歯科医院の集患方法とは?開業前に意識すること・患者離れを防ぐコツも紹介

歯科医院の集患方法とは?開業前に意識すること・患者離れを防ぐコツも紹介

2025年09月01日

歯科医院の経営において、集患、つまり患者を増やすことは非常に重要です。しかし、ただ患者さんを集めるだけでは十分ではありません。一度来院してくださった方に何度も通っていただき、信頼関係を築くことこそ、長期的な安定経営につながります。

本記事では、集患からリピート・定着までの一連のステップを、実践的な手法や成功のコツとともにわかりやすく解説します。「具体的に何をすればいいかわからない」「これからもっと多くの患者さんに選ばれる医院にしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

また、歯科・医療業界に関する最新トピックや、医院経営・システム導入に役立つ情報も随時発信しています。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

歯科医院における集客・集患の現状


2025年現在、日本の歯科医院は約6万6800軒とコンビニを上回る数があり、地域によっては競争が激化しています。

患者を安定的に確保するには、従来のチラシや口コミだけでなく、SEOやMEO、SNS、リスティング広告といったWebマーケティングを組み合わせた戦略が欠かせません。特に、Googleビジネスプロフィールを活用した地図検索対策や、SNSでの情報発信は来院動機づくりに効果的です。

さらに、看板や地域広告で関心を引き、Web広告や公式サイトと連動させてオンライン予約へ誘導する「オムニチャネル集客」も有効です。こうした多角的な施策を継続し、医院の強みを打ち出すことが重要視されています。

開業前に「集患面」で意識したいこと

歯科医院では、多くの場合「地域の患者さん」がターゲットとなります。どうしても施術が必要になりますので、遠方の患者さんは診られないことが多いです。

開業エリア

歯科医院では、多くの場合「地域の患者さん」がターゲットとなります。どうしても施術が必要になりますので、遠方の患者さんは診られないことが多いです。

そのうえで「開業場所」は集患のうえで重要な要素になります。まずは開業場所の選定時に以下の観点で開業場所を選ぶことを推奨します。

  • 今後の人口動態はどう変化するか
  • 開発計画はあるか
  • 郊外型か都心型か
  • 1階か2階以上か


まずは「人口動態」をみていきます。「オフィス街」や「住宅街」などがある場合、安定して一定の患者さんが利用してくれる可能性が高いといえます。ただし、将来的に安定して集客するために、その人口動態が「ここ5~10年でどう推移するのか」をきちんと調べておきましょう。

例えば現在は活気のあるショッピングセンター内に医院を構えたとしても、数年の内に人気が下火になり、お客さんが来なくなるかもしれません。また、反対に現在は人口がそこまで多くなくても、駅前の活性化などが進んでいれば、今後人口が増える可能性があります。

また人口を構成する属性にも注目しておきましょう。

例えば高齢者が多い立地だと、訪問歯科のニーズが大きくなります。高所得層が多いと、自費診療のメニューを利用してくれやすいといえます。

こうした診療メニューによって、都心型と郊外型のどちらを選ぶべきか、という判断がしやすくなります。

このように「安定して患者さんが訪れてくれそうか」「自院ができる診療メニューと住民のニーズが合致しているか」を調べたうえで出店することが一般的です。

自院の強み・ターゲット

例えば高齢者が多い立地だと、訪問歯科のニーズが大きくなります。高所得層が多いと、自費診療のメニューを利用してくれやすいといえます。「小児歯科専門」「痛くない治療」「最新の審美歯科」など、地域の競合にはない自院だけの「強み」を明確にしましょう。

そして、その強みを求めるのはどんな患者さんか(ターゲット)を具体的に設定することで、その後の内外装デザインから広告戦略まで、すべての施策に一貫性が生まれます。

自院の看板・内外装・ロゴのデザイン

また開業時には内外装工事や看板の設置、ロゴのデザインをします。こういったデザイン面は集患面で重要です。医院への入りやすさが変わりますし、「もう一度来たい」「かかりつけにしたい」と思ってもらうことにつながります。

例えば小児歯科を標榜しているのに、看板や内外装が黒を基調としたシックなものだったとしたら、子どもは安心して治療ができません。必ず「どんな患者さんのために、何の治療をするのか」「その患者さんは何が好きで何が嫌いなのか」という前提を整理したうえで、適したコンセプトを決めておきましょう。

「治療から予防」の今、歯科選びはさらに慎重に

さらに現在、日本では口腔ケアに対する意識が高まってきています。以前であれば歯痛がしてから治療をするのが一般的でしたが、現在は虫歯になる前に定期的な健診を受ける姿勢に変わりつつあります。

すると、今後はより歯科医院に通う回数が増えますので、患者さんはさらに「かかりつけ医選び」に慎重になっているといえます。

オフラインでの歯科の集患方法

こうした患者さんの歯科の探し方を踏まえたうえで、集患の方法を紹介していきます。はじめに「オフラインでの集患方法」です。

看板を出す

街中・駅内などの広告枠に看板やポスターを出すことで認知してもらう方法です。看板にはさまざまな種類があります。サイズもまちまちですし、LED照明を配しており、動画での訴求が可能な枠もあります。

サイズ・媒体種類・期間・設置場所によって金額感が変わります。デザインを外部に委託する場合は、広告費にデザイン費用が追加されるイメージです。

チラシを配る

ポスティングもいまだ有効な集客方法です。チラシの送付方法には大きく分けて「ローラー」と「セグメント」の2種類の配布方法があります。ローラーは指定エリアのすべての住宅に配るものです。いっぽうで「セグメント」は指定エリアのなかでも「マンション」や「戸建て」などを指定してポスティングする手法です。

費用感は地域にもよりますが、A4サイズをローラーで配布して1枚3~4円、セグメントの場合は5~10円となっています。またその他にデザイン費、印刷費が発生します。

チラシでの集患を何度か繰り返す場合は、データをとりながらデザインを変えることが成功するコツです。「どの期間配ると効率よく集患できるのか」「どのデザインが響くのか」をきちんと精査しながら、最も効率がいいパターンを探っていきます。

その他のオフライン集患方法

その他、オフラインの集患方法にはさまざまな種類があります。

テレビ・ラジオCM
ポケットティッシュの配布
他の店舗や大型商業施設へのパンフレットの設置
雑誌や新聞の広告枠への掲載
地域のイベントに参加し無料健診など開催

テレビやラジオ、新聞といったいわゆるマス広告への出稿は単価が高いため、主に地元での集患に成功した歯科医院がより広いターゲットに認知してもらうために使います。
そのほか「地域住民が訪れる場所」を想定したうえで、パンフレットや看板、チラシなど認知してもらうための資材を設置することで集患につながりやすくなります。

オンラインでの集客方法

続いてオンラインでの集客方法を紹介します。先述した通り、多くの患者さんはスマホなどでオンライン上から歯科医院を探すことが近年は主流になるため、特に力を入れたい販促ルートとなります。

ホームページの制作

ホームページの制作は必要不可欠です。ホームページはいわば営業担当者のような存在ですので、自院のことを伝えるため、主に以下の情報を記載しましょう。

場所・時間
診療可能なメニュー
院内の雰囲気が伝わる写真など
院長などの実績
機器類
自院の思い、患者さんのために取り組んでいること
治療の流れ

このような情報があると、患者さんが安心して来院してくれるようになります。またその際に、後述する「SEO」も意識してみるといいでしょう。

Googleビジネスプロフィールの登録

Googleビジネスプロフィールを登録しとくことで、Googleで自院名や自院にまつわる情報が検索されたときにプロフィールが表示されるようになります。

例えばGoogleで「〇〇市 歯医者」や「〇〇市 歯医者 おすすめ」などで検索すると、検索結果のトップの部分には以下のような形で地図・医院のプロフィールが表示されます。このページには休診情報や自院のホームページ、口コミなどが表示されます 。

集患用のポータルサイトに登録する

集患用のポータルサイト・アプリ上から検索する患者さんもいます。そのサイトに登録してPRしたり、サイト上で広告を打つことで患者さんに見つけてもらいやすくなるでしょう。

SEO・MEO

SEOとは「Search Engine Optimization」の略で「検索エンジン最適化」と訳されます。検索エンジン上で自院名や自院にまつわる情報が検索されたときに、検索結果の上位に自院のホームページが表示されるように取り組むことを指します。検索結果の上位に表示されることで、患者さんに見つけてもらいやすくなります。

MEOとは「Map Engine Optimization」の略で「マップエンジン最適化」と訳されます。SEOはGoogleの検索エンジンを指しますが、MEOはGoogleマップを指します。Googleで「〇〇市 歯医者」で調べると、ほとんどの場合、以下の画面で検索結果が表示されます。

このように、検索したときに上部に医院の情報が表示されることで、自然と患者さんが自院のページに流入してくれて、予約してくれるようになる、という流れで集患ができます。
ただしSEOやMEOの成果を向上するためには、専門的な知見が必要になることもあります。医院様のなかには自院でWeb対策を講じていらっしゃる場合もありますが、不安な方はマーケティング支援をおこなっている会社に相談するのも一つの手です。

Web広告

GoogleやYahooといった検索エンジンや、Facebook、Twitter、LINEといったSNSで広告を出稿することです。検索エンジンの広告では「検索するキーワード」や「住んでいる場所」などで出稿する要件を定義できます。SNS広告でも同様に住んでいる場所や、年収帯、世帯の特徴などで絞ることができます。


SNS

現在ではFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeといった、SNSでPRをしている歯科医院も増えてきました。地域を絞って投稿できないので全国各地のフォロワーに届くのが利点であり難点でもありますが、例えば高額になる治療など「絶対に後悔したくない」という場合は遠方から通う患者さんもいますので、効果的といえるでしょう。

予約管理システムの導入

仮に患者さんが自院を見つけたとしても、電話予約をした際に休診時間・休診日だった場合はつながらずに他の医院に流れてしまいます。そこで効果的なのが予約管理システムです。Webサイト上から24時間365日予約受付をしてくれますので、時間帯に関係なく予約ができます。

また患者さんによっては「電話での予約が苦手」という方もいます。ホームページ上から簡単に予約できることで新規集患の取りこぼしの防止や来院理由にもつながります。

歯科医院の集客・集患を成功に導くコツ

現代の歯科医院経営において、単なる診療技術だけでは差別化が難しくなっています。このような現状を踏まえて、歯科医院の集客・集患を成功に導くコツを紹介します。

他院との違いを明確に打ち出す

集客の基本は、他院にはない特徴を明確に示すことです。例えば、ホワイトニングや矯正など特定の分野に特化した診療、個室完備や土日診療など、患者が魅力を感じるポイントを前面に押し出します。

ターゲット層が若い女性ならSNSを活用、子育て世代ならキッズスペースや託児サービスを訴求するなど、ニーズに合わせた情報発信が効果的です。院内の雰囲気やスタッフの対応なども差別化要素となるため、写真や動画で積極的にアピールしましょう。

地域や対象層に合わせたアプローチを行う

歯科医院の集客では、立地や地域特性、対象となる患者層に合わせた施策が欠かせません。高齢者が多い地域では新聞折り込みや地域広報誌が有効で、若年層にはSNS広告やWebマーケティングが適しています。

ターゲットの日常的な接点を意識して、広告媒体を選びましょう。既存患者に来院理由を聞くことで、効果的な集客ポイントを把握できます。地域に根ざしたアプローチを継続すれば、安定した患者獲得につながります。

見やすく伝わりやすいホームページを整える

来院前にホームページを確認する患者は多く、その印象が医院選びを左右します。スマートフォンでも見やすく、必要な情報がすぐに見つかる構成にしましょう。診療内容や料金、院内写真、スタッフ紹介などをわかりやすく掲載し、信頼感を高めます。

また、検索結果で上位に表示されるようSEO対策を行い、「地域名+歯科」での検索に強くすることも重要です。Googleビジネスプロフィールの充実も、地図検索からの来院促進に効果的です。

自費治療のニーズを掘り起こす

インプラントや矯正、ホワイトニングなどの自費治療を増やすには、患者がその価値を理解できる情報発信が必要です。症例写真やビフォー・アフター、実際の患者の声などをWebやSNSで紹介すると、安心感と興味を高められます。

無料相談会や分割払いの案内、保証制度の説明も有効です。保険診療だけでなく、自費診療を検討するきっかけを提供することで、医院の収益性と患者満足度の向上が期待できます。

訪日・在住外国人にも対応する

訪日客や在住外国人をターゲットに含める場合、多言語対応が必須となります。特に主言語となり得る英語や中国語の案内や予約フォームを用意し、対応可能なスタッフがいることを明示しましょう。外国人向けの口コミサイトやSNSでの情報発信も効果的です。

海外からの患者は、対応力の高さや安心できる環境を重視します。多言語対応は差別化のポイントにもなり、口コミや紹介による新規患者の獲得にもつながります。

継続的に通ってもらえる関係を築く

新規患者の獲得だけでなく、既存患者のリピート率を高めることも安定した経営には欠かせません。スタッフの丁寧な対応や清潔な院内環境はもちろん、予約の取りやすさや待ち時間の短縮など、通いやすさを意識した改善が重要です。

会計時に次回予約を促す、定期検診の案内を送るなど、継続来院を後押しする仕組みを整えましょう。紹介制度を設ければ、患者から新たな患者を呼び込む好循環も生まれます。

患者さんが離脱しがちなポイント

ここからは初診で来院してくれた患者さんを離さないために重要なことを紹介します。まずはどのタイミングで患者さんが離脱しやすいかを把握しておく必要があります。

無断キャンセル

次回予約をしたにも関わらず、無断で来なくなってしまうことがあります。「患者さんが次回予約を忘れていた」「他の用事が入ったが報告を忘れていた」などでキャンセルとなる場合が多いです。こういった無断キャンセルは患者さん側が気まずさを感じて、二度と来なくなってしまいます。

治療終了後

該当箇所の治療が終了した後に、二度と来なくなってしまうことがあります。特に予防ではなく治療の意識が高い患者さんの場合「また歯痛がしたら行こう」と考えており、実際数カ月後に歯痛がした際に前回通ったことを忘れてしまっている場合があります。

患者さんを離さない方法

そんな、患者さんの離脱を防ぐために、取り組んでおきたいことを紹介します。

メッセージ・リマインドの連絡

次回予約の前日などにリマインドの連絡をすることで、無断キャンセルを予防できます。仮にその結果キャンセルの申し伝えがあったとしても、患者さんが気まずさを感じずに済むため離脱を防げます。

リコールの連絡

健診などのためにリコールの通知をします。一度治療が終わった方でも、健診のご案内などをすることで、また利用してくれるきっかけになります。こうしてコミュニケーションを取ることで、かかりつけ医として利用してくれるようになります。

業務支援システム導入で、効率的に集患・離脱防止を実現

今回は集患・患者の離脱防止の具体的な方法やコツについて紹介しました。これらの集客施策をおこなううえで、あらかじめ自院のコンセプトを把握しておくことが重要です。またWebを用いた集客などが不安な方は歯科医院向けのコンサル会社などに相談をしてみるのもいいでしょう。

そのほか、今回紹介したなかで「患者を離さないための手法」については、Dentisの機能でカバーができます。Dentisには「Web予約機能」や「自動メッセージ送信機能」があります。

「Web予約機能」は患者さんがWeb上で予約でき、そのまま問診に回答できる機能です。医院側としては、24時間患者さんを取りこぼさないほか、電話応対の手間をカットできます。また事前に問診を提出してもらえるので待ち時間を短縮できます。

「自動メッセージ機能」に関しては「診察日の◯日前の◯時に〇〇と送る」など、送信タイミングや文言を柔軟に調整できる機能です。スタッフがいちいち電話をかけたりハガキを送ったりする必要がなく、確実にメッセージを届けられます。「導入後に無断キャンセルがほとんどなくなった」という成功事例もあります。

特にSMS送付やLINEについては、Eメールよりも患者確認の確立が高いためよりリマインド効果が高まるけいこうがあります。

こうした業務支援システムなどを活用するだけで、周辺の医院との差別化につなげることも可能です。気になる方はぜひお気軽に、無料で資料をダウンロードしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

ブログ一覧に戻る