歯科医師の独立で年収1億円は可能?平均年収や年収を上げるポイントを解説

歯科医師の独立で年収1億円は可能?平均年収や年収を上げるポイントを解説

2025年07月04日

歯科医師で年収1億円は可能なのでしょうか?この疑問に答えるために、歯科医師の平均年収や勤務医・開業医の違い、年代別・男女別の年収目安などをわかりやすく解説します。

また、年収1億円を目指すためのポイントやよくある質問にも答えます。この記事では、歯科医師の年収に関する事実や傾向を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

歯科医が独立して年収1億円は可能?

歯科医師は、高い専門性を持つ仕事ですが、年収1億円を稼ぐのは簡単ではありません。歯科医師全体の平均年収は約977万円です。

開業医になると、平均年収は約1,240万円に上がりますが、年収1億円には届きません。

年収1億円を目指すためには、自分の歯科医院を経営するだけでなく、他の歯科医院と差別化し、多くの人に選ばれる必要があります。

しかし、そういった差別化をしても、新型コロナウイルスの流行、保険制度、税制の変更などの外部環境が変化することにより、患者数や売上が減る可能性もあります。

歯科医師で年収1億円を稼ぐことは可能ですが、容易ではありません。

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告|厚生労働省

歯科医の年収事情

気になる歯科医の年収について、厚生労働省のデータを見てみましょう。

歯科医師の平均年収は「約977万円」

歯科医師の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から読み解くことができます。

令和6年の同調査によると、歯科勤務医の平均年収は約977万円でした。昨年の平均年収は約924万円であり、50万円以上も増加しています。あくまで平均値であり、今後も同様に年収が伸びるかは不明ですが、年収が右肩上がりの傾向にあることは違いありません。
参考:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

勤務歯科医・開業歯科医それぞれの年収目安

一般的に、開業歯科医は勤務歯科医より年収が高い傾向があるとされますが、両者を比較する公的な調査は存在しません。そこで、令和5年の公的調査をもとに平均年収を確認してみましょう。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、勤務歯科医の平均年収は約924万円でした。一方、「第24回医療経済実態調査」によると開業医の平均年収は約1,238万円で、単純に比較すれば、開業医の方が約314万円高い計算になります。

ただし、これらの数値は調査方法や集計対象が異なる点に注意が必要です。また、開業医には、経営リスクや設備投資といった負担もあるため、金額差だけで開業医の方が高年収だと判断するのは適切ではありません。

あくまでひとつの目安として、今後の進路を検討する際にお役立てください。

参考:令和5年賃金構造基本統計調査
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告

年代別の年収目安

歯科医師は、40代後半に年収が高くなりやすい傾向にあります。以下は、勤務歯科医の年齢別の平均年収を示したものです。

  • 25~29歳:842.4万円
  • 30~34歳:999.7万円
  • 35~39歳:1200.2万円
  • 40~44歳:967.9万円
  • 45~49歳:2278万円
  • 50~54歳:1028.2万円
  • 55~59歳:1392万円
  • 60~64歳:885.7万円
    65~69歳:1835.8万円
  • 70歳~:1266.1万円

40代後半を一つのピークとして、年代ごとの収入差が大きいことがわかります。

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

男女別の年収目安

女性歯科医師の年収は年々上昇しています。令和6年の男性歯科医師の平均年収は約1,098万円だったのに対し、女性歯科医師の平均年収は約697万円でした。
男女の構成割合を年齢階級別に見ると、すべての年齢階級で男性の割合が多いです。
また、女性の割合は年齢階級が上がるほど低くなります。女性歯科医師が継続して働いていくためには、柔軟な勤務形態や休暇制度を整備する必要があります。
勤務日数や時間を調整できる制度が整っていれば、女性歯科医師も安心して仕事を続けられるでしょう。

参考元:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

収入向上のために歯科医院を開業する際の注意点3つ

開業医になると、医院の経営についても考える必要が出てきます。歯科医院を開業する前から、以下の3点を意識しておきましょう。

  1. 開業時の借金返済が大変
  2. 年商=手取りではない
  3. 患者数の確保が難しい

それぞれ詳しく解説します。

1.開業時の借金返済が大変

歯科医院の開業には、設備投資や内装工事など多額の資金が必要となります。一般的な歯科医院の開業費用は5,000万円以上かかると言われており、多くの歯科医師が融資を受けて開業しています。この借入金の返済が、経営の大きな負担となるケースが少なくありません。

特に開業初期は患者数も安定せず、思うように収入が得られないことも珍しくありません。にもかかわらず、毎月の返済額は一定であるため、資金繰りに苦労することもあるでしょう。

自己資金を多めに準備できると安心です。融資を受ける際も、月々の返済額は低めに設定しておけると良いでしょう。

 2.年商=手取りではない

勤務医時代の感覚のまま開業すると、「思ったより手元にお金が残らない」と感じるかもしれません。歯科医院の経営では、年商(総売上)から様々な経費を差し引いた残りが利益となり、そこから院長の手取り収入が決まります。

年商が1億円あったとしても、人件費や歯科材料費、医院の家賃、融資の返済、税金など多くの経費を指し引く必要があるため、実際に手元に残る金額は年商よりずっと少なくなります。

収入を確実に向上させるためには、売上を伸ばす努力と同時に、利益をしっかり確保する視点が必要になってきます。

 3.患者数の確保が難しい

歯科医院の数は増加傾向にあり、競争は年々激しくなっています。厚生労働省の調査によれば、人口10万人あたりの歯科診療所数は約80か所で、これは世界的に見ても高い水準です。歯科医院の飽和状態とも言える状況の中で、安定した患者数を確保することは容易ではありません。

また、一般的に歯科治療は緊急性が低いケースが多く、患者さんが通院を先延ばしにすることも少なくありません。そのため、定期的なリコール(再来院)システムの構築や、患者さんとの信頼関係づくりが非常に重要です。

特に開業直後は認知度も低いため、地域に根ざした集患戦略に取り組みましょう。特色ある診療内容をアピールできると効果的です。

歯科医師が独立を成功させるための3つの準備

具体的な時期を決めていなくても、将来の開業に向けて準備できることはあります。ここでは開業を成功させるために必要な3つの準備について解説します。

1.実績を積む

独立開業前に、さまざまな臨床経験を積むことが重要です。特に自分が将来力を入れたい診療分野(例えば、インプラント、矯正、審美歯科など)については、専門的な研修や認定資格の取得を目指すとよいでしょう。

また、勤務医時代に多くの患者さんと信頼関係を築いておくことで、開業後にその患者さんが来院してくれる可能性も高まります。

さらに、医療技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーション能力や、スタッフマネジメントのスキルも身につけておくと、開業後の診療がスムーズに進むでしょう。

2.人脈を構築する

歯科医師として独立するためには、技術力だけでなく人脈も重要です。初めての開業ではわからないことも多く、1人では解決できないトラブルもあります。普段から以下のような人脈づくりを意識しましょう。

まず、先輩歯科医師との関係構築が重要です。特に開業経験のある歯科医師からは、立地選定や融資の受け方、スタッフ採用のコツなど、実践的なアドバイスを得られます。また、他科の医師とのつながりがあれば、自院に患者を紹介してもらえる可能性もあります。医師会や勉強会に積極的に参加すると良いでしょう。

また、金融機関や会計士、歯科機材メーカーなど、歯科医の経営に関わる専門家との関係も早めに構築できると良いでしょう。ある程度関係性のある人にサポートしてもらえれば、開業時の不安を軽減できます。

3.開業資金を貯める

独立開業には多額の資金が必要となるため、勤務医時代から計画的に貯蓄することが重要です。一般的な歯科医院の開業資金は、内装工事費、歯科用ユニット、レントゲン装置などの医療機器、受付システムなどを含めると、5,000万円〜1億円程度になると言われています。

もちろん、全額を自己資金で賄う必要はありません。開業の際は、銀行から融資を受けるのが一般的です。全額融資で開業することも可能ですが、自己資金を多く用意できれば、開業後の返済が楽になるでしょう。

目安として、総費用の20〜30%程度(1,000万円〜3,000万円)を自己資金として準備しておくことをおすすめします。目標の金額や時期を明確にし、効率的な資産形成を心がけましょう。

歯科医院の順調な経営のためのポイント7つ

歯科医院を安定して経営するには、診療技術だけでなく、立地や集患、スタッフ体制などの工夫も欠かせません。ここでは、安定した経営基盤を築くために押さえておきたい7つのポイントを紹介します。

1.開業場所

歯科医院の成功を左右する最も重要な要素の一つが開業場所です。人口密度や交通アクセスの良さも大切ですが、地域特性と診療内容がマッチしていることが何よりも重要です。

例えば、ファミリー層が多い住宅地であれば小児歯科や矯正歯科の需要が高く、高齢者が多い地域であれば入れ歯やインプラントのニーズが増えると考えられます。また、オフィス街であれば、ランチタイムや夕方以降の診療時間の設定が効果的でしょう。

立地選定の際には、人口動態や今後の開発計画なども確認し、中長期的な視点で判断することをおすすめします。

2.集患方法

歯科医院の経営を安定させるには、集患の仕組みづくりが欠かせません。多くの患者さんは「〇〇駅 歯医者」などと検索して医院を探すため、ホームページの整備やMEO対策(Googleマップ対策)が重要です。診療内容や院内の雰囲気をわかりやすく発信し、口コミ対応も丁寧に行いましょう。

また、地元に根ざした広報活動も効果的です。地域の学校や企業での歯科検診、商店街のイベントへの参加、地域情報誌への広告掲載など、地域コミュニティとのつながりを大切にすることで、認知度と信頼性を高めることができるでしょう。

3.自由診療の推進

歯科医院の収益性を上げるには、セラミック治療、審美歯科、矯正治療などの自由診療(自費診療)の割合を増やすのも効果的です。自費診療は保険診療に比べて単価を高く設定できます。また、使用できる材料や技術の制約も少ないため、患者さんにより質の高い治療を提供できるというメリットもあります。

ただし、自費診療を勧める際には、患者さんに十分な説明と選択肢の提示が不可欠です。治療のメリット・デメリット、費用対効果、長期的な視点での利点などを丁寧に説明し、患者さん自身が納得して選択できるようサポートする姿勢が大切です。

4.経営分析

クリニックの収益を高めるためには、定期的な経営分析が欠かせません。売上や患者数の推移、診療内容別の収益性などをチェックし、自院の経営課題を明らかにしていきましょう。

とはいえ、日々の診療をこなしながら、診療データを手作業で分析するのは大きな負担となります。例えば、経営支援機能のついたレセコンを活用するなど、他の業務とのバランスを見ながら取り組みましょう。

クラウド歯科業務支援システム「Dentis」には、日々の診療データを自動的に集計・分析する機能が搭載されており、煩雑な作業なく経営状況を把握できます。例えば、曜日別・時間帯別の患者数分析や、診療内容別の売上分析などが簡単に行え、効率的なシフト編成や強化すべき診療分野の特定に役立ちます。

5.医療の質(研修参加)

歯科医療は技術革新のスピードが速く、新しい治療法や機器が次々と登場します。質の良い医療を患者に提供するためには、院長だけでなく全てのスタッフが継続的に学ぶ姿勢を持つ必要があります。

定期的な研修参加や学会への出席、専門書の購読などを通じて、最新の知識と技術を習得することが重要です。特に自院が力を入れたい診療分野については、認定医や専門医などの資格取得を目指すことも、医院の信頼性向上につながります。

また、院内での症例検討会や勉強会の開催も有効です。チーム全体のレベルアップを図ることは、患者満足度の向上や口コミによる集患にもつながります。

6.患者ロイヤリティ

「患者ロイヤリティ」とは、患者さんがその医院に信頼や愛着を持つ状態を指します。歯科医院経営において、新規患者の獲得はもちろん、既存患者のリピート率(再来院率)を高めることはさらに重要です。新規患者獲得にかかるコストは、既存患者の維持コストの5倍とも言われています。

患者ロイヤリティは、治療の質だけでなく、挨拶や言葉遣いなど、スタッフの対応によっても左右されます。接遇マニュアルの整備やスタッフ教育などを通じて、医院全体のホスピタリティレベルを高めましょう。

なお、患者からの信頼感を得るためには、業務支援システムの活用も効果的です。たとえばDentisのように、定期検診の案内や患者ごとの記録管理をスムーズに行える機能があれば、自然と患者ロイヤリティの向上にもつながります。

7.業務効率化

煩雑な作業を減らし、業務の効率化は重要です。スタッフがストレスなく業務に集中できる環境を整えることで、コスト削減だけでなく、スタッフの離職予防や患者サービスの向上にもつながります。

そのためには、高機能な歯科業務支援システムの導入が効果的です。Dentisは、予約管理・電子カルテ・レセプト作成・会計処理までを一元化でき、事務作業の負担の軽減に役立ちます。また、診療情報の一元管理により、スタッフ間の情報共有がスムーズになり、ミスや確認作業の削減にもつながります。

働きやすい環境を整えることは、医院の継続的な成長を実現するうえで大切な視点です。

まとめ

この記事では、歯科医師で年収1億円を目指すためのポイントやよくある質問について解説しました。

年収1億円を目指すためには、集客しやすい場所で開業したり、自費診療の割合を増やしたりすることが重要です。

クラウド歯科業務支援システムDentisは、歯科医院の予約管理からカルテ作成、会計までを一元的に管理できるシステムです。さらに、Web予約やオンライン診療、キャッシュレス決済などの機能も提供しており、患者とのつながりを強化します。


<参考URL>
https://dental-web.jp/practitioner-dental-annual-income/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/24_houkoku_iryoukikan.pdf

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