歯科医院におけるレセプトとは?業務の流れから注意点まで徹底解説

歯科医院におけるレセプトとは?業務の流れから注意点まで徹底解説

2025年08月18日

レセプト業務は、歯科医院が診療報酬を得るために欠かせません。現在、多くの歯科医院ではレセプトの電子化が進められていますが、効率的な業務につなげるにはあらゆるポイントを理解しておく必要があります。

そこで本記事では、歯科医院におけるレセプト業務の流れから電子化するメリット、レセコンを選ぶときのポイントまで解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

歯科レセプトとは?


歯科レセプトとは、歯科治療を行った際に作成する「診療報酬明細書」を指します。歯科医院では、スタッフが事務作業の一環として歯科レセプトを作成しており、保険診療した際の報酬を治療内容に基づき計算します。

具体的には、医院側がレセプトを作成し保険者に診療報酬を請求しますが、一般的には診察を受けた患者は窓口で診療費の3割を支払います。残りの7割については、加入する健康保険組合などから支払われ、その際にレセプトが必要です。

また、診療報酬の請求は月に1回行い、1ヶ月分のレセプトをまとめて送付、審査を経たあとに支払われます。

歯科レセプトにおける業務の流れは5ステップ

歯科レセプト業務は、以下の5つの流れになります。

  1. 情報入力
  2. レセプト作成
  3. ミスがないかを確認する
  4. 医師による最終チェック
  5. 提出


ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.情報入力

レセプトを作成・提出するには、治療状況を入力する必要があります。レセプトは基本的に月末から翌月の10日までに行われるのが一般的です。そのため、月末を迎えるまでにレセプトを作成しやすいよう情報入力をして準備することが大切です。

なお、医療施設から健康保険組合などの支払い機関に対して、診療報酬を請求するシステムの「レセコン」があれば、自動で点数が計算されます。

2.レセプト作成

前述の通り、月末から翌月10日にかけて1ヶ月分のレセプトをまとめて作成します。レセコンを導入していれば自動で点数計算がされているため、それほど大きな手間は生じません。

しかし、日々の情報入力に不備があると、修正作業に時間がかかってしまうケースもあります。そのため、普段から確実に情報入力できるようにしておくことが重要です。

3.ミスがないかを確認する

レセプトを作成した後は、ミスがないかを確認します。レセコンを導入している場合はレセプトチェック機能も備わっているシステムを検討すると確認が便利ですが、診療内容の登録ミスなどで返戻にならないよう最終的に人間によるチェックを必ず入れましょう。

4.医師による最終チェック

レセプトの確認作業を進める中で入力内容に誤りが見つかる場合もあります。また、誤りとまではなずとも、不安を感じるようなケースもあるでしょう。

このような場面では、必ず医師によるチェックを受けるようにしてください。また、修正が必要な箇所があればすぐに対応します。修正も含め、医師への最終確認が取れたら作業終了です。

5.提出

医師による確認作業を経た後にレセプトを審査支払機関へ提出します。そして、審査支払機関が内容を確認し、問題がなければ診療報酬を支払う流れです。

ただし、レセプトの内容に不備があった場合は点数調整されたり、返戻されたりするおそれがあります。返戻になると支払い時期に遅れが生じるケースもあるため、注意が必要です。

歯科のレセプト点検を徹底すべき理由

レセプト点検は、単なる事務作業ではなく、医院経営の安定と患者様からの信頼維持に直結する重要な業務です。徹底した点検を行うべき理由は以下の通りです。

不正請求や法的リスクを回避するため

歯科レセプト点検は、請求内容が療養担当規則や診療報酬ルールに準拠しているかを確認する重要な業務です。不適切な保険請求を未然に防ぐことで、厚生局の監査や個別指導、法的責任の発生を避けられます。

不正請求が発覚すると罰則や返還請求の対象となり、医院の社会的信用と経営基盤に大きなダメージを招く可能性もあります。日々の点検体制を徹底するとともに、常に最新の法改正情報を把握し、適正な請求体制を維持することが大切です。

収益損失や返戻リスクを防止するため

正確かつ網羅的なレセプト点検を怠ると、算定漏れや誤算定による収益損失が生じます。たとえば、診療報酬点数表の要件を誤解して加算可能な処置を請求し忘れたり、保険適用外の項目が含まれて返戻されたりすることもあるでしょう。

また、返戻が多発すると再提出業務が増え、事務スタッフの負担が増加し業務効率が低下します。

患者からの信頼を守る正確な請求体制を維持するため

レセプト点検を徹底することは、患者との信頼関係を築くうえで重要です。請求内容が曖昧だったり、保険適用外の処置が誤って請求されていたりすると、不信感を招くおそれがあるでしょう。

カルテと請求内容の整合性をしっかり点検することで、患者に安心感を与えられます。患者に対して透明性と正確性を意識した請求を行うことで、医院全体の信頼性向上にもつながります。

歯科医院がレセプトを電子化するメリット

歯科医院がレセプトを電子化するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

- レセプト作成時の作業効率化
- ミス(抜け・漏れ)を予防できる
- カルテと連動してスピーディーに記録できる

また、予約管理システムや訪問診療のサポートなど、あらゆる機能が備えられているものがあり、歯科医院全体の業務効率化を期待できます。

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オンライン請求義務化の背景と今後の展望

2024年4月より、医療機関におけるレセプトのオンライン請求が原則として義務化されました。ただし、2024年中に「猶予届出書」を提出した医療機関については、2025年9月30日までは電子媒体による請求が認められる経過措置が設けられています。

オンライン請求義務化の背景には、厚生労働省が推進する医療DX政策があります。目的は、業務効率の向上、診療報酬請求の透明性強化、医療情報の標準化による質の高い医療提供の実現です。業務負担の軽減や返戻の抑制、そして患者中心の医療体制の確立が期待されています。

歯科医院においても、オンライン請求への対応はすでに必須となりつつあります。まだ移行が完了していない場合は、請求ソフトの対応や必要書類の提出などを早急に進めることが重要です。

歯科医院がレセコンを選ぶときの3つのポイント

歯科医院がレセコンを選ぶときのポイントは、以下の3つが挙げられます。

  1. 導入費用
  2. 電子カルテが搭載されているか
  3. サポート体制


ここではそれぞれのポイントについて解説しますので、詳しく見ていきましょう。  

1.導入費用

レセコンを導入する際には、「数十万円〜数百万円」の初期費用がかかるのが一般的です。導入費用は、レセコンの種類や提供元のメーカーによって大きく異なります。そのため、複数の会社から見積もりを取り、費用を比較することが大切です。

導入後のランニングコストも重要な検討ポイントです。契約形態によって費用の考え方が異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

  • 買い切り型:ソフトを一括購入し、月々の保守料のみ支払うタイプ。初期費用は高いものの、長期的に見れば運用コストは抑えやすい。
  • サブスク型:月額や年額でソフトを利用する契約。初期費用を大きく削減できるが、使い続けるとトータルコストは高くなる可能性がある。
  • リース契約:決まった期間にわたって機器やソフトを借りる契約。一定期間使用後に返却するスタイルで、導入負担を軽減できるが、途中解約が難しいなどの制約もある。

2.電子カルテが搭載されているか

レセコンのメーカーによっては、電子カルテが「標準装備されている」「オプションとして提供される」といった違いがあります。現在、電子カルテを採用していない場合でも、将来的に必要となる可能性も考慮して、レセコンを選ぶようにしてください。

3.サポート体制

レセコンは、歯科医院における業務に欠かせない重要なシステムです。そのため、システムがストップしてしまうと、診療自体が止まってしまうおそれもあります。

そのため、万が一トラブルが発生した際のサポート体制についても確認が必要です。「対応可能時間」や「サポート方法」はもちろんのこと、FAQの充実度についても確認しておくとよいでしょう。

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日常のレセプト業務をスムーズにする具体的な工夫

レセプト業務を円滑に進めるには、制度への理解から日々の実践まで、一貫した仕組みづくりが欠かせません。まずは院内で定期的に研修や勉強会を実施し、診療報酬制度の改定情報や事例を共有しましょう。

入力後のダブルチェック体制の整備も欠かせません。歯科助手が入力した内容を医師や衛生士が再確認するなど、複数名によるチェックを標準化することでミスの発見率が高まります。ただし、責任の所在が曖昧にならないようルール作りが必要です。

チェックリストや摘要欄の活用も有効です。返戻の原因になりやすいパターンをチェック項目に反映させたり、記載漏れを防ぐための運用ルールを整備したりすることで、精度の高い請求が可能になります。

歯科レセプトに役立つ4つの資格

歯科のレセプト業務を担当する場合において、特に資格は必要ありません。しかし、歯科のレセプト業務を行うには、多くの知識や豊富な経験が求められます。

そのため、歯科レセプトに関する知識がないスタッフは、資格を取得してもらうのが一般的です。取得しておくと役立つ資格に、以下のようなものが挙げられます。

歯科助手資格認定制度

歯科助手資格認定制度は、日本歯科医師会が認定する資格制度で、「乙種第一(診療補助向け)」「乙種第二(事務向け)」「甲種」の3つのレベルに分かれています。

乙種第一では診療補助業務を対象とし、52時間以上の講習修了が必要です。乙種第二は事務業務を中心に、40時間以上の講習を受けることが条件です。これらの資格を取得することで、歯科診療の基礎知識や器具管理、受付対応の理解が深まり、診療記録やレセプト体制の整備にも役立ちます。

歯科アシスタント検定

全国医療技能検定協議会が実施する「歯科アシスタント検定」は、1級から3級までの等級があり、現場での実践力を証明する検定です。

3級では基本的な知識、2級では応用力、1級では実務対応能力が問われます。レセプト業務においては、診療内容や使用材料、治療工程の理解が不可欠であり、この検定を通じて現場で必要とされるスキルを習得できます。

歯科 医療事務管理士®️技能認定試験

JSMA(技能認定振興協会)が実施する「歯科医療事務管理士®技能認定試験」は、学科と実技(レセプト作成・点検)で構成されており、実践的なスキルを総合的に評価する資格試験です。

学科では保険制度や関連法規、医療用語の知識が問われ、実技では診療報酬点数の算定やレセプト明細書の作成・点検能力が求められます。

歯科医療事務検定

全国医療技能検定協議会が実施する「歯科医療事務検定」は、受付業務やカルテ管理、会計、レセプト作成・点検など、歯科事務全般の知識とスキルを問う検定です。

1級から3級まであり、特に1級・2級ではレセプトに関する問題が出題され、請求業務の正確性や算定処理への理解が求められます。

歯科レセプト業務の注意点

歯科レセプトに不備内容があると、保険者から返戻されるおそれがあります。返戻理由のひとつとして、患者の氏名や性別などの入力間違いや、保険証の有効期限切れなどが挙げられます。

返戻されると、再度レセプトを修正・確認する手間が増えるのはもちろんこと、訂正が済むまで入金されません。そのため、レセプトの提出前には必ず入念なチェックが必要です。

まとめ

歯科医院におけるレセプトについて解説しました。レセプトは診療報酬を得るために欠かせない重要な業務です。現在、歯科医院においても電子化が急激に進んでおり、同時にレセプト業務の効率化を目指す医院が増えています。  
  
これから開業する先生においてはレセプト業務の大切さを認識し、経営者として医院全体の業務効率化につながるレセコンを選ぶようにしてみてください。  
  
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<参考URL>
https://tokyo-doctors.com/webdoctor/3528
https://agaroot.co.jp/shikaku/iryojimu-shika/
https://haec.athuman.com/medical/column/16/

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

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