【2024年版】歯科業界で起こるであろう今後の変化|現況や今後求められることをわかりやすく解説!
2023年09月20日
多様性が謳われている現代、患者が歯科医師に求めるニーズも変化しつつあります。
歯科医院業界での生き残りをかけて、今後起こりうる変化や求められる対策などをしっかりと把握しておくことが大切です。
歯科医師の高齢化や医療従事者の人手不足など、歯科医業界に多大な影響をもたらす可能性がある事案に関してもピックアップして解説していきます。
記事監修
株式会社メドレー Dentis編集部
歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。
INDEX
歯科業界における現況
まずは、歯科業界の現状を把握し、今後どのような行動、対策が有効であるかをじっくりと検討していく必要があります。まずは、以下の内容について紹介していきます。
- 人口減による医院の競争激化
- 歯科医師の高齢化
- ニーズの多様化
それぞれについて見ていきましょう。
人口減による医院の競争激化
人口減少により歯科医院の競争が激化しています。
小規模医院の生き残りが難しく、減少している一方で、歯科医療法人は増加し、売上も増えているため、規模の大きな医院が増加・増収している状況です。
歯科医院の人材確保が難しい背景には、一般企業への人材流出、先進国の賃上げの動きによる影響もあります。日本でも都市部での時給上昇が進行、若者の都市部への移動が進み、地方は過疎化が進んでいる一方で、十分な賃金を払えない組織の経営が困難になっています。
このような状況下で、歯科医院は競争力を維持し、生き残るためには適切な経営戦略と人材確保に対する工夫が重要です。
歯科医師の高齢化
日本の歯科医師数は1970年代から増加しており、現在は団塊の世代を中心に高齢化が進んでいます。しかし、新規開業をする歯科医師の年齢は年々上昇しているのが現状です。
この傾向の背後には、開業に対する考え方の変化や資金不足、そして適切な開業場所の減少が影響していると考えられます。
ニーズの多様化
最近では、患者のニーズが変化し、歯科医院もニーズに応えた経営が求められています。
かつては、主要な需要が虫歯治療に集中していましたが、虫歯罹患率の低下により、他の治療にも目を向ける歯科医院が増加しています。
厚生労働省の調査によると、フッ素化物応用などの予防ケアや歯科検診が普及したことにより、未処置の虫歯や失われた歯、充填歯の数が減少しており、口腔内の健康状態が向上しています。
今後も予防意識の高まりにより、虫歯治療の需要はますます減少すると予想されており、歯科医院では予防、ホワイトニング、歯科矯正などの分野を強化する動きが増えている傾向にあります。
歯科医療従事者の人手不足
前述した通り、歯科医師の数は1970年代から増加している一方、歯科医療従事者の人手不足は深刻化しています。なかでも、歯科衛生士や歯科助手、歯科技工士の不足が顕著です。
歯科衛生士の場合、売り手市場となっており、有効求人倍率は20倍、転職経験率も70%と非常に高く、人材の定着が難しい状況です。
また、歯科医師の中でも60歳以上が33.5%を占め、高齢化が進んでいます。これらの理由から、歯科業界全体で見ると、人手不足が進行していると言えます。
出典:医師・歯科医師・薬剤師数、構成割合及び平均年齢,性・年齢階級、施設・業務の種別 P.27
歯科業界で起こるであろう今後の変化は4つ
診療所の大規模化や自己負担率の上昇、審美歯科のニーズ拡大など、将来的に歯科業界で起こるであろう変化について解説していきます。
1.自己負担金の負担率上昇
将来、生産年齢人口が減少すると、保険診療には大きな改革が必要になると予想されます。一例ですが、自己負担金の引き上げ、自費診療枠の拡大などの変化が起こる可能性もありえます。
このような変化に伴って、予防インセンティブ制の導入や高額な医療費に対応する民間保険の普及などが考えられます。
そのような事態に備えて、早めに念入りな対策をする必要があります。
2.医療DXのさらなる推進
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)は、歯科医療現場に多くのメリットをもたらすと期待されています。電子処方箋による情報共有により、患者の服薬情報をリアルタイムで確認し、より安全な歯科医療を提供することが可能です。
また、災害時には身元確認が迅速に行えるため、安心して治療が受けられる環境が整います。加えて、医療機関同士での情報共有を可能にすることで、治療までの流れがスムーズになり、歯科医師の負担軽減にもつながります。
これらのメリットを活用し、医療DXの推進を進めることで、より高度な歯科医療の提供が可能です。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、サブカルテのファイル管理も情報共有もクラウドで一元管理することができ、安全な歯科医療を提供することが可能です。
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3.審美ニーズの増大
近年、若年層での審美ニーズが増大傾向にあります。美しさへの関心と意識の高まりの背景には、SNSの普及が要因であると考えられ、コミュニティの幅が広がったことが関連しているといえます。
実際に、審美歯科で用いられるセラミックの出荷量は、コロナ禍以降も増加中です。世界の審美歯科の市場規模は、2020年の時点で200億米ドルでしたが、2027年には289億米ドルに達するとされています。
出典:審美歯科の世界市場 (2023-2030年):製品 (歯科システム&機器・歯科インプラント)・エンドユーザー (歯科病院&クリニック・歯科技工所) 別の規模・シェア・成長分析・予測
今後、日本でもさらなる審美ニーズの拡大が予測されます。
4.訪問歯科の普及
日本の人口減少により歯科医院の患者数は2045年に約10%減少する見通しです。一方で、高齢化社会で65歳以上の患者数は増加すると予想され、高齢者向けの補綴治療や歯周疾患治療のニーズが高まります。
出典:データで見る 2040 年の社会と今後の歯科医療
それに伴って、訪問歯科診療のさらなる成長も期待されているのが現状です。訪問歯科は、高齢者の足腰の不調や運動機能の低下により通院が難しい場合に利用され、患者が医療機関に出向く必要がなく、自宅で治療を受けることが可能です。
70歳以上の方に需要があるとされており、患者とその家族の介護負担の軽減が期待されています。
歯科業界に今後求められる3つのこと
今後起こるであろう変化を踏まえた上で、近い将来歯科医業界に求められることを2つにわけて解説していきます。
- ITの利活用
- 女性が長く働きやすい職場づくり
それでは詳しく見ていきましょう。
1.ITの利活用
近年、インターネットやデジタルツールの普及に伴って、さまざまな媒体から医療機関、治療内容に関する情報収集が可能になりました。よって、他院との差別化を図るため、自院のホームページ作成やWebコンテンツの立ち上げが有効な集患方法になっています。
ホームページやWebコンテンツを利用する際は、情報の選定を重要視するとともに、デザイン性やスマートフォン対応、高速表示などの細やかな工夫が必要です。
さらに、ネット予約システムやデジタル診察券などのIT活用により、利便性を向上させることで集患と患者満足度の向上に繋がることが予想されます。
2.女性が長く働きやすい職場づくり
前述のコンテンツで、歯科医療従事者の人手不足について記載しましたが、歯科衛生士の多くは女性であることから、生活環境の変化に伴い、復職を断念する人が多くみられます。
給与や待遇だけでなく、勤務時間や勤務形態、人間関係など、希望が叶わずに諦めるケースも多いです。優秀な歯科衛生士の採用を希望するのであれば、女性でも働きやすい職場環境を提供する必要があります。
福利厚生や社会保険の整備を行った上で、インターネットを活用し、求人情報を掲載すれば、優秀な人材を確保できる可能性は高いです。雇用関係についてのアドバイスは、専門家である社会保険労務士に相談してみましょう。
歯科業界の今後の変化についてよくある3つの質問
歯科業界の今後起こりうる出来事に関連した、よくある質問を3つピックアップしたので解説していきます。
【質問1】高齢化による歯科業界のM&Aの今後の見通しは?
歯科業界におけるM&Aの活用は主に3パターンにわかれています。
まずは、歯科医師の高齢化に伴い、60歳前後で引退、事業継承を考える医師が多いです。しかし、後継者不在などの観点から今後さらにM&Aの増加が見込まれます。
2パターン目に、歯科業界の競争が激化する中で、予防歯科、訪問歯科、審美歯科、矯正歯科などの専門分野に特化した歯科医院が増加しているため、さらなる差別化、生き残りをかけて、別の専門分野へ進出したり、規模を拡大したりする際にM&Aが活用されます。
新たに開業を考えている歯科医師によるM&Aの活用が3パターン目です。
歯科医院の新規開業には通常、5,000万円以上の資金が必要と言われています。しかし、M&Aを利用すれば、設備や従業員を引き継げるため、開業にかかるコストを抑えることが可能です。
さらに、前院長の経験や既存の患者を引き継げるため、開業を希望する歯科医師がM&Aを選ぶケースが増えています。
【質問2】今後の歯科業界に最適なマーケティング施策とは?
インターネットやデジタルツールの普及にあわせて、下記のマーケティング施策をおすすめします。
- 自院ホームページやブログの作成
- SEO対策
- 有料広告の活用
- ダウンロードコンテンツやメールマガジンの活用
- ブランドポジションの確立
どのマーケティング施策を用いても、ある程度の集患を目的とするのであれば、Webコンテンツの活用は必須であるといえます。
患者に歯科医院に関心をもってもらい、来院につなげていくことは大切です。
Webコンテンツを活用することで、競合の歯科医院との差別化をはかれ、より多くの患者を集患することができます。集患に悩んでいる歯科医院は、ぜひ活用してみてください。
【質問3】今後の歯科医院経営は保険診療だけでは成り立たない?
医療費は医科・歯科を問わず増加していますが、一方で歯科の診療報酬改定率は十分でなく、歯科医療費の全体に占める割合、1件あたりの診療報酬点数も減少している傾向にあります。
保険診療では十分な治療を提供できないとの声もあり、自費診療(その他の診療収益)の割合が医業収益において高まっています。
患者が求めるニーズの多様化を考慮すると、保険主体の診療スタイルの見直しを検討する必要が生じているといえるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、歯科業界の現状や起こるであろう変化、将来的に求められることについて紹介しました。
歯科医師の高齢化している現状や患者が歯科医師に求めるニーズの多様化をしっかりと把握した上で、歯科業界の競争に勝ち残るため、予防歯科、訪問歯科、審美歯科、矯正歯科など専門性をアピールしたり、医院全体のサービスの向上を図ったり、働きやすい職場づくりを行っていく必要があります。
そのためには、事前に経営戦略を練り、Webコンテンツを活用した集患が重要です。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、歯科治療に必要な業務をデジタル化することができ、働きやすい職場づくりの推進や、安心で安全な歯科治療のサービス向上に貢献します。
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株式会社メドレー Dentis編集部
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