訪問歯科の診療報酬における主な算定点数とは?算定する際のポイントや加算できる報酬もご紹介!

訪問歯科の診療報酬における主な算定点数とは?算定する際のポイントや加算できる報酬もご紹介!

2024年12月11日

訪問歯科の診療報酬における主な算定点数は、歯科訪問診療料、訪問歯科衛生指導の2つです。また、歯科訪問診療料の点数を算定する際は、訪問人数、訪問先、診察時間の3つがポイントになります。訪問歯科の算定については、これらを正しく理解しておくことが大切です。

本記事では、 訪問歯科の診療報酬における主な算定点数や歯科訪問診療料の点数を算定する際のポイントについて解説しています。また、歯科訪問診療料に加算できる報酬についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

訪問歯科の診療報酬における主な算定点数は2つ

訪問歯科の診療報酬における主な算定点数について解説します。

  1. 歯科訪問診療料
  2. 訪問歯科衛生指導 (単一建物診療患者)

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.歯科訪問診療料

歯科訪問診療料については、同日に「何名を診療するか」、「1人に対して何分診療するのか」によって算定点数が異なります。それぞれの点数については、以下の表を参考にしてください。

これらの他に、細かなルールが存在します。細かな条件については、一般社団法人 日本訪問歯科協会「訪問診療に関する時間と報酬」をご確認ください。

算定項目

診療人数

20分以上の点数

20分未満の点数

歯科訪問診療1

1名

1,100点

歯科訪問診療2

2~3名

410点

287点

歯科訪問診療3

4~9名

310点

217点

歯科訪問診療4

10人〜19人

160点

96点

歯科訪問診療5

20人以上

95点

57点

出典:一般社団法人 日本訪問歯科協会「訪問診療に関する時間と報酬」

2.訪問歯科衛生指導(単一建物診療患者)

訪問歯科衛生指導を提供する際、単一建物診療患者のルールを把握することが重要です。単一建物の詳細は一般社団法人 日本訪問歯科協会の「訪問診療の患者数と報酬」をご覧ください。

指導時間は 20分以上実施することなどが条件となり、条件を満たした場合、月に最大4回まで(緩和ケアを実施するものに対して行った場合は月8回まで)の算定が認められます。

しかし、以下の時間は指導時間に含まないため、注意が必要です。

  • 診療の準備や片付け
  • 患者の移動や誘導
  • 訪問施設への移動時間

また、算定点数については以下の表を参考にしてください。

単一建物診療者数

点数

1人のみ

362点

2〜9人

326点

10人以上

295点

歯科訪問診療料の点数を算定する際のポイントは3つ

次に、歯科訪問診療料の点数を算定する際のポイントについて解説します。

  1. 訪問人数
  2. 訪問先
  3. 診察時間

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.訪問人数

訪問人数とは、1日に同一の建物で診療を受けた人数を指します。ただし、同居する同一世帯は例外となるため注意が必要です。

たとえば、夫婦や兄弟の居宅へ訪問診療する場合、1人目の患者には訪問診療料1が適用され、2人目以降は訪問診療料2を算定し、摘要欄に「同一世帯(1)」と記載します。このルールは、施設などに訪問して2人の患者を診る場合とは異なるため、しっかりと理解しておいてください。

2.訪問先

訪問先については、同一建物居住者と同一建物居住者以外に分かれています。

  • 同一建物居住者:同じ建物に居住する複数の患者に訪問診療する場合
  • 同一建物居住者以外:居宅等に訪問して1人だけを訪問診療する場合

訪問先については、これらの2つに分かれることを理解しておきましょう。

3.診察時間

診察時間は、患者1人あたり20分以上が基準です。20分を満たさない場合、診療料は所定の点数より減算される場合があります。(歯科訪問診療1を算定する場合を除く)

歯科訪問診療料に加算できる8つの報酬

次に、歯科訪問診療料に加算できる報酬について解説します。それぞれについて詳しくみていきましょう。

歯科訪問診療補助加算

歯科訪問診療補助加算は、歯科衛生士が歯科医師とともに訪問し、診療の補助を行う場合に算定します。さらに、算定する点数は、歯科医院が在宅療養支援歯科診療所(歯援診)または小児口腔管理料の注3に規定する口腔管理体制強化加算(口管強)である場合と、それ以外の場合では異なる点に留意が必要です。

また、歯科衛生士が訪問歯科衛生指導料の対象となる活動をしている時間と、歯科訪問診療補助加算の時間を重複することは認められていません。

歯科訪問診療補助加算の算定については以下の表のとおりです。

歯援診 口管強

その他

同一建物居住者以外の場合

115点

90点

同一建物居住者の場合

50点

30点

歯科訪問診療移行加算

歯科訪問診療移行加算は、歯科医院の外来を継続的に受診していた患者が在宅療養を行っている場合に、その患者に適用されます。

さらに、最後に外来での診療を受けた日(初診料又は再診料を算定した日)から3年以内に歯科訪問診療を開始した患者に限り、算定することが可能です。

ただし、歯科医院側が注意すべき点として「在宅歯科医療推進加算」との併用はできません。これは、加算の目的や条件が異なるための留意点です。

また、算定する点数は、歯科医院が口管強の場合は150点、それ以外の場合は100点です。

緊急・夜間・深夜歯科訪問診療加算

歯科訪問診療料には、緊急・夜間・深夜の診療に対応した「緊急・夜間・深夜歯科訪問診療加算」が設けられています。この加算は、厚生労働大臣が定める時間に入院中の患者以外の患者が緊急の要請に応じて歯科訪問診療を行った場合が該当します。

しかし、注意すべきことは、夜間や深夜に緊急に行われる訪問診療の診療時間が標榜時間内の場合は報酬の対象外となるという点です。また、緊急とみなされる状況は、手術後の急変などが予測される場合をいいます。

緊急・夜間・深夜歯科訪問診療加算については以下の表のとおりです。

加算科目と加算割合

歯科訪問診療1

歯科訪問診療2

歯科訪問診療3

歯科訪問診療4

歯科訪問診療5

緊急歯科訪問診療加算
所定点数と緊急加算の合計
(概ね午前9時~午後6時)

425点

159点

120点

60点

36点

夜間歯科訪問診療加算
所定点数と緊急加算の合計(概ね午後6時~午後10時)

850点

317点

240点

121点

72点

深夜歯科訪問診療加算
所定点数と緊急加算の合計
(概ね午後10時~翌朝6時)

1,700点

636点

481点

249点

148点

歯科診療特別対応加算

歯科診療特別対応加算には以下の3つがあります。

歯科診療特別対応加算1

175点

著しく歯科診療が困難なものに対して歯科訪問診療を行った場合(歯科診療特別対応加算3を算定する場合を除く)

歯科診療特別対応加算2

250点

著しく歯科診療が困難なものに対して当該患者が歯科治療を円滑に対応できるような技法を用いて歯科訪問診療を行った場合

歯科診療特別対応加算3

500点

感染症法第6条7頁に規定する新型インフルエンザ等感染症、同条第8項に規定する指定感染症又は同条第9項に規定する新感染症の患者に対して歯科訪問診療を行った場合

診療時間加算

診療時間加算は、歯科医院が訪問診療を行い、その診療時間が1時間を超過する場合に加算され、30分またはその端数を増すごとに100点を加算します。

注意事項として、複数の患者に対して歯科診療を行った場合の診療時間を合算することはできません。

地域医療連携体制加算

地域医療連携体制加算は、通院が困難な患者が必要とする訪問診療を、複数の保険医療機関によって、緊急時に歯科診療ができるように連携体制が整備されていることを評価するものです。

また、患者の同意のもとで治療情報が各保険医療機関で共有され、迅速かつ適切な診療が可能な状態に整備されている必要もあります。歯科医院がこの評価を受けるためには、施設基準に従った届出が必須です。

なお、当該患者に係る歯科診療に必要な情報を提供した場合に、1回に限り300点が加算されます。

在宅歯科医療推進加算

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出の上、在宅療養患者に対して「歯科訪問診療1」を算定した場合に100点が加算されます。

通信画像情報活用加算

通信画像情報活用加算は、歯科医院の歯科衛生士などが過去2ヶ月以内に訪問歯科衛生指導料を算定した患者に対し、歯科医師がリアルタイムで情報通信機器を用いて口腔内の状態を観察した場合に適用されます。

この加算を利用するにはまず、特定の施設基準に適合している必要があります。具体的には、地域歯科診療支援病院歯科初診料や在宅療養支援歯科診療所に関する基準を満たす歯科医院のみが対象です。なお、加算される点数は月1回に限り、30点となります。

訪問歯科の点数でよくある2つの質問

最後に、訪問歯科の点数でよくある質問について紹介します。

  • 【質問1】同一建物診療患者と単一建物診療患者の数え方は?
  • 【質問2】歯科訪問診療実績表とは?


それぞれについて詳しくみていきましょう。

【質問1】同一建物診療患者と単一建物診療患者の数え方は?

患者の数え方が算定項目毎に変わり、算定点数・単位も変わる為注意が必要になります。詳細は以下のとおりです。

  • 同一建物診療患者

    同じ日に、1つの建物に住んでいる診療を受ける患者数。たとえば、ある施設で、同じ日に複数の患者が訪問診療を受けた場合(診療日の訪問先毎の患者人数)

  • 単一建物診療患者
    同じ月の間に同一の建物内で診療を受けた患者数(診療月の訪問先毎の実患者人数)

それぞれ、このように数えることを理解しておいてください。

【質問2】歯科訪問診療実績表とは?

歯科医院で訪問診療を行う場合、歯科訪問診療実績表を作成する必要があります。この実績表は、訪問診療を受けた患者やその家族への情報提供と、医療機関での記録としての役割があります。

歯科訪問診療実績表には、具体的に診療を行った日時や、その診療を担当した歯科医師の氏名を記載しなければなりません。また、特定の施設において、一ヶ月の間に複数回の訪問診療が行われた場合、施設全体としての診療実績を一覧表で作成しても問題ないと定められています。

まとめ

この記事では、訪問歯科の診療報酬における主な算定点数や歯科訪問診療料の点数を算定する際のポイント、歯科訪問診療料に加算できる報酬について解説しました。

歯科訪問診療料の点数を算定する際は、訪問人数、訪問先、診察時間の3つがポイントになります。

訪問歯科の実施においては、これらの算定基準を正しく理解しておくことが大切です。さらに、歯科訪問診療料に加算できる報酬についても、漏れの無いように条件をしっかりとチェックしておきましょう。

なお、訪問歯科の業務を効率的に実現するには、システムの導入を検討してみてください。

クラウド歯科業務支援システムDentisは、訪問予定の作成や管理などの手間を大幅に削減し、訪問先からでもカルテの閲覧・記録が可能です。

Dentis歯科業務支援システムのサービス資料をダウンロードする

参考

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

Dentisを活用した訪問歯科事例公開中

プライバシーポリシー」 に同意いただいた上で、ダウンロードボタンを押してください

ブログ一覧に戻る