【歯科医院向け】マニュアルとは?主な目的や注意点、作成の流れをわかりやすく解説!
2024年01月22日
歯科医院におけるマニュアル作成は、スタッフの業務内容を標準化し、業務効率や正確な作業を担保するうえで欠かせない存在です。
本記事では、マニュアル作成の主な目的やマニュアルを作成する際の注意点、歯科医院のマニュアルを作成する際の流れについて解説しています。また、効果の高いマニュアルを作成するコツについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
記事監修
株式会社メドレー Dentis編集部
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INDEX
- マニュアルとは?
- マニュアル作成の主な目的は4つ
- 1.業務の手順を標準化するため
- 2.業務の品質を均一化するため
- 3.属人化を防ぐため
- 4.教育・引き継ぎの手間と時間を削減するため
- マニュアルを作成する際の注意点は3つ
- 1.一時的に業務効率が悪化する可能性がある
- 2.モチベーションの低下を招 くケースがある
- 3.継続的な作成・管理に手間がかかる
- 歯科医院のマニュアルを作成する際の流れは5ステップ
- ステップ1.マニュアル作成の目的を明確にする
- ステップ2.業務の洗い出しを行う
- ステップ3.構成・目次を作成する
- ステップ4.本文を記載する
- ステップ5.使うたびに改善を重ねる
- 効果の高いマニュアルを作成する4つのコツ
- 1.デザインや見栄えにこだわりすぎない
- 2.5W1Hを意識する
- 3.使用目的に合わせて形式を変える
- 4.業務同士のつながりを記載する
- 歯科医院のマニュアルでよくある3つの質問
- 【質問1】マニュアルの主な種類とは?
- 【質問2】歯科衛生士の新人教育マニュアルに盛り込むべき項目は?
- 【質問3】新人歯科衛生士が仕事を早く覚えるためのコツは?
- まとめ
マニュアルとは?
マニュアルは、業務に関するノウハウや進め方をまとめたドキュメントです。業務の概要や流れ、ルールなどを明確に示すために利用します。
マニュアル作成の主な目的には、業務の効率化やスタッフ間での業務内容の標準化があります。業務の進め方を統一することで、品質の向上や安全性の確保が実現可能です。
また、マニュアルを活用することで、スタッフの教育や育成が容易になり、生産性を高められます。
マニュアル作成の主な目的は4つ
次にマニュアル作成の主な目的について解説します。
- 業務の手順を標準化するため
- 業務の品質を均一化するため
- 属人化を防ぐため
- 教育・引き継ぎの手間と時間を削減するため
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.業務の手順を標準化するため
マニュアル作成の重要な目的の1つに、業務の標準化があります。マニュアルを作成することにより、業務の流れを整理し、必要な手順を理解できます。
もし、スタッフがマニュアル無しで業務を遂行する場合、その都度手順を考えながら作業しなければなりません。このような状況では、無駄な時間ばかりが増え、最終的な成果の品質も一定ではありません。
ただし、マニュアルがあれば業務内容を明確にしたうえで一定のレベルで業務を行えます。また、業務の標準化によって、クリニック全体の生産性向上につながります。
2.業務の品質を均一化するため
マニュアル作成の主な目的の1つは、業務の品質を均一化することです。マニュアルの作成により、スタッフ間での業務品質のバラつきを防ぎ、院内全体の業務遂行レベルの向上が可能になります。
スタッフがそれぞれの方法で作業を行うと、「人によってやり方が違う」、「余計な時間がかかる」といった問題が発生し、ミスも発生しやすくなります。
しかし、マニュアルがあればスタッフは迷わずに正確な作業を進めることができ、一定のレベルでの業務遂行が可能になります。
3.属人化を防ぐため
マニュアル作成の主な目的の1つは、属人化を防ぐことです。マニュアルがあれば、全員が同じ方法で業務を実施し、同じ結果を得られるため、業務が個人に偏ることを避けられます。
特定の業務に習熟したスタッフがその仕事ばかりを担ってしまうと、ほかのスタッフはその業務の進め方が分からず、習熟したスタッフに頼らざる得ないという状況が発生します。
しかし、マニュアルに業務に必要な知識を網羅させることで、これらの問題を解決できるのです。
4.教育・引き継ぎの手間と時間を削減するため
マニュアル作成の主な目的の1つは、新入スタッフの教育や業務の引き継ぎに伴う手間と時間を削減することです。
マニュアルが整備されていると、新しいスタッフの研修や業務内容の確認、担当者が変わる際の引き継ぎ作業がスムーズになります。
さらに、人によってやり方が違うという問題もマニュアルの使用によって防止でき、新人スタッフが業務を習得するスピードも早くなります。
また、新人スタッフもわからないことがあった場合は、マニュアルで内容の確認ができるため、効率的な学習が可能です。
マニュアルを作成する際の注意点は3つ
次に、マニュアルを作成する際の注意点について解説します。
- 一時的に業務効率が悪化する可能性がある
- モチベーションの低下を招くケースがある
- 継続的な作成・管理に手間がかかる
それぞれついて詳しくみていきましょう。
1.一時的に業務効率が悪化する可能性がある
マニュアルを作成する際は、一時的な業務効率の低下に注意が必要です。マニュアル作成には時間と集中できる環境が必要であり、日常業務に影響を与える可能性があります。
この一時的な業務効率の低下を避けるためには、テンプレートの活用やマニュアル作成の専用ツールの導入が有効です。これにより、マニュアル作成業務を効率化し、日常業務への影響を軽減できます。
また、マニュアル作成を段階的に進めるのも1つの解決策です。すべてを集中して作成するのではなく、いくつかのステップにわけて作成することで、業務効率の低下を避けつつ質の高いマニュアルを作成できます。
2.モチベーションの低下を招くケースがある
マニュアルを作成する際に注意すべき点の1つとして、従業員のモチベーション低下が挙げられます。マニュアルに沿った行動が求められることで、スタッフは自ら考えて行動する機会が減少し、それがモチベーションの低下を招く可能性があります。
このような状況に陥らないためには、「従業員の発案によりマニュアル自体を定期的に見直しをかけることが重要です。従業員に自身の考えなどが反映される場を作ることで、自ら考える機会を作りモチベーション低下を回避します。
3.継続的な作成・管理に手間がかかる
マニュアル作成の際に注意すべき点の1つは、継続的な管理に手間や時間がかかることです。
場合によっては、マニュアル作成に時間がかかりすぎるあまり、本来の目的を見失い、マニュアル作成そのものが目的化してしまう場合があるため注意が必要です。
マニュアル作成の時間を短縮するには、WordやPowerPointのようなツールを活用したり、業務ごとに分担して作成するようにしましょう。
マニュアルは頻繁に修正、確認、更新することで、使いやすさが増していきます。そのため、管理方法を限りなく簡略化することが重要です。
歯科医院のマニュアルを作成する際の流れは5ステップ
次に、歯科医院のマニュアルを作成する際の流れについて解説します。
- ステップ1.マニュアル作成の目的を明確にする
- ステップ2.業務の洗い出しを行う
- ステップ3.構成・目次を作成する
- ステップ4.本文を記載する
- ステップ5.使うたびに改善を重ねる
それぞれについて詳しくみていきましょう。
ステップ1.マニュアル作成の目的を明確にする
歯科医院のマニュアルを作成する際の最初のステップは、その目的を明確にすることです。
マニュアルの作成には多くの時間と労力が必要となるため、最初に目的をしっかりと決めることで、効率的かつ効果的なマニュアルが作成できます。
さらに、マニュアル作成の目的を忘れずにいれば、内容が一貫したものになりやすく、マニュアルの質も高くなります。
ステップ2.業務の洗い出しを行う
歯科医院のマニュアルを作成する際の次のステップは、業務の洗い出しを行うことです。マニュアル作成の前段階で、どのような業務をマニュアル化するのか、どれだけ詳しく記載するのかを明確にする必要があります。
具体的には、受付の流れや患者との適切なコミュニケーションの方法、清掃・消毒の手順など、歯科医院での日常業務をリストアップします。その際に「どのようなポイントがあるのか」「どの部分が新人スタッフにとって難しいのか」など、詳細な業務の内容とその特性を理解することが大切です。
ステップ3.構成・目次を作成する
歯科医院のマニュアルを作成する際の次のステップは、構成と目次を作成することです。構成はドキュメントの骨組みとなる部分であり、マニュアル全体の流れを決定します。
マニュアル化する業務範囲を定め、どのような情報をマニュアルに盛り込むかが明確になったら、スタッフにとって理解しやすい文書の体系を考える必要があります。
さらに、目次によってマニュアル内における情報の場所を示し、スタッフが必要な情報に迅速にアクセスできるようにすることも大切です。
ステップ4.本文を記載する
歯科医院のマニュアル作成の次のステップは、本文の記載です。この段階でのポイントは以下のとおりです。
- デザインよりも分かりやすさ重視する
デザインや見栄えよりも、分かりやすいマニュアルの内容を充実させる。誤字脱字の有無をチェックし、不明な部分を見つけて修正する
- 一目で内容が理解できるタイトルや見出しをつける
必要な情報を見つけやすくするために、すぐに内容が理解できるタイトルや見出しをつける
- 視覚的にわかりやすくする
図表、チャート、イラスト、写真などを活用し、重要な部分には色を整えるなど、視覚的にわかりやすく工夫する
これらのポイントに注意することで、見やすくわかりやすいマニュアルを作成できます。
ステップ5.使うたびに改善を重ねる
歯科医院のマニュアルを作成する最後のプロセスは、継続的な改善を重ねることです。マニュアルの作成は最終目的ではなく、出発点です。
実際の運用のなかで、業務手順の見直しなどの理由により、マニュアルの内容を見直す必要性が生じます。そのため、マニュアル作成後もPDCAサイクルを回し、マニュアルを継続的に改善することで、真に活用されるマニュアルを作成できます。
効果の高いマニュアルを作成する4つのコツ
次に、効果の高いマニュアルを作成するコツについて解説します。
- デザインや見栄えにこだわりすぎない
- 5W1Hを意識する
- 使用目的に合わせて形式を変える
- 業務同士のつながりを記載する
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.デザインや見栄えにこだわりすぎない
効果の高いマニュアルを作成するには、わかりやすさ、つまり相手に伝わるかどうかが重要です。デザインや見栄えにこだわり過ぎると、かえってわかりにくいマニュアルになってしまいかねません。
視覚的にもシンプルで見やすいマニュアルを作成することで、見やすくわかりやすいマニュアルが作成できます。このように、マニュアル作成においては、相手に伝わりやすい内容になっているかを重視してください。
2.5W1Hを意識する
効果の高いマニュアルを作成するコツとして、「5W1H」を意識しましょう。5W1Hとは、「いつ・誰が・どこで・何を・なぜ・どのように」を指す言葉です。
この5W1Hを意識することで、内容が具体的になり、スタッフが求めている情報が伝わりやすくなります。具体的には、「誰がこの業務を行うのか」「どのタイミングで、この業務が必要になるのか」などを示すとわかりやすくなります。
また、マニュアルで使用する言葉や表現に関しては、シンプルかつ明確な表現にすることが重要です。
3.使用目的に合わせて形式を変える
効果的なマニュアルを作成するためには、使用目的に応じた形式を選択することが大切です。マニュアルは業務の種類や状況によって異なる使い方がされるため、その使用目的に適した形式を採用することが効果的な活用につながります。
たとえば、外出時に常にマニュアルを携帯する必要がある場合、コンパクトで持ち運びが可能な形式が望ましいです。このような場合、手帳サイズのマニュアルはそのニーズを満たすことができます。
オフィス内や診療室など特定の場所で主に使用される業務マニュアルは、見やすさや使いやすさを考慮した形式が適しています。この場合、大きな文字や図解、色分けされたセクションなど、情報がわかりやすいレイアウトを採用するのがおすすめです。
4.業務同士のつながりを記載する
効果的なマニュアルを作成するには、業務の全体像や業務の連携について明確に記載する必要があります。たとえば、患者の受付業務がどのように診療計画や治療に影響を与えるのか記載することで、業務の重要性が分かりやすくなります。
このように、業務のつながりをマニュアルに記載することにより、スタッフは自分の業務が医院全体のなかでどのような役割があるのか理解し、業務に対する責任感を高めることができます。
また、このような業務間のつながりは、新人スタッフへの教育の際にも有効です。新人スタッフがスタッフの一員としてほかのスタッフとの連携を強化できるように指導することが大切です。
歯科医院のマニュアルでよくある3つの質問
最後に、歯科医院のマニュアルでよくある質問を紹介します。
- 【質問1】マニュアルの主な種類とは?
- 【質問2】歯科衛生士の新人教育マニュアルに盛り込むべき項目は?
- 【質問3】新人歯科衛生士が仕事を早く覚えるためのコツは?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
【質問1】マニュアルの主な種類とは?
マニュアルの種類は多岐にわたります。主な種類は以下のとおりです。
- 規範マニュアル
クリニックの理念や基本方針、従業員の行動規範を明文化した文書。医院の目指す方向や、スタッフとしての理想的な行動が示されている
- 業務マニュアル
業務の流れや手順、注意点、判断基準などを詳細に記したもので、業務の標準化を目指して作成される
- 危機管理マニュアル
災害や感染症の流行など予期せぬ事態への対応を記したマニュアル。スタッフが講じるべき行動、具体的な対応策が詳しく記載されており、医院の事業継続を支える重要な役割を果たしている
- 教育・訓練マニュアル
スタッフの教育や訓練に使用されるマニュアルで、クリニック理念、事業内容、業務知識、ビジネスマナーなど、実務に役立つ情報が記載されている
それぞれのマニュアルの目的や記載内容を理解して、これらを使い分けることが大切です。
【質問2】歯科衛生士の新人教育マニュアルに盛り込むべき項目は?
歯科医院において、歯科衛生士の新人教育マニュアルの作成は非常に重要です。新たな歯科衛生士を受け入れる際、スムーズな業務の遂行と患者への最適なケアを提供するための基盤となります。
歯科衛生士の新人教育マニュアルに盛り込むべき内容は以下のとおりです。
- 歯科衛生士としての心構え
- 患者への接遇・心づかい
- 受付・電話応対業務
- 歯・口腔の基礎知識
- 治療器具の準備・後処理
- アシスタント業務に必要な基本技術と知識
- 歯科治療に関する情報
- 災害や事故などの緊急時の対応
- 薬剤・材料に関する知識
以上の項目をマニュアルに盛り込むことで、新人歯科衛生士の教育に関して、社会人としての基本的なマナーや専門的なスキルの向上に役立ちます。
【質問3】新人歯科衛生士が仕事を早く覚えるためのコツは?
新人の方はわからないことが多いため、マニュアルを改善するいい機会になります。また、業務量もベテランの方に比べて少ない傾向にあるため、マニュアルでわからない部分があれば、新人の方がベテランの方に聞き、マニュアルにまとめることをおすすめします。
新人の方自身も業務を言語化することで習得が早くなり、マニュアルも改善されて一石二鳥です。なお、仕事を早く覚えるためには、風通しのよい職場の雰囲気づくりも大きく影響します。質問がしやすい環境となっているか、改めて確認するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、マニュアル作成の主な目的や作成する際の注意点、歯科医院のマニュアルを作成する際の流れ、効果の高いマニュアルを作成するコツについて解説しました。
マニュアル作成には、業務手順の標準化や業務の品質を均一化、教育・引き継ぎの手間と時間を削減するなどの目的があります。ただし、マニュアル作成することで、スタッフのモチベーションの低下や、継続的な作成・管理に時間がかかるなどの懸念もあります。
そのため、マニュアル作成に必要なコツを理解し、わかりやすくスタッフ同士のつながりが理解できるマニュアルの作成に努めてみてください。
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記事監修
株式会社メドレー Dentis編集部
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