【歯科医院向け】医療DXとは?医療業界が抱える課題や取り組むメリット、注意点も徹底解説します!
2023年09月26日
歯科医院がデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)に取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか。この記事では、医療業界が抱える課題や、医療DX令和ビジョン2030の取り組みについて紹介します。
また、歯科医院向けに、医療DXの概要やメリット、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
- 医療DXとは?
- 医療業界が抱える、2025年問題の3つの課題
- 1.医療人材の不足が著しい
- 2.地域による医療格差の広がり
- 3.IT化が大幅に遅れている
- 「医療DX令和ビジョン2030」で推進する3つの取組み
- 1.電子カルテ情報の標準化
- 2.全国医療情報プラットフォームの創設
- 3.診療報酬改定DX
- 歯科医院が医療DXに取り組む2つのメリット
- 1.歯科医院業務の大幅な業務効率化につながる
- 2.歯科医院が患者に対してより安全な歯科医療を提供できる
- 歯科医院が医療DXに取り組む際の3つのハードル
- 1.専門的な知識やスキルが必要になる場合がある
- 2.対応できる組織作りから始める必要がある
- 3.情報漏洩やハッキングのリスクが発生する
- 歯科医院における主な医療DXの取り組みは4つ
- 1.電子カルテの導入
- 2.予約システムの導入
- 3.サブカルテの導入
- 4.レセプトチェックの導入
- まとめ
医療DXとは?
厚生労働省では以下のように定義づけされています。
医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えることと定義できる。
『引用元:厚生労働省|医療DXについてP4より』
医療業界が抱える、2025年問題の3つの課題
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会に突入することで起きるとされる問題の総称です。具体的には医療人材の不足、地域による医療格差、IT化の遅れが挙げられ、それぞれ患者や医療従事者に影響を及ぼします。
1.医療人材の不足が著しい
高齢者の人口が増加することは、医療や介護に対する需要の増加を意味します。
しかし、少子高齢化による労働力不足も同時に生じるため、医療業界にも人手不足をもたらします。また、医師や看護師だけでなく、薬剤師や検査技師などの専門職、事務や清掃などの補助職も対象です。
医療人材の不足は、患者の安全やサービスの質を低下させるだけでなく、医療従事者の過重労働や離職率の上昇にもつながる懸念があります。
2.地域による医療格差の広がり
2025年問題では、地域による医療へのアクセスやサービスの質に大きな差が生じることが懸念されています。実際に都市部と地方部では、医療施設や医療従事者の数、種類に大きな偏りがあります。
都市部では、大学病院や専門病院など多くの医療機関が集中しているため、高度で先進的な医療を受けることが可能です。
一方、地方部では、診療所や地域包括ケアセンターなど基本的な医療を提供する施設が多く、専門的な医療を受けるためには遠方へ移動する必要があります。また、地域によっては、救急車が到着するまでに時間がかかったり、受け入れ先が見つからなかったりすることもあります。
3.IT化が大幅に遅れている
IT化が大幅に遅れている医療業界において、デジタル技術の活用が急務となっています。日本の医療業界は、電子カルテや電子処方箋などの導入率が低く、紙ベースでの業務が多く残っています。
これは、医療業界特有の法規制や保守性、経営資源の不足などが要因です。日本の医療業界は、他国に比べてIT化の進捗が遅く、効率性や利便性に課題が残っています。
「医療DX令和ビジョン2030」で推進する3つの取組み
ここからは「医療DX令和ビジョン2030」で推進されている仕組みについて紹介します。
1.電子カルテ情報の標準化
電子カルテ情報の標準化とは、医療機関で記録される電子カルテの情報を一定の形式やコードに統一することです。現在、日本の医療機関では、さまざまなベンダーから提供される電子カルテシステムを利用しているため、その内容や形式は医療機関やベンダーによって異なります。
以上の背景から、電子カルテ情報の相互運用性や利活用性が低く、医療情報の共有や分析が困難になっています。
2.全国医療情報プラットフォームの創設
全国医療情報プラットフォームとは、医療情報をオンラインで共有・交換できる全国的な取り組みです。このプラットフォームは、オンライン資格確認システムのネットワークを拡充して作られます。
また、レセプトや特定健診情報だけでなく、予防接種や電子処方箋、電子カルテなどの医療情報(介護含む)もクラウド間で連携できます。
このプラットフォームを利用することにより、必要なときに必要な情報を得ることが可能です。「医療DX令和ビジョン2030」の中核的な取組みとして位置づけられています。
3.診療報酬改定DX
診療報酬改定DXとは、デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、システムエンジニア(以下、SE)の有効活用や費用の低廉化を目指すことです。
ベンダーに所属するSEは診療報酬改定作業に多くの時間を割かれているため、他の業務や新規開発に充てられる時間が少なくなっています。
歯科医院が医療DXに取り組む2つのメリット
ここからは、歯科医院が医療DXに取り組む2つのメリットについて紹介します。
1.歯科医院業務の大幅な業務効率化につながる
歯科医院が医療DXに取り組むメリットの一つは、歯科医院業務の大幅な業務効率化につながることです。予約管理やカルテ作成、レセプト出力などの業務をスムーズに実施することができます。
また、患者とのコミュニケーションやフォローアップもオンライン上で可能となります。これらのことは、歯科医院の収益性や競争力を高めるだけでなく、スタッフの負担を軽減し、働きやすい環境を作れます。
しかし、医療DXに取り組むためには、適切なシステムやツールを選ぶことが重要です。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、Web予約、オンライン診療、キャッシュレス決済、リコールといったかかりつけ支援機能までを効率化できるシステムです。
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2.歯科医院が患者に対してより安全な歯科医療を提供できる
医療DXとは、デジタル技術を活用して医療に関わるあらゆる業務を改善・効率化することです。歯科医院では、以下のような業務がデジタル化されることで、患者に対してより安全な歯科医療を提供できます。
- 口腔内スキャナーやCAD/CAMシステムの利用
- 患者管理システムを利用した禁忌薬情報などの一元管理
- サイバーセキュリティ対策や倫理規範の整備
これらの業務のデジタル化は、患者の口腔内の状態をより正確に把握し、最適な治療計画を立てることや、患者の医療過誤のリスク減少につながります。
歯科医院が医療DXに取り組む際の3つのハードル
歯科医院が医療DXに取り組むことで、どのようなメリットや課題があるのでしょうか。歯科医院が医療DXに取り組む際の3つのハードルとその対策について解説します。
1.専門的な知識やスキルが必要になる場合がある
デジタル技術を導入するには、その特性や利用方法を理解し、適切に運用するための専門的な知識やスキルが必要になる場合があります。
たとえば、電子カルテや電子処方箋などのシステムを導入するには、システムの構築や保守、セキュリティ対策などのIT関連の知識やスキルが必要です。また、AIやビッグデータ分析などの先端技術を活用するには、データの収集や分析、活用方法などのデータサイエンス関連の知識やスキルが必要です。
これらの知識やスキルは、歯科医師や歯科衛生士などの医療従事者が持っているとは限りません。
そのため、医療DXに取り組む際には、外部のベンダーやコンサルタントに頼らざるを得ないこともあります。それには費用や時間がかかり、医院ではコントロールできないリスクも発生します。
そのためデジタル技術の導入には、コスト面・技術面でなるべく導入ハードルが低く、操作性の良いものや、導入後のフォロー体制があるサービスを選ぶことが重要です。
2.対応できる組織作りから始める必要がある
デジタル技術を有効に活用するためには、組織全体でDXへの意識や理解を高め、変革への取り組みが欠かせません。
たとえば、電子カルテや電子処方箋などのシステムを導入するには、システムの選定や導入計画、教育や研修などのプロジェクト管理を行う必要があります。また、AIやビッグデータ分析などの先端技術を活用するには、データの収集や分析、活用方法などの戦略立案や実行が必要です。
これらの業務は、歯科医師や歯科衛生士などの医療従事者だけではなく、経営者や管理者などの経営層も関与しなければなりません。各部門や職種間での連携や協力が不可欠です。
一方で、自院でできる範囲からDXして、徐々に領域を拡大していくということが、歯科医院のDX推進にとっては有効になるケースもあります。デジタル機器の操作に強いスタッフを採用し、まずは小さくデジタル機器を導入してみることも重要です。
3.情報漏洩やハッキングのリスクが発生する
デジタル技術を導入することで、情報漏洩やハッキングなどのサイバーセキュリティのリスクが発生するかもしれません。
たとえば、電子カルテや電子処方箋などのシステムを導入することで、患者の個人情報や医療情報などの重要なデータがデジタル化されます。これらのデータはクラウドやネットワークを通じて保存や共有されるため、不正アクセスや改ざんなどの攻撃にあう恐れがあります。
また、AIやビッグデータ分析などの先端技術を活用することで、患者のヘルスデータや医療知識などの貴重なデータが生成されます。これらのデータは第三者機関に預ける場合もあり、その管理や利用に関するプライバシーや倫理などの問題が生じる可能性があります。
そのため、院内DXに取り組む際には、サイバーセキュリティ対策がされているサービスの導入を検討することが必要です。セキュリティ対策されているかどうかは、ISMS認証などの公的な認証を取得しているかどうかで判別ができます。
歯科医院における主な医療DXの取り組みは4つ
歯科医院における主な医療DXの取り組みとその効果について解説します。
1.電子カルテの導入
電子カルテとは、紙ベースで管理されていたカルテを電子化することで、情報の入力・保存・検索・共有が容易になるシステムです。電子カルテを導入することで、以下のような業務を効率化させる効果があります。
- 診療記録の作成・管理
- 患者管理
- レセプト作成・チェック
電子カルテの導入により、歯科医院の業務や患者へのサービスを大きく改善できますが、システムの選定や費用、セキュリティなどの課題にも注意が必要です。
2.予約システムの導入
予約システムとは、インターネットやスマートフォンなどのデジタル技術を活用して、患者が自分で予約を入れたり変更したりできるシステムです。予約システムを導入することで、以下のような効果があります。
- 受付業務の軽減
- スケジュール管理の最適化
- 患者満足度の向上
予約システムの導入は、歯科医院の業務や患者へのサービスを大きく改善できます。
3.サブカルテの導入
サブカルテとは、主カルテに記載しきれないような詳細な情報やメモなどを記録する補助的なカルテです。サブカルテを導入することで、以下のような効果があります。
- 院内の情報共有の円滑化
- 診療品質の向上
サブカルテは、主カルテと連動して利用できるシステムで、情報共有の円滑化が可能です。また、患者の治療履歴や傾向、アドバイスなどを記録できる機能により、診療品質の向上ができます。
4.レセプトチェックの導入
レセプトチェックとは、レセプト作成時にエラーや不備を自動的に検出する機能です。レセプトチェックを導入することで、以下のような効果があります。
- レセプト作成時間の短縮
- レセプトの品質や正確性の向上
レセプトチェックを導入することで、レセプト作成時間の短縮、レセプトの品質や正確性の向上などの効果が期待できます。
まとめ
この記事では、医療DXとは何か、医療業界が抱える課題や取り組むメリット、注意点などを解説しました。また、歯科医院における主な医療DXの取り組みも紹介しました。
医療DXは、2025年問題に対応するために不可欠なものです。しかし、医療DXに取り組むためには、専門的な知識やスキルが必要になる場合があり、対応できる組織作りから始めることが必要です。
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