【院長向け】訪問歯科診療の始め方は3ステップ|必要書類やよくある質問もわかりやすく解説!

【院長向け】訪問歯科診療の始め方は3ステップ|必要書類やよくある質問もわかりやすく解説!

2023年08月23日

訪問歯科診療の導入を考えているけれど、何から手をつければいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、訪問歯科診療のスタート方法をわかりやすい3つのステップに分けて具体的に紹介します。これから訪問歯科診療を始めたいと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

訪問歯科の始め方は3ステップ

訪問歯科の診療報酬の計算方法や制度について理解し、情報を収集することが大切です。

【ステップ1】訪問歯科の情報を収集する

  • 診察料の算定

    診察料は医療保険を通じて算定される。

  • 保険請求の種類

    訪問先と介護保険の有無により、管理・指導の保険請求方法が変わる。訪問先が福祉施設であれば医療保険を使用し、居宅であれば介護保険の有無で請求方法が異なる。

  • 介護保険の選択

    訪問先が福祉施設なら、医療保険で施設入居時等医学総合管理料と訪問診療料を請求する。居宅なら、介護保険があれば居宅療養管理指導と予防居宅管理指導を、なければ在宅時医学総合管理料と訪問診療料を医療保険で請求する。

  • 訪問先の確認

    訪問先が施設扱いか居宅扱いかによっても請求方法が変わる。有料老人ホームやケアハウス、グループホームなどは施設と呼ばれるが、実際には居宅扱いになる。

  • 訪問歯科診療の範囲

    訪問歯科診療を算定できる範囲は、保険医療機関の所在地から半径16km以内。

  • 交通費の負担

    往診に要した交通費は患者側の負担になり、自家用車の費用は交通費に含まれる。しかし、自転車やスクーターの費用は往診療に含まれているため、患者の負担になる交通費には含まれない。

これらの情報を収集することで、訪問歯科診療の制度や計算方法について理解できます。しかし、これらの情報を入力したり整理したり確認したりすることは大変です。

クラウド歯科業務支援システムDentisを使えば、訪問歯科診療に必要な情報を一元管理でき、カルテ作成やレセプト出力などの業務が効率化できます。

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【ステップ2】届出が必要な内容を確認する

歯科訪問診療を行う場合、所定の施設基準の届出を行う場合と行わない場合では算定できる歯科訪問診療料や加算の種類が異なり、同じ処置でも診療点数に違いが生じます。訪問歯科の実施を検討する段階で必要な届出を確認しておくと良いでしょう。

届出には種類や条件があるので、一度提出すればいいものや、都度申請しなければならないものがあります。

訪問歯科診療を行う歯科診療所としての施設基準の届出

  • 訪問歯科診療料に係る届出
  • 在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の届出
  • 在宅歯科医療専門の在宅療養支援歯科診療所(歯専診)の届出

訪問歯科診療に関する加算や管理料の届出

  • 在宅歯科医療推進加算の施設基準
  • 地域医療連携体制加算の施設基準
  • 在宅患者歯科治療時医療管理料の施設基準

生活保護や中国残留邦人等支援法指定機関としての届出

  • 生活保護および中国残留邦人等支援法指定「医療」機関指定申請書
  • 生活保護および中国残留邦人等支援法指定「介護」機関指定申請書

【ステップ3】必要な機材や道具を用意する

訪問歯科診療では、訪問先の環境や患者の状態に応じて柔軟に機材や道具を選択することが重要です。機材や道具は常に清潔に保ち、消毒や滅菌を行うことが必要です。

  • 書類関連

    カルテ、処方箋、領収書、ケアマネージャーへの報告書

  • ライト

    手持ちのライト、ヘッドライト

  • 口腔内清掃用具

    歯ブラシ、ガーグルベース、歯磨きティッシュ、コップ、舌ブラシ、スポンジブラシ、歯磨剤

  • 衛生材料

    ガーゼ、ペーパータオル、ウェットティッシュ、新聞紙、ゴミ袋

  • 診査器具

    ミラー、ピンセット、探針、エキスカベーターなどの基本セット

  • 治療用器材や道具

    ガスバーナー、エンジン、ポータブルユニット、携帯用レントゲン、吸引器

  • 状態確認用器材

    血圧計、心電計、パルスオキシメーター

  • その他

    クッション、タオル、バスタオル

訪問歯科の受付時に必要な書類

訪問歯科を始めるためには、事前にいくつかの書類を用意しておく必要があります。代表的な書類とその内容について紹介します。

1.診療申込書兼同意書

診療申込書兼同意書とは、訪問歯科診療を希望する患者や家族が、訪問歯科医院に提出する書類です。患者の基本情報や健康状態、かかりつけ医の情報、保険の種類や番号、訪問歯科診療の目的や希望日時、治療費用の支払い方法などが記入されます。

また、患者や家族が、訪問歯科医院の規約や注意事項に同意する旨の署名や捺印も必要です。この書類は、初回の訪問前に郵送やFAXなどで送付するか、初回の訪問時に直接手渡すことが一般的です。

確認項目

診療申込書兼同意書を作成する際には、以下の点に注意してください。

  • 患者の氏名や住所などの基本情報は正確に記入する
  • 保険の種類や番号は必ず確認
    保険証のコピーを添付するとより確実です
  • かかりつけ医の情報はできるだけ詳しく記入する
    連絡先や主治医の氏名、主な病名や薬剤などがあれば記載すること
  • 訪問歯科診療の目的や希望日時は明確に記入する
    具体的な主訴や治療内容、希望する時間帯や頻度などを伝える
  • 治療費用の支払い方法は事前に確認
    自己負担分や交通費などはどう支払うか、銀行振込や自動引落しの場合は口座情報を記入する
  • 規約や注意事項は必ず読んで理解し、不明な点があれば質問する。

依頼者・提出方法

診療申込書兼同意書の依頼者は、患者本人や家族、ケアマネージャーや施設職員などです。依頼者は、訪問歯科医院に電話やメールなどで連絡して、訪問歯科診療の希望を伝えます。

その際に、訪問歯科医院から診療申込書兼同意書の書式や提出方法を教えてもらいます。提出方法は、郵送やFAX、メール添付などです。

依頼者は、診療申込書兼同意書を作成して、指定された方法で提出します。初回の訪問時に直接手渡すこともできますが、事前に送付することでスムーズに診療が開始できます。

2.居宅療養管理指導契約書

居宅療養管理指導契約書とは、訪問歯科医院と患者や家族が、居宅療養管理指導を受けることについて合意する書類です。

居宅療養管理指導契約書には、患者の基本情報や保険の種類や番号、居宅療養管理指導の内容や期間、費用の負担や支払い方法などを記入します。

その際、患者や家族が居宅療養管理指導の規約や注意事項に同意する旨の署名や捺印も必要です。居宅療養管理指導を開始する前に作成して、訪問歯科医院に提出します。

3.治療内容報告書

治療内容報告書とは、訪問歯科医院が患者に行った治療内容や次回の予定を記録する書類です。
患者の基本情報や訪問日時、治療内容や使用した器具や薬剤、次回の予定日時や治療内容などを記入します。

治療内容報告書には訪問歯科医師と患者や家族が、治療内容や次回の予定に同意する旨の署名や捺印も必要です。訪問歯科医院が毎回作成して、患者や家族に手渡します。

訪問歯科診療の終了時に必要な書類は2つ

訪問歯科診療を終了する際には、患者や関係者に必要な情報を提供するために、いくつかの書類を作成する必要があります。ここでは、その中でも特に重要な2つの書類について説明します。

1.居宅療養指導情報提供書

居宅療養指導情報提供書とは、訪問歯科医院が他の医療機関や介護事業所に、患者の口腔状態や治療内容、今後の予定などを伝えるための書類です。

居宅療養指導情報提供書には、患者の基本情報や訪問歯科医院の連絡先、口腔内写真やレントゲン画像、治療計画や治療結果、口腔ケアや食事指導などが記入されます。訪問歯科診療を終了する際に作成して、他の医療機関や介護事業所に提出します。

2.訪問歯科衛生指導説明書

訪問歯科衛生指導説明書とは、訪問歯科医院が患者や家族に、口腔衛生管理の方法や注意点を説明するための書類です。

訪問歯科衛生指導説明書には、患者の基本情報や訪問歯科医院の連絡先、口腔衛生管理の目的や方法、使用する器具や薬剤、定期的なチェックの必要性などが記入されます。訪問歯科診療を終了する際に作成して、患者や家族に手渡します。

訪問歯科診療の始め方でよくある3つの質問

ここからは、訪問歯科診療の始め方でよくある3つの質問について紹介していきます。

【質問1】日本における訪問歯科のニーズは高まっている?

日本における訪問歯科のニーズは高まっていると言えます。なぜなら高齢化が進むと同時に、口腔機能の低下や口腔疾患は、全身の健康や生活の質に大きな影響を与えるからです。

しかし、通院が困難な高齢者や障害者は多く、歯科医療を受けられない状況にあります。そのため、訪問歯科は、口腔ケアや治療を必要とする人々に対して、医院から出向いて行う重要なサービスです。

実際に、訪問歯科診療の施設数も実施件数も、年々増加傾向にあり、2020年には、施設数が約1.3万件、実施件数が約140万件に達しています。

しかし、これらの数値はまだまだ不十分であり、要介護者の約9割は何らかの歯科治療または専門的口腔ケアが必要であるのに対し、実際に治療を受けたのは約30%というのが実情です。

実に300万人近くが歯科治療を必要としているにもかかわらず受けていないことになります。

令和4年の診療報酬改定では、「在宅医療の質の向上」「口腔機能の維持・向上」の方針が打ち出されました。
これを機会に多くの歯科医院が、医科、介護との連携をとり、訪問歯科に取り組むことが期待されています。

参考元


【質問2】訪問歯科を推進するエリアとは?

訪問歯科を推進するエリアとは、高齢者や障害者の割合が高く、歯科医療へのアクセスが困難な地域です。たとえば、都市部では交通機関が発達していても、バリアフリー化されていない場合や混雑している場合があります。

また、地方部では交通機関が不十分であったり、歯科医師や歯科衛生士の不足が深刻であったりします。このような地域では、訪問歯科は必要不可欠なサービスです。

ただし、訪問歯科を行えるエリアには、保険上の制限があります。訪問歯科を行う保険医療機関から半径16km以内でなければならないというルールがあります。16kmを超えた場合には、自費治療となるので注意してください。

【質問3】訪問歯科を始める際の周知方法は?

訪問歯科を始める際の周知方法としては、院内やホームページでの掲示や配布、リコール連絡、地域連携などが挙げられます。

院内やホームページでの掲示や配布は、来院してくれている患者や家族に対して、訪問歯科の存在や必要性を知らせる方法です。

ポスターやパンフレットなどを用意しておきましょう。

リコール連絡は、過去に来院してくれた高齢者の患者に対して、電話で訪問歯科を行っていることを知らせる方法です。これにより、通院が困難になっている患者からの訪問歯科の依頼が増える可能性があります。

地域連携は、歯科医師会や口腔保健センター、地域包括支援センター、訪問看護師、介護関連施設や企業などと連携していく方法です。

これにより、訪問歯科を行っていることを広く認知してもらうとともに、相互の情報交換や協力体制を築くことができます。

まとめ

訪問歯科診療を始めるためには、情報収集や届出、機材や道具の準備などが必要です。また、訪問歯科診療を行う際には、様々な書類を作成したり提出したりする必要があります。

訪問歯科診療は、高齢者や障害者の口腔ケアや治療する重要なサービスですが、その運営には多くの手間や時間がかかります。

クラウド歯科業務支援システムDentisは、訪問歯科診療の情報入力や整理、確認が簡単になり、サブカルテ機能を使えば、訪問先でのメモや写真をカルテとは別に管理できます。

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