【2023年最新】オンライン資格確認とは?導入するメリットや注意点、手順をわかりやすく解説!
2023年11月13日
オンライン資格確認の導入は、歯科医院においても保険情報の入力・確認の手間が減るなどのメリットがあります。導入手順を正しく理解して、導入を進めてください。
本記事では、オンライン資格確認の概要や導入するメリット、導入の注意点について解説します。また、導入手順についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
- オンライン資格確認とは?
- 「経済財政運営と改革の基本方針 2022」の概要
- オンライン資格確認を導入する背景
- オンライン資格確認の仕組み
- オンライン資格確認を導入する5つのメリット
- 1.保険情報の入力・確認の手間が減る
- 2.保険資格の過誤によるレセプト返戻が減る
- 3.薬剤情報・特定健診等の情報を閲覧できる
- 4.電子版お薬手帳との連携が可能になる
- 5.災害発生時の特別対応が可能になる
- オンライン資格確認を導入する際の注意点は3つ
- 1.導入・運用の費用が発生する
- 2.徹底したセキュリティ管理が必要になる
- 3.サポート対応の負担が増加する場合がある
- オンライン資格確認の導入手順は5ステップ
- 【ステップ1】顔認証付きカードリーダーを申し込む
- 【ステップ2】システムベンダーに相談・発注する
- 【ステップ3】導入準備を進める
- 【ステップ4】運用開始日を登録してスタートする
- 【ステップ5】補助金を申請する
- オンライン資格確認の導入で対象となる補助金
- オンライン資格確認でよくある3つの質問
- 【質問1】オンライン資格確認における拡大予定の機能は?
- 【質問2】オンライン資格確認を導入しなかった場合の罰則は?
- 【質問3】データヘルス集中改革プランとは?
- まとめ
オンライン資格確認とは?
オンライン資格確認は、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができることをいいます。このオンライン資格確認の導入により、医療機関や薬局の窓口で、患者の資格情報が確認できるようになり、医療スタッフの手入力による手間や、期限切れの保険証による過誤請求の防止が可能です。
オンライン資格確認は2021年10月に導入され、そして、2022年にはその導入が義務化の方向で動き出し、2023年4月にはほとんどの医療機関で採用されています。
「経済財政運営と改革の基本方針 2022」の概要
2022年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2022」は、経済財政の運営における新しい道筋を示す重要な方針です。具体的には、2023年4月からオンライン資格確認を原則として義務化し、2024年度中には健康保険証の原則廃止を目指しています。
また、スマートフォンに対応したオンライン資格確認の仕組みの検討も進められており、診療時における確実な本人確認と、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上などを図るための取り組みが進められています。
参考:厚生労働省|「経済財政運営と改革の基本方針2022」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」及び「規制改革実施計画」等について(保険局関係)
オンライン資格確認を導入する背景
オンライン資格を導入する背景には、健康保険証の資格確認を正確に行いたいという狙いがあります。具体的には、なりすましや資格過誤を防ぎたいという目的です。
また、データヘルス改革の推進も目的の1つです。オンライン資格確認を通して、患者の同意があれば、「特定検診等情報」や「薬剤情報」の閲覧が可能になります。
このように、オンライン資格確認は、全国の医療機関・薬局間で患者の情報を共有でき、データヘルス改革の重要な基盤となります。
オンライン資格確認の仕組み
オンライン資格確認の仕組みとしては、患者のマイナンバーカードに埋め込まれたICチップから、専用のカードリーダーで電子証明書を読み取ります。もしくは、健康保険証の記号番号などをシステムに入力すると、支払基金や国保中央会が管理するオンライン資格確認システムにアクセスできます。このシステムでは、患者の電子証明書を送信するだけで資格情報の申請および照会が行えるため、その場で資格情報の提供を受けることが可能です。
オンライン資格確認を導入する5つのメリット
次はオンライン資格確認を導入するメリットについて解説します。
- 保険情報の入力・確認の手間が減る
- 保険資格の過誤によるレセプト返戻が減る
- 薬剤情報・特定健診等の情報を閲覧できる
- 電子版お薬手帳との連携が可能になる
- 災害発生時の特別対応が可能になる
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.保険情報の入力・確認の手間が減る
オンライン資格確認の導入によって、歯科医院の日常業務を大きく改善するポイントとしては、保険情報の入力・確認の手間が削減できる点が挙げられます。
これまでは、医療事務員が患者の保険証から情報を手動で入力していましたが、新しいオンライン資格確認の仕組みを利用すれば、マイナンバーカードの読み取りや、健康保険証情報の入力のみで、資格情報をすぐに取得できます。
このように、保険証の最新情報が取得でき、かつ入力の手間が省けるため、受付業務の大幅な効率化につながる点がメリットです。
2.保険資格の過誤によるレセプト返戻が減る
患者の保険情報の入力に誤りが発見されると、レセプトの返戻という煩雑な手続きが必要となり、患者への対応やそのほかの業務に影響を与えていました。
しかし、オンライン資格確認の利用により、患者が診療を受ける際に最新の保険資格を確認ができるようになります。さらに、レセプトの戻り問題を事前に検出し、その場で訂正することが可能です。
歯科医院の事務作業の効率化はもちろん、患者との関係性の向上やサービス全体の質の向上につながります。
3.薬剤情報・特定健診等の情報を閲覧できる
オンライン資格確認の導入により、薬剤情報や特定健診情報などの重要なデータが閲覧可能になります。これは、歯科医院にとっても大きなメリットです。
たとえば、薬剤情報は、3年間のデータを参照することができ、過去の処方や薬の使用履歴も確認が可能となります。また、特定健診情報は5年間の健診データが参照でき、患者の健康状態やリスクの詳細な確認が可能です。
これらの情報の活用によって、適切な診療による患者の安心感の向上や医療従事者の作業効率アップが期待できます。
参考:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係|医療機関等向けポータルサイト
4.電子版お薬手帳との連携が可能になる
電子版お薬手帳との連携は、患者の薬剤情報の管理を大幅に効率化するポイントとなります。今までは、薬局での調剤明細の手入力やバーコード読み取りを必要としていましたが、マイナポータルを通じた情報の取り込みによって、この手間が大幅に軽減されます。
このシステムの活用により、薬の重複摂取のリスクを軽減することが可能です。さらに、患者自身が自分の薬剤情報を一元的に確認しやすくなる点がメリットといえます。
5.災害発生時の特別対応が可能になる
災害発生時は非常に混乱する状況が想定されるため、迅速かつ正確な医療対応が不可欠です。通常、患者の医療情報の取得には本人確認が必要ですが、災害時の特別措置として、特定の医療機関や薬局で資格確認を行うことが認められています。
これにより、災害発生時の混乱した状況であっても、医療機関は患者の重要な医療情報を確認できます。これは、災害発生時における医療提供の質の向上につながり、多くの人々の健康と安全を支えるのです。
オンライン資格確認を導入する際の注意点は3つ
次はオンライン資格確認を導入する際の注意点を紹介します。
- 導入・運用の費用が発生する
- 徹底したセキュリティ管理が必要になる
- サポート対応の負担が増加する場合がある
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.導入・運用の費用が発生する
オンライン資格確認の導入にはさまざまなコストがかかります。初期投資として、顔認証付きカードリーダーや専用ソフトウェア、ネットワーク環境の構築といった準備が必要です。
また、レセプトコンピュータや電子カルテシステムの改修費用もかかります。しかし、いくつかの医療機関や薬局では導入補助金が設定されており、自己負担する必要はありません。
ただし、導入後も端末の修理や更新、ネットワーク利用料などが継続的にかかります。これらの費用を正確に見積もり、予算計画をしっかり立てることができれば、スムーズな導入が可能です。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、歯科医院に必要な複数のシステムが連携しており、レセコンに保険証情報の自動取り込みが可能です。また、メドレーはIT導入支援事業者に認定されており、Dentis導入において補助金活用が可能です。
Dentis歯科業務支援システムのサービス資料をダウンロードする
2.徹底したセキュリティ管理が必要になる
オンライン資格確認の導入は、医療情報の効率的な管理や照会を可能にしますが、それによりセキュリティ面での課題が増大します。
特に、患者の重要な個人情報がデジタルで取り扱われるため、その情報が不正アクセスのリスクにさらされることは許されません。
そのため、ファイアウォールの強化や定期的なセキュリティチェック、ウイルス対策の更新などの徹底したセキュリティ対策が必須です
3.サポート対応の負担が増加する場合がある
新しいシステムを取り入れる際は、利用者からのさまざまな疑問や不安が寄せられる可能性があります。患者のなかには、デジタル技術に慣れていない高齢者も多く、新しいシステムへの適応に時間がかかります。
そのため、患者からのサポートや問い合わせが増加し、院内のスタッフの対応が増えることは避けられません。手順の整備や、患者への十分な情報提供により、このような状況を避ける工夫が必要です。
オンライン資格確認の導入手順は5ステップ
次はオンライン資格確認の導入手順について解説します。
- 【ステップ1】顔認証付きカードリーダーを申し込む
- 【ステップ2】システムベンダーに相談・発注する
- 【ステップ3】導入準備を進める
- 【ステップ4】運用開始日を登録してスタートする
- 【ステップ5】補助金を申請する
それぞれについて詳しくみていきましょう。
【ステップ1】顔認証付きカードリーダーを申し込む
オンライン資格確認をスムーズに利用するためには、顔認証付きカードリーダーの導入が欠かせません。この顔認証付きカードリーダーは、医療機関向けのポータルサイトでアカウントを登録すると、使用できます。
次に、カードリーダーの申し込みを行う前に、それぞれの機種の機能やサイズを詳しく調べ、自院のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。メーカーのカタログや公式サイトを参考にして、不明な点や疑問に思う部分は、迷わずメーカーに問い合わせて確認しましょう。
【ステップ2】システムベンダーに相談・発注する
利用しているレセプトコンピュータなどのシステムベンダーに連絡をして、新たに使用する資格確認端末としてのパソコン仕様や、レセコンのオプション機能の要否、通信回線の種類について詳しく確認し、自院の状況に合わせた提案を依頼します。
その提案を元に、システムベンダーから見積りを取得すると、必要なコストや作業内容が明確になります。そして、その見積りに基づいて設定や導入の作業を依頼することで、オンライン資格確認のスムーズな導入が可能です。
【ステップ3】導入準備を進める
オンライン資格確認の導入準備のステップとして、まずは、医療機関等向けのポータルサイトで「オンライン資格確認利用申請」、「電子証明書の発行申請」を行いましょう。
注意事項として、この申請は、オンライン資格確認システムでデータを安全に送受信するため、接続するパソコンごとに必要です。
次に、システムベンダーによる機器の設定を行います。具体的には、パソコンの設定、ネットワークの疎通確認、レセプトコンピュータの設定などが必要です。
【ステップ4】運用開始日を登録してスタートする
オンライン資格確認の実運用に向けて、実際に運用を開始する日を明確にする必要があります。必要な作業として、医療機関等向けポータルサイトにアクセスし、「運用開始日の登録」をしてください。
この登録によって、運用開始日が明確になり、オンライン資格確認の運用を開始できます。また、院内のスタッフや患者に対しても、運用開始に向けたアナウンスが必要です。
【ステップ5】補助金を申請する
オンライン資格確認の導入には費用がかかりますが、補助金の活用によって負担を軽減可能です。申請方法は、医療機関等向けポータルサイトを訪問し、「オンライン資格確認等事業完了報告書」をダウンロードして申請します。
この報告書には、システム導入の詳細や経緯、費用の内訳などを記入する必要があります。正確に記入し、必要書類とともに補助金の申請を行いましょう。
これにより、オンライン資格確認の導入にかかる費用の一部をカバーすることが可能となり、自院の経済負担を軽減させることが期待できます。
オンライン資格確認の導入で対象となる補助金
オンライン資格確認の導入には、経済的なサポートとして補助金が用意されています。対象となるのは以下に該当するケースです。
- オンライン資格確認の導入に必要になる資格確認端末の購入
- レセプトコンピューターや電子カルテシステムに組み込むパッケージソフトの購入
- オンライン請求回線の導入や既存のオンライン請求改善の増強
- レセプトコンピューター、電子カルテシステム等の既存システムの改修
これらは、オンライン資格確認を行うために必要な要素であり、補助金を活用することで、自院での負担を大幅に軽減することが期待されます。
参考:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係|医療機関等向けポータルサイト
オンライン資格確認でよくある3つの質問
最後にオンライン資格確認でよくある質問について紹介します。
- 【質問1】オンライン資格確認における拡大予定の機能は?
- 【質問2】オンライン資格確認を導入しなかった場合の罰則は?
- 【質問3】データヘルス集中改革プランとは?
それぞれについて詳しくみていきましょう。
【質問1】オンライン資格確認における拡大予定の機能は?
今後はオンライン資格確認をデータヘルスの基盤となるように、機能の拡大が予定されています。以下は拡大予定の機能です。
- 対象となる情報の閲覧範囲拡大(手術、移植、透析、医療機関名)
- 電子処方箋のシステム構築(紙の処方箋を渡す手間が省けるだけでなく、薬剤情報がリアルタイムで共有可能になる)
- 生活保護受給者向けの医療券
このような機能の拡大は、データ入力や窓口業務の負担を軽減するなど、さまざまなメリットがあります。
【質問2】オンライン資格確認を導入しなかった場合の罰則は?
オンライン資格確認の導入は、日本の医療業界での大きな動きとして注目を集めています。
厚生労働省が示したQ&Aによれば、このオンライン資格確認の導入を怠った場合、まずは、地方厚生(支)局による指導が行われるようですが、具体的には個別事案ごとに適宜判断することとされています。
つまり、オンライン資格確認を導入しなかった場合は、療担規則違反となるものの、罰則は個別具体的に判断するとされており、罰則については一概にはいえない状況です。
参考:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係|医療機関等向けポータルサイト
【質問3】データヘルス集中改革プランとは?
データヘルス集中改革プランは、健康・医療・介護情報のビッグデータを基盤とするプラットフォームです。これにより、医療機関、自治体、患者が持つ情報を共有し、デジタル化して社会保障を強化する目的があります。この計画は、以下の3つのアクションに焦点を当てています。
- 【アクション1】医療期間情報の確認する仕組み
複数の医療機関の受診情報を集約でき、問診や確認の負担が軽減される
- 【アクション2】電子処方箋の導入
電子処方箋の導入により、紙の処方箋の受け渡しが不要になり、リアルタイムで処方情報の共有ができるようになる
- 【アクション3】自分の医療情報の活用
患者は自分の医療情報をマイナポータルなどを通じて閲覧・活用できる。また、受診時に医療情報を病院と共有でき、無駄な時間が削減可能になる
これらの共通するアクションは、医療情報のオンライン共有が医療の効率向上に寄与し、医療従事者の負担軽減につながるポイントです。データ医療集中改革プランの推進により、保険医療機関や薬局が対人業務へシフトしやすくなり、事務作業の削減が期待されます。
まとめ
この記事では、オンライン資格確認の概要や導入するメリット、導入の注意点、導入手順について解説しました。
オンライン資格確認の導入は、歯科医院においても保険情報の入力・確認の手間が減るなどのメリットがあります。オンライン資格確認の導入は、2022年には導入が義務化され、2023年4月頃にはほとんどの医療機関で採用されています。
まだ導入できていない歯科医院においては、この記事を参考に導入を進めてみてください。
クラウド歯科業務支援システムDentisは、歯科医院に必要な複数のシステムが連携しており、レセコンに保険証情報の自動取り込みが可能です。また、メドレーはIT導入支援事業者に認定されており、Dentis導入において補助金活用が可能です。
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