【歯科医院向け】オンライン資格確認は2023年4月から原則義務化|準備すべきことや注意点も解説!
2023年12月04日
2023年4月より、オンライン資格確認の原則「義務化」が開始されました。オンライン資格確認を導入するうえで、導入方法の理解や注意点について抑えておく必要があります。
本記事では、オンライン資格確認の義務化に関する概要や、義務化される理由、義務化にともなって準備すべきことについて解説します。また、オンライン資格確認の義務化で注意すべきポイントについても解説しますので 、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
- オンライン資格確認は2023年4月から原則義務化
- 診療報酬加算の見直し
- オンライン資格確認の導入が義務化される3つの理由
- 1.患者側が限度額認定証等の交付申請を不要にするため
- 2.薬剤情報や特定健診の情報を閲覧できるようするため
- 3.医院における事務作業の簡素化を目指すため
- オンライン資格確認の義務化にともない準備すべき3つのこと
- 1.導入方法と流れ
- 2.導入費用
- 3.活用できる補助金
- オンライン資格確認の義務化で注意すべき3つのポイント
- 1.初期費用が補助金の上限を超えるケースもある
- 2.セキュリティ対策が必要になる
- 3.スタッフに対する研修が必要になる場合もある
- 【歯科医院向け】オンライン資格確認の義務化でよくある3つの質問
- 【質問1】オンライン資格確認を導入するメリットは?
- 【質問2】歯科医院におけるオンライン資格確認の導入状況は?
- 【質問3】オンライン資格確認を義務化に違反するとどうなる?
オンライン資格確認は2023年4月から原則義務化
2023年4月より、厚生労働省が決定したオンライン資格確認の原則「義務化」が開始されました。また、厚生労働省は、2024年度中には健康保険証の原則廃止を目指しています。
さらに、オンライン資格確認を利用する場合の診療報酬や、導入にかかる費用の補助金を見直すことも決定しました。こうした施策により、オンライン資格確認の普及が期待されています。
参考:厚生労働省|「経済財政運営と改革の基本方針2022」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及び「規制改革実施計画」等について(保険局関係)
診療報酬加算の見直し
オンライン資格確認の原則「義務化」を背景として、診療報酬に変更が加えられました。2022年10月から「電子的保健医療情報活用加算」は廃止され、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されました。
なお、時限的な措置ではありますが、健康保険証やマイナ保険証の提示によって、初診時4点が6点へ、再診時も月1回に限り2点が算定できるようになっています。
オンライン資格確認の導入が義務化される3つの理由
オンライン資格確認の導入が義務化される理由について解説します。
- 患者側が限度額情報を取得できるようにするため
- 薬剤情報や特定健診の情報を閲覧できるようするため
- 医院における事務作業の簡素化を目指すため
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.患者側が限度額認定証等の交付申請を不要にするため
医療費が高額になった場合、限度額以上の支払いは必要ありませんが、これまでの手続きは煩雑でわかりにくいという課題がありました。そこで、オンライン資格確認の導入が注目されています。
オンライン資格確認の導入により、特別な申請をしなくても、限度額情報が取得できるようになり、患者は窓口で限度額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
このように、オンライン資格確認の義務化は、患者の負担軽減手段として期待されています。
2.薬剤情報や特定健診の情報を閲覧できるようするため
オンライン資格確認の導入の背景には、医療の質の向上に必要不可欠な、患者の薬剤情報や特定健診情報の共有が挙げられます。
オンライン資格確認の導入により、歯科医師はこれらの情報を必要に応じて閲覧できるようになり、治療において、より総合的な判断が可能です。
正確な健康情報を基に最適な治療が進められるため、患者の安心感や信頼の向上が期待できます。
3.医院における事務作業の簡素化を目指すため
オンライン資格確認の導入により、歯科医院での事務作業の簡素化が実現します。これまでは、患者が診療や薬を受け取る際には、健康保険証を提示する必要がありました。
しかし、新しい保険証の持参忘れによる自費診療の説明や、診療報酬請求の振り分けなど、事務方に負担がかかっている部分があります。オンライン資格確認の利用は、これらの課題を解消し、患者に対してもスムーズなサービスの提供を可能にします。
オンライン資格確認の義務化にともない準備すべき3つのこと
次にオンライン資格確認の義務化にともない準備すべきことについて解説します。
- 導入方法と流れ
- 導入費用
- 活用できる補助金
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.導入方法と流れ
オンライン資格確認の導入方法と主な流れについて解説します。
- 「医療機関等向けポータルサイト」でアカウント登録
- 運用に必要な端末(顔認証付きカードリーダーなど)を検討
- システムベンダーに見積もりを依頼
- ポータルサイトでオンライン資格確認の利用申請をする
- 機器の設置や設定を実施(システムベンダー)
- システムベンダーにてテストをする
- ポータルサイトで運用開始日を登録
- 受付業務の変更点などを確認する
- 患者向け周知物を準備・掲示
- 窓口でオンライン資格確認を開始する
2.導入費用
オンライン資格確認の導入費用は、各医療機関や薬局、歯科医院によるシステムの状況やネットワーク環境、ネットワークベンダーの料金体系によって異なります。一概に断言するのは難しいため、目安として以下の費用を参考にしてください。
- 資格確認端末関係:14.1~23.8万円
- レセコン等の既存システムの改修要因のパッケージソフトの購入及び導入:8.9~24.7万円
- ネットワーク設定作業:3.7~13.4万円
- 院内ネットワーク関連機器:1.1~8.3万円
具体的な費用は各機関やベンダーに問い合わせしてみてください。
3.活用できる補助金
補助金制度を活用することで、オンライン資格確認の導入の費用負担を大幅に軽減できます。ただし、2023年3月末までに補助対象となる事業を完了し、2023年6月末までに補助金の交付申請を行う必要がありました。
補助金額は、歯科医院の補助金上限額は32.1万円で、事業額の上限額を42.9万円として、事業額の3/4を補助する形となっています。しかし、すでに募集期間を終了しているため、現在は申請できません。
オンライン資格確認の義務化で注意すべき3つのポイント
次にオンライン資格確認の義務化で注意すべきポイントについて解説します。
- 初期費用が補助金の上限を超えるケースもある
- セキュリティ対策が必要になる
- スタッフに対する研修が必要になる場合もある
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.初期費用が補助金の上限を超えるケースもある
オンライン資格確認の導入は、医療機関の効率化に大きく貢献しますが、その導入費用に関しては注意が必要です。特に、補助金の上限額を超えるケースが存在するため、綿密な予算計画が求められます。
実際の導入の費用は、設備の規模や導入するシステムによっても異なるため、事前の見積りや補助金の詳細をしっかりと確認し、計画的な予算を確保をしましょう。また、予期せぬ費用を考慮し、事前の調査と計画が必要です。
2.セキュリティ対策が必要になる
オンライン資格確認の導入には、強固なセキュリティ対策が必要です。外部ネットワークとの接続が必要なこのシステムは、サイバー攻撃のリスクを増大させ、患者情報の漏洩など、深刻なリスクが潜んでいます。
導入の過程でベンダーと連携し、システムの脆弱性をチェックすると同時に、適切なセキュリティ体制の構築を進める必要があります。
サイバー攻撃やデータの改ざんを防ぐためウイルスソフトの導入、従業員へのセキュリティ教育など、多岐にわたるセキュリティ対策をしっかりと行い、患者情報を守る姿勢を強化していく姿勢が重要です。
3.スタッフに対する研修が必要になる場合もある
オンライン資格確認の導入は、電子カルテやレセコンの改修だけでなく、スタッフへの適切な研修も必要です。新しいシステムを効果的に運用するためには、従業員がその機能と操作方法を正しく理解することが重要です。
さらに、実際の業務に即したトレーニングを実施し、日々の業務にスムーズに組み込めるようにサポートをしましょう。
また、初期運用では不明点やエラーが発生する可能性があるため、スタッフが安心して問い合わせや報告ができ、適切にフィードバックできる体制を整えておくことが大切です。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、オンライン資格確認端末との連携が可能です。
【歯科医院向け】オンライン資格確認の義務化でよくある3つの質問
最後にオンライン資格確認の義務化でよくある質問について紹介します。
- 【質問1】オンライン資格確認を導入するメリットは?
- 【質問2】歯科医院におけるオンライン資格確認の導入状況は?
- 【質問3】オンライン資格確認の義務化に違反するとどうなる?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
【質問1】オンライン資格確認を導入するメリットは?
オンライン資格確認システムを導入するメリットは多くあります。主なメリットは以下のとおりです。
- 保険証の有効性確認
オンラインで保険証情報を確認し、マイナンバーカードでの代用も可能
- 業務効率化
入力ミスによるレセコンの戻り作業の削減や、情報入力の効率化が期待できる
- 情報の閲覧
診療情報や過去3年間の薬剤情報、2年間の特定健診情報のオンライン閲覧が可能。また、保健所を通さずに限度額適用認定証・標準負担額減額認定証・特定疾患治療受療証の取得ができる
【質問2】歯科医院におけるオンライン資格確認の導入状況は?
厚生労働省の発表によれば、2023年9月24日時点で歯科医院におけるカードリーダーの申込数は全国平均で83.3%と報告されています。
導入率の向上には、導入に関するコストや、スタッフ研修の必要性など、さまざまな弊害が影響している可能性があり、導入のハードルを下げるためのサポートや補助も求められます。
参考:厚生労働省|オンライン資格確認の都道府県別導入状況について
【質問3】オンライン資格確認を義務化に違反するとどうなる?
厚生労働省が示したQ&Aによれば、保険医療機関や薬局がオンラインによる保険証資格確認を2023年4月までに導入しない場合、診療規則への違反として、地方厚生(支)局の行政指導が行われます。
罰則については、個別事案ごとに適宜判断するとされていますが、施設認可取り消しの可能性はゼロではないため「義務化」に則って、導入した方が安心です。
## まとめ
この記事では、オンライン資格確認の義務化に関する概要や、義務化される理由、義務化にともなって準備すべきことについて解説しました。
厚生労働省により、2023年4月より、オンライン資格確認の原則「義務化」が開始されました。オンライン資格確認の導入は、歯科医院においても保険情報の入力・確認の手間が減るなどのメリットがあります。
オンライン資格確認を導入するための手順を正しく理解し、義務化の違反にならないように注意してください。
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