【歯科医院向け】電子処方箋とは?仕組みや導入するメリット、準備すべきことを徹底解説!
2023年11月13日
電子処方箋とは、処方箋をデジタルデータで運用する仕組みです。2023年1月より運用が開始され、オンライン上で処方内容の登録ができ、重複投薬や併用禁忌の確認が容易になります。
本記事では、電子処方箋の概要や仕組み、導入によるメリット、電子処方箋を利用した処方から調剤・服薬指導までの流れについて解説します。また、電子処方箋を始めるにあたって準備すべきことについても解説しますので 、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
電子処方箋とは?
電子処方箋とは、従来の紙の処方箋からデジタルデータで運用する新しい仕組みです。2023年1月より運用が開始され、歯科医院を含む医療機関は紙を用いず、オンライン上で処方内容の登録ができ、医療機関と薬局の情報連携や疑義照会が可能になります。
患者側は薬の受け取りの手続きが簡単になり、医療機関は、処方内容と調剤内容を管理する「電子処方箋管理サービス(支払基金、国保中央会)」を通して、患者の薬剤履歴の確認が可能です。この新システムは、2023年4月からのオンライン資格確認制度の基盤として位置付けられており、全国の医療機関や薬局での原則3年間分の薬剤情報や処方情報の確認もできます。
厚生労働省が推進する医療DXの観点として、電子処方箋は医療現場の効率化やサービスの向上を目指しています。
導入はあくまで医療機関の任意
2023年1月から始まる電子処方箋の運用は、歯科医院を含む医療機関で任意の導入となっており、強制されるものではありません。
しかし、政府は2025年3月を目処に、オンライン資格確認を整備した医療機関での電子処方箋の普及を推進しています。オンライン資格確認の義務化の事例を鑑みると、補助金の活用も想定されます。
電子処方箋の実装はオンライン資格確認導入が前提
電子処方箋の実装はオンライン資格確認の導入を必須とし、歯科医院におけるシステムの安定性や、マイナンバーカードを患者が持参する文化の醸成が課題となります。
患者がマイナンバーカードで受診する場合、顔認証付きカードリーダーのタッチパネルから「電子処方箋」か「紙の処方箋」を選択が可能です。医師はその選択に基づき、提供されるサービスを利用して重複投薬のチェックと処方内容を確定します。
「電子処方箋」を選択した場合、医師はHPKIカードを読み取り、処方内容をサービスに登録し、患者には交換番号が渡されます。一方、薬局はその処方データを受け取り、調剤過程でも再度重複投薬チェックや疑義照会を実施するのです。
この循環プロセスが、患者と医療機関、薬局をスムーズにつなげ、安全な医療を支える役目となります。
電子処方箋の仕組み
電子処方箋は、歯科医師と薬剤師の間で処方箋の情報をデジタルデータで運用するためのシステムです。このシステムの基盤には「オンライン資格確認」の存在があり、これを活用して患者の医療保険加入情報や自己負担額の確認が行われます。
さらに、電子処方箋管理サービスを介して、患者に関する医療・薬剤の情報の一元化が可能です。その情報を元に、医療従事者がより正確で、安心感のあるサービスを提供できるようになります。
電子処方箋を導入する歯科医院側のメリット
電子処方箋の導入による歯科医院のメリットは多く、そのなかでも特筆すべきは、複数の医療機関や薬局の過去の薬剤情報にアクセスできる点です。これにより、異なる歯科医院や医療機関、薬局の処方・調剤情報を過去3年分まで閲覧可能となり、重複投薬や併用禁忌の確認が容易になります。
さらに、電子処方箋はフォーマットが統一されており、歯科医院と薬局間での確認作業が減るため、効率よく高品質なサービスを提供できます。
電子処方箋を導入する患者側のメリット
電子処方箋を導入している歯科医院を受診することで、患者側にも幅広いメリットがあります。まず、歯科医院側が電子処方箋管理サービスに保存された薬剤情報を確認することで、重複投薬や併用禁忌のリスクを回避します。
これにより、複数の医療機関を受診していても、安心して薬を受け取ることが可能です。さらに、オンライン診療や在宅診療などを利用する際にも、電子処方箋管理サービス上で電子処方箋をやり取りできるため、面倒な手間も減り、より簡単に薬を受け取れます。
電子処方箋を利用した処方から調剤・服薬指導までの流れ
次に電子処方箋を利用した処方から調剤・服薬指導までの流れを紹介します。主な流れは次の2つです。
- 処方箋を発行する
- 電子処方箋管理サービスから電子処方箋を確認して調剤を実施する
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.処方箋を発行する
まず、歯科医師は、患者の状態や過去の薬歴を参考にしつつ、必要な治療方針や正しい処方内容を決定します。処方内容を決定する際に、患者の治療歴や過去の薬剤情報が手元にあるため、重複投薬や併用禁忌のリスクを回避できるのです。
処方内容が確定したら、その情報を「電子処方箋」のサービスに登録します。その後、サービスから発行できる引き換え番号を患者へ渡し、患者はこの番号を持って薬局で薬を受け取ります。
2.電子処方箋管理サービスから電子処方箋を確認して調剤を実施する
患者の引換番号と身分証明書(マイナンバーカード・健康保険証)を照合することで、スムーズに電子処方箋の内容を確認できます。また、薬局のシステムが処方箋の内容を自動的に読み取り、リスクのある重複投薬や併用禁忌についてもチェックが可能です。
さらに、過去の処方・調剤履歴も一元的にアクセスできるため、患者の治療経過を正確に把握し、より正しい調剤が可能です。
電子処方箋を始めるにあたって準備すべき4つのこと
最後に電子処方箋を始めるにあたって準備すべきことについて解説します。主に準備すべき点は次の4つです。
- オンライン資格確認を導入する
- HPKIカードの発行申請をする
- 既存システムにおける電子処方箋への対応可否を確認する
- 電子処方箋の利用を申請する
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.オンライン資格確認を導入する
電子処方箋の導入に向けて、まずはオンライン資格確認の導入が必要です。このオンライン資格確認の導入には、いくつかの手順を踏む必要があります。
- オンライン資格確認の専用ポータルサイトでアカウントを作成
- 患者の身元確認用に顔認証付きカードリーダーを申し込む
- システムの改修やアップデートの作業をベンダーに依頼する
- オンライン資格確認の使用を正式に申請
これらのステップを踏まえて、オンライン資格確認の導入が可能です。
2.HPKIカードの発行申請をする
HPKIカードは、電子処方箋を発行する際や地域医療連携時の認証手段として使用します。このカードは、日本薬剤師会が管理するため、薬剤師の資格を有する者であれば、日本薬剤師会認証局サイトより申請可能です。
しかし、申請からカードが手元に届くまでに時間がかかる場合も考えられるため、事前の計画と早めの手続きが重要となります。そして、カードの申請が無事完了した際には、専用のポータルサイトでその完了を登録し、正式に電子処方箋の発行に向けた準備を整えましょう。
3.既存システムにおける電子処方箋への対応可否を確認する
現在のレセコンや電子カルテシステムが電子処方箋に対応しているか、ソフトの更新や設定変更が必要か確認しましょう。また、HPKIカードを開くためのICカードリーダーの準備も必須です。
新しい機器の導入やシステム変更によって、医療内の動線や業務フローが変わることも想定されるため、事前の検討や計画が欠かせません。また、具体的な手順や方針の確定には、システム提供者との密な連携が必要です。
4.電子処方箋の利用を申請する
電子処方箋の利用申請により、歯科医院で利用しているレセコンや電子カルテシステムと電子処方箋管理サービスを連携させ、スムーズな運用が可能です。
申請手続きは、専用のポータルサイトにて行われ、必要な情報や書類の提出が求められます。手続きを進める際には、システムプロバイダーや関連する専門機関との連絡を密に取り合いながら進めましょう。
まとめ
この記事では、電子処方箋の仕組みや導入によるメリット、電子処方箋を利用した処方から調剤・服薬指導までの流れ、電子処方箋を始めるにあたって準備すべきことについて解説しました。
電子処方箋とは、処方箋をデジタルデータで運用する仕組みです。2023年1月より運用が開始され、オンライン上で処方内容の登録ができ、重複投薬や併用禁忌の確認が容易になります。
これにより、電子処方箋の導入は患者側にもメリットがあり、安心して薬を受け取ることが可能です。さらに、オンライン診療を利用する際にも、電子処方箋管理サービス上で電子処方箋をやり取りできるため、より簡単に薬を受け取れます。
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