歯科医院におけるレイアウトの重要性とは?こだわるべき要素やレイアウトを決める際の流れをご紹介!
2023年10月30日
歯科医院において院内のレイアウトを工夫することは、患者満足度向上やスタッフの働きやすさにつながります。
本記事では、歯科医院における院内のレイアウトの重要性やこだわるべきポイントについて紹介します。また、レイアウトを決める際のステップについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
歯科における院内レイアウトの重要性
「レイアウト」とは、機器配置・デザインや患者導線など総合的な院内設計のこととなります。歯科医院における院内のレイアウトの重要性について紹介します。主なポイントは次の2つです。
- 患者の満足度向上
- オペレーションの効率化
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
患者の満足度向上
歯科医院が院内の環境に配慮することは、患者の心地よさや治療への満足度を高める重要なポイントです。特に、院内のレイアウトに工夫することで、訪れる患者が安心で快適なリラックスしやすい雰囲気を提供できます。
たとえば、エントランスから受付・待合室までのレイアウト(患者導線)が挙げられます。患者がエントランスから入るとすぐに受付とスタッフが見えることで安心感を与えることができます。
工夫を凝らしたレイアウトは、患者が求める快適性と機能性を同時に満たすことができ、満足度を向上させることにつながるためとても大切です。
オペレーションの効率化
歯科医院における院内のレイアウトは、オペレーションの効率化にも大きく影響を与えます。院長やスタッフの動線がしっかりと設計されていると、診療中の無駄な移動や手間が省けます。
たとえば、使用頻度の高い備品や資材などは、なるべく診察室の近くに保管することで、スタッフが取りに行く手間を減らすことが可能です。
歯科医院におけるレイアウトは、医院全体のオペレーション効率にも寄与するためとても大切です。
歯科医院がレイアウトでこだわるべき7つの要素
歯科医院のレイアウトでこだわるべき要素として、次の7つが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
1.エントランス
エントランスデザインの印象が良ければ、患者はリラックスして診察を受けられます。レイアウト設計では、初診の患者が気軽に入れるような工夫を取り入れることが大切です。
具体的には、エントランスをガラス張りにして院内の様子がわかるようにすることで、歯科医院の前を通る通行人や近隣住民に良い印象を与えられ、来院につながる効果も期待できます。
他にも、階段に手すりを付けたり、スロープを設置することで、高齢者や身体が不自由な方も安心して来院できる環境を作り出せます。
2.受付・待合室
受付や待合室はエントランスから一番近い位置に配置することが多いです。
スタッフがいる受付は、多くの場所から見えやすい位置に設置することが大切です。エントランスだけでなく待合室からも見えるようにすることで安心して治療にのぞむことができます。
また、待合室内のレイアウトは、エリアによってしっかりと検討する必要があります。例えば親子連れが多いエリアであれば、子どもが遊べるスペースを予め用意しておくことで来院しやすくなります。
3.化粧室
化粧室は、受付や待合室の近くに配置することが多いです。受付や待合室の近くに化粧室があることで利用しづらい患者が発生することを防ぐために2重にドアを用意するなどの配慮をすることが大切です。
また、化粧室は患者用とスタッフ用で分けたレイアウト(配置)にするケースもあります。その際には、スタッフ用は受付などの患者が利用する場所からは一番遠い場所に設置しましょう。
化粧室は患者とスタッフそれぞれが利用するシーンを想定してレイアウトすることが大切です。
4.診察室・オペ室
診察室やオペ室は、受付や待合室から近い位置に配置することが多いです。基本的に待合室から移動して向かうため、近くてわかりやすいレイアウト(患者導線)になっていることが重要視されます。
また、診察室やオペ室内のレイアウトは「機能性」が最も重要視される場所です。
歯科医院のレイアウトにおける「高い機能性」とは院長やスタッフが診療をスムーズに行うことができる状態を指します。2人以上で治療する際の動きを事前にシミュレーションして最適なレイアウトにしておくことで効率的な治療が可能となります。
一方、患者への配慮ももちろん重要です。患者同士で治療している様子が見えないレイアウトになるように心がけましょう。
5.X線・CT室
X線・CT室は、エントランスから遠い位置に設置することが多いです。診察室で一度診察や治療をしてから移動するケースが多いため、受付や待合室から近い必要がないためです。
院内におけるX線・CT室の場所を決める際には、X線室とPCコーナーが連動し、データ処理が速やかに行えるようにすることが重要です。
近年、先進的な設備、たとえば3D・パノラマX線装置などを取り入れている医院も増えています。そのような高度な機器を効率良く活用するためにもPCコーナーと隣接させるケースが多くなっています。
また、X線・CT室内のレイアウトにおいても「機能性」が重要です。この部屋で行われる作業は専門的かつ繊細であり、その効率が直接診療の質に影響を及ぼします。院長やスタッフがスムーズに作業できるような配置やスペースを確保するように心がけましょう。
6.事務室・カルテ室
事務室とカルテ室は、個人情報を扱う場所であるため患者から見えにくい場所にレイアウト(配置)することが大切です。多くの歯科医院では、スタッフのいることが多い受付に事務室とカルテ室を隣接させることで個人情報が漏洩するリスクを下げています。
また、事務室やカルテ室内のレイアウトは、作業スペースと収納スペースの確保がとても大切です。スタッフが効率的に作業ができるよう心がけるようにしましょう。
7.院長室
院長室は歯科医院において特別な場所です。この部屋の存在は院長自身の仕事環境だけでなく、医院全体の運営にも影響を与えます。
たとえば、院長室とドクタールームを一緒にする設計もあれば、完全に独立したスペースを確保する医院もあります。配置については、1階が受付や治療室、2階に院長室を設置するといった階層別のレイアウトが多いです。
このように、院長室の配置は建物の構造や院長の方針に依存することが多いですが、どのような場合でも「院長自身が集中しやすく、落ち着ける空間」であることが望ましいです。
院長自身がリラックスできる環境を作ることで、医院全体の品質の向上につなげてください。
院内のレイアウトを決める際の流れは3ステップ
歯科医院が院内のレイアウトでこだわるべきポイントについて理解できたところで、次はレイアウトを決める際の流れについて解説します。主なステップは次の3つです。
- ステップ1.設計・施工の会社を選ぶ
- ステップ2.ターゲットを明確にする
- ステップ3.導線を設計する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
ステップ1.設計・施工の会社を選ぶ
歯科医院のレイアウト設計は、診療品質や患者満足度、そしてスタッフの働きやすさに直結する重要なプロセスです。その最初のステップとして、設計や施工を担当する会社の選定があります。
この選定では、物件の面積や総予算に基づき、複数の設計会社や施工会社から見積もりを取ります。そして、その費用感、過去の実績、対応範囲などを総合的に評価して、最適なパートナーを選びましょう。
歯科医院は一般的なオフィススペースとは異なる多くの特殊性があります。そのため、「これまでに医療機関の設計や施工に関わった経験があるか」というポイントは非常に重要です。
医療機関専門の設計会社や施工会社を選ぶことで、より専門的な知見とスキルを活かした設計が期待できます。
ステップ2.ターゲットを明確にする
院内のレイアウトを決定する前に、最も重要なのはターゲットやコンセプトを明確にすることです。これが医院全体の方向性を決定付け、結果的にレイアウトや内装にも影響を与えます。たとえば、「ファミリー向け」を重視する場合は、キッズスペースを設けると患者から喜ばれます。
これらのコンセプトを具体化するには、5W1Hの手法を用いるのが効果的です。誰が主な対象か(Who)、どのようなサービスを提供するのか(What)、なぜそのサービスが必要なのか(Why)、といった問いに答えることで、医院の個性や方向性が明確になります。
しっかりと自院のイメージを整理し、それを反映したレイアウト設計に取り組むことで、より多くの患者にとって魅力的な歯科医院となります。
ステップ3.導線を設計する
院内のレイアウトを決定する際、導線の設計は欠かせない要素です。歯科医院にはさまざまな部屋やスペースが必要ですが、それらをただ配置するだけでは不十分です。
患者が来院した際の動きや、スタッフが業務を行う際の動線を考慮しながら、効率的で安心できるレイアウトを設計することが求められます。
たとえば、エントランスから受付、待合室、診察室への流れは、迷わないように明確にすることが重要です。また、カウンセリング室はプライバシーを重視し、外部の視線や音を遮断する位置に配置することで、患者が安心して治療や相談を受けられるようにします。
また、スタッフの動きや機器の配置など、業務の流れをスムーズにする工夫も必要です。
歯科医院のレイアウトでよくある質問
歯科医院のレイアウトを決める際の流れについて理解できたところで、次は歯科医院のレイアウトでよくある質問を紹介します。
【質問】歯科医院のレイアウトのポイントは?
歯科医院のレイアウトのポイントは、患者の快適さと効率性を両立させることです。待合室は明るく、清潔感あふれる空間とし、椅子や雑誌などの配置・デザインに工夫を凝らしましょう。
特に、診療室はプライバシーを確保し、患者の安心感を高める工夫が必要です。また、医療機器や治療で使用する材料は使いやすい場所に配置し、スタッフの動線も考慮します。
さらに、院内スタッフの円滑なコミュニケーションを考慮するために、カウンターやデスクの配置にも気を配りましょう。
歯科医院のデザインにおいては、いくつかの重要なポイントがあります。
- 院内の動線設計
患者が診察室やトイレ、待合室への移動をスムーズに行えるようにすることで、不快感やストレスを軽減できる - 患者のプライバシーに配慮
診療ブースを個室化したり、半個室のように壁で仕切ることで、ほかの患者との視線が交わる瞬間を減らし、安心して治療を受けられる空間を提供する - 衛生面と安全面
滑りやすい床材は避け、消毒がしやすく、清掃が容易な素材とデザインを選ぶことが望ましい - 必要な収納スペースを確保
医療機器や診療用具、患者の個人的な荷物を効率よく収納できるように、設計段階でしっかりと計画を立てておくこと重要
以上の要素を考慮しながら医院を導線設計・デザインすることで、患者が過ごしやすい歯科医院になります。
まとめ
この記事では、歯科医院におけるレイアウトの重要性やこだわるべきポイント、レイアウトを決める際のステップについて紹介しました。
レイアウトとは広義の意味合いになりますが、その中でもどの点について考えているのかを明確にして、工夫することで患者満足度向上やスタッフの働きやすさにつながります。そのため、自院のコンセプトを明確にし、安心して診療できる環境を創ることが重要です。
この記事で紹介したレイアウト設計のポイントを参考に、患者が求める快適性と機能性を同時に満たせるレイアウトの設計をしてみてください。
また、患者へのサービス向上と業務効率化にはレイアウトの見直しだけではなく、DX化の推進もおすすめです。
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