管理されているので、患者様だけでなくスタッフ側も自宅から診療対応をすることができることです。現在第7波が来ている状況ですが、また自粛要請のようなものが出た場合にも対応が可能です。予約管理や資料の共有までできるので、これまで紹介してきたオンライン診療のクオリティーを落とさずに継続できます。また、私がオンライン診療システムを導入している一番の決め手となっている点は「治療費の請求」ができることです。一般のオンラインツールでは、治療費の請求ができず医院・患者双方の負担になることが多くなります。予約〜診療〜請求までオンライン診療で必要になる機能が全て1つにまとまっている点が、専用システムを導入する一番のメリットであると考えています。

時代にあった形で診療を提供する

井上先生:
コロナの流行により時代は大きく変わりました。オンラインが特別なものではなく当たり前、オンラインだから劣ることはなく、患者様からも求められている時代だと考えています。医療従事者側が、オンラインに抵抗を示して、サービスが劣ってしまうかもしれないと言っている状況ではなくなったのかなと思います。オンライン診療が目的ではなく、提供するべき診療というサービスを時代にあった提供方法で患者様に届ける必要があるのだと思います。

オンライン診療の始め方

立花:
オンライン診療をいざ始めてみようと考えた際に、様々なハードルがあり中々運用がうまく構築できないとの声を多く頂戴します。普段の業務に対応しながら新しいシステムを導入したり、患者様への案内を開始したりすることは現場にも大きな負担がかかることがあります。

新しいシステムを導入したのに、業務システムが複数に渡ることでオペレーションが複雑化してしまうことも多く見受けられます。1つのシステムで業務全てを完結することが重要だと考えています。弊社が2022年1月にリリースした業務支援システムDentisは、このような考えのもと、歯科業務をワンストップに支援するというコンセプトで作られています。

新しい挑戦は入れ歯と一緒!?

司会: 
参加いただいた方から「新しいことを取り入れたいのですが院内のオペレーションを変えるハードルが高いのですが、どのように取り組まれていますか」という質問が来ております。

井上先生:
何事も変えるということにはハードルはつきものです。変えたあとの方が効率的であったり、スムーズで便利なものであるというのがわかっていたとしても「変える」ということには労力が必要になります。歯科関係の皆さんにわかりやすい例でいうと「入れ歯」と一緒かなと思います。新しくきれいで正しいかみ合わせのものを作れば、絶対にうまくいくかといえば決してそうではない。汚くても、慣れている旧義歯のほうが楽。新しく作り直したら噛めるようになるまでには、それなりに労力が必要になってくる。でもどこかで新しくする必要が出てくるので、そのときには辛抱して労力をかけて変えていくしかないんです。デジタル機器の導入も一緒で、先を読む目を持って取り組んでいく必要があると思っています。システムを入れたらおわりではなく、あくまでツールは診療等を効率的に行うことを支援するものでしかないことを念頭に置く必要があると思います。

さいごに

ということで、イベントの様子をダイジェストでご紹介しました。普段は中々見られない具体的な事例映像もたくさんご紹介いただき、イベントは大いに盛り上がりました。実際の症例映像をたくさん取り入れながらご解説いただき、「お子様がこんなに楽しくオンライン診療をできるとは思わなかった」「リアルよりも口腔内を近くで見れるメリットもあって、相性がいい診療があることを実感できた」と、参加された皆様からもお喜びの声をいただきました。本セミナーの様子はお申し込みいただいた方限定で、録画配信をしていますので、ぜひお問い合わせいただければと思います。

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