歯科医師の開業について知っておきたいこと! 流れ・手続き・成功のためのコツを紹介

歯科医師の開業について知っておきたいこと! 流れ・手続き・成功のためのコツを紹介

2023年01月06日

この記事では開業を考えている歯科医師様に向けて「歯科医の開業までの流れ・手続き」「開業を成功させるために重要なこと」をご紹介します。

開業歯科医と患者数に関するデータ

まずは「歯科医の開業」に関する数値データを紹介します。

歯科診療所数の推移


出典:厚生労働省「令和2(2020)年 医療施設(静態・動態)調査(令和2年10月1日現在概数)

歯科診療所数は年々増えておりますが、同時に高齢化により廃業する診療所も増えています。そのため、合計数でいうと近年は減少傾向です。
しかし一方で「人口に対する歯科医院数」は微増となっています。また医科と比べると、歯科診療所は依然、非常に多いです。

年齢 総数 開設者 割合
29歳以下 5,898 42 1%
35歳 1,953 375 19%
40歳 2,129 836 39%
45歳 2,218 1,230 55%
50歳 2,411 1,623 67%
55歳 2,532 1,893 75%
60歳 2,824 2,213 78%
65歳 2,251 1,846 82%
70歳 1,766 1,391 79%
75歳 614 413 67%
80歳以上 2,427 1,182 49%

20代はほとんどいないものの、40歳になると全体の39%が開業をします。多くの方が40~50代の間に開業をしていることがわかります。自己資金が溜まってきたとともに、歯科医師としての技術力も身についてきた時期に開業をする方が多いようです。

患者の通院回数は今後増える予定

このように人口と比較して歯科医師数が増えているなか「競争に勝てるのか」と、開業に不安を抱いてしまう方もいるかもしれません。たしかに歯科業界は競争が激しいですが、一方で今後は「患者が歯科医院に通院する回数が増える」と予想されています。

その大きな理由が「治療から予防」に意識が変わってきていることです。日本政府は「口腔の健康が身体全体の健康につながる」という点を公表しています。また「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という「8020運動」も活発になっています。

これまでは「歯が痛み始めてから歯医者に行く」が常識でした。そのため治療が終わったら、医院と患者さんとの関係も途切れるのが普通でした。しかし今後は「予防のため、定期的に通院する」という動きに変わっていきます。つまり「かかりつけ医」が増えるということです。

また政府は「歯科健診の重要性」もアピールしています。歯科健診の需要も今後伸びてくると予想されており、患者さんが歯科に通う頻度はより高まってくるでしょう。

さらに、以前と比べて「自費診療」の需要も高まっているといえます。矯正治療をはじめ、ホワイトニングやインプラントを求める患者さんが増えており、より単価が高い活躍の場が広がることが予想されます。

歯科開業までの流れ

では、ここからは実際に歯科医院の開業を考えている方、またゆくゆくは開業を予定している方に向けて「開業までの流れ」をお伝えします。

1.勤務先を退職する(独立の12~24カ月前)

多くの場合、もともと勤務医として診療をし、独立・開業というケースが多いと思います。まずは勤務先を退職するところからスタートです。

退職にあたって、すでに診ている患者さんがいますので、事前に「引き継ぎ」をしておく必要があります。「突然退職する」となると、お世話になった医院に迷惑がかかってしまうので、少なくとも1年前には院長に伝えておきましょう。

2.「作り上げたい歯科医院」の構想を立てておく

あらかじめ「どんな歯科医院を作りたいか」を明確にしておくことが大事です。主に以下の項目について、構想を立てておきましょう。

項目
医院のコンセプト 小児歯科なので、歯医者さんへの恐怖感を少なくした、安心できる歯科医院
開業エリア ファミリー層が多く住んでいる住宅街
内外装やロゴのデザイン 子どもが楽しく通えるポップなデザイン
システム関係 電子カルテ、レセコンなど
資金のバランス 自己資金:20%(1,000万円)

銀行融資:80%(4,000万円)

相談先の選定 コンサル会社・A

コンセプト

コンセプトを決めるうえで、「どんな患者さんに来てほしいのか」という観点が前提となります。年代や性別といったプロフィールはもちろん「何に悩んでいるのか」「何を求めているのか」という観点で「患者像」を想定することが必要です。

そのうえで、どんな歯科医院を建てるべきか、というコンセプトを作り上げる必要があります。またその際には、もちろんご自身の「実現したい思い」を重視することも大事です。

開業エリア

コンセプトから逆算したうえで、開業エリアを選ぶ必要があります。特に「誰に来てほしいのか」を重視してエリアを決めていきましょう。例えば小児歯科を標榜するのであれば、ファミリー層が多い場所を選ぶなど、開業エリアとコンセプトはリンクします。

しかしコンセプトだけでは長く安定して患者さんに来てもらえるかはわかりません。以下の要素も踏まえて、検討しましょう。

  • 今後の人口動態はどう変化するか
  • 開発計画はあるか
  • 郊外型か都心型か
  • 1階か2階以上か
  • (歯科技工室を作る場合)電気容量は?
  • 機器の重みに床が耐えきれるか


内外装のデザイン

看板を含めた内外装・ロゴなどのデザインの構想を決めていきましょう。この点もコンセプトから逆算したうえで決めていくことが重要です。

システム関係

電子カルテやレセコンはもちろん、予約・問診、決済、オンライン診療など、現在は歯科業務のすべてにおいてデジタル化が進んでいます。

特に、注目なのが「クラウド型」のシステムです。クラウド型電子カルテを導入している医院は全体の11%にとどまりますが、「開業5年未満の開業医」に絞ると20%となります。

つまり最近では開業時にクラウド型のシステムを導入する医院が増えており、今後のスタンダードになる可能性は高いといえます。

資金のバランス

「開業資金について、どうやって用意するのか」を考えます。以下の表のように一般的に歯科開業の際には5,000万円ほどが必要になります。

項目 費用
医療機器・材料費 2,000万円~3,500万円
賃貸契約・内外装の工事費 2,000万円~3,000万円
立ち上げ初期の運転資金 1,000万円~1,200万円
採用・広告費 150万円~400万円

そのなかで自己資金は約1,000万円で、残り約4,000万円は融資を受けることが多いようです。ただし内外装工事費や運転資金は、エリアやコンセプトによって変わります。まずは「資金額」の上限を把握したうえで、範囲内で医院を作り上げることになります。

相談先の選定

歯科医院のよってはコンサル会社などに相談をすることがあります。もし経営のサポートをしてもらううえで必要な場合は、事前に誰に相談すべきかを決めておきましょう。

3.構想をもとに計画を立てる(10カ月前)

構想で決めた内容をもとにして、具体的にプランニングをしていきます。主に以下について確定をしていく必要があります。

  • 事業計画書の作成
  • 融資可能額の確認
  • 物件決め
  • 内外装工事・医療機器の見積もり
  • 歯科医師会・厚生局への相談と確認

事業計画書の作成

このあとの資金調達額の確認において必要な「事業計画書」を作成します。まだ確定ではないものの、おおまかな計画をまとめておきましょう。

創業時の事業計画書に記載する内容について、決まった様式はなく、各機関がそれぞれの記入例を用意しています。こちらでは「日本政策金融公庫」のテンプレートをご紹介します。

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴
    • 過去の事業経験
    • 取得資格
    • 知的財産権等
  • 取扱商品・サービス
    • 商品・サービスの内容
    • セールスポイント
    • ターゲット・戦略
    • 競合・市場などの外部環境
  • 取引先・取引関係等
    • 販売先
    • 仕入先
    • 外注先
  • 従業員
  • 借入状況
    • 借入先
    • 使い道
    • 借入残高
    • 年間返済額
  • 必要な資金と調達方法
    • 設備資金
    • 運転資金
  • 事業の見通し
    • 売上高
    • 利益


こうした内容について記載をしていきます。「一年後の利益額」など、それまで経営経験がない歯科医師の方は考えにくいかもしれません。適切な書き方がわからない場合は、コンサルタントなどの意見を仰ぐといいでしょう。

融資可能額の確認

事業計画書ができたら、実際に借入可能額の確認をします。この段階では実際に融資を受けるのではなく「想定どおりの融資額を受けられるか」を確認しておきます。融資先は主に以下の機関があります。

  • 日本政策金融公庫
  • 福祉医療機構
  • 民間銀行
  • 医療機器などのリース会社
  • コンサル会社


このうち日本政策金融公庫と福祉医療機構の概要は以下の通りです。

日本政策金融公庫
項目 内容
融資金額 最大7,200万円
※運転資金としては4,800万円
返済期間 設備資金:20年(措置期間:3年)

運転資金:7年(措置期間:1年)

金利 返済期間別に2.0~3.9%ほどで定められます。
担保・保証人 新規創業制度であれば無担保・保証人無しで借入可能。その場合融資の上限額3,000万円となり、基準金利に1.2%が加算
特徴 最もポピュラーな融資期間であり、審査も寛容で借り入れやすい。

独立行政法人 福祉医療機構
項目 内容
融資金額 建築費:5億円

土地取得費:3億円

返済期間 耐火建築物(鉄筋コンクリート):20年(措置期間:2年)

準耐火建築物以下:15年(措置期間:2年)

金利 0.9%
担保・保証人 原則として必要であり、個人開業の場合は1名以上の連帯保証人が必要。ただし一定の金利アップによって免除できる
特徴
  • 医療機関・福祉施設の運営者へ貸付をおこなう機関であり厚生労働省が管轄している。
  • 戸建ての住宅ローンで選ばれやすい
  • 歯科診療所は「診療所不足地域」である必要がある

物件決め

コンセプトに合わせたうえで、融資可能額の範囲で物件を絞っていきます。物件が空くタイミングなどもあると思いますので、不動産や仲介業者などの担当者にもヒアリングをしながら考えるといいです。

内外装工事・医療機器の見積もり

こちらも融資額から逆算して上限金額を決めたうえで、考える必要があります。事前に「どのような建物設計にしたいのか」を決めておくことで、話がスムーズに進みます。不安な方は「クリニックや歯科医院専門の工事業者」に依頼することで、安心できるでしょう。

なお、内外装工事の費用を下げたい方は「オーダー家具・建具を既存製品にする」「路面開業の際に既存のエアコンを再利用する」などの工夫が必要です。

歯科医師会・厚生局への相談と確認

また不安な方はこの後の具体的な開業準備や必要書類などについて「歯科医師会」や「厚生局」に相談をしてみましょう。なお「歯科医師会」は、開業にあたって加入必須ではありませんのでご注意ください。

4.本格的に開業準備を進める(半年前)

半年前になったら、本格的に開業にあたって最終決定すべき要素がはっきりしてきます。主に以下の部分を決めていきましょう。

  • 物件
  • 内外装業者
  • 導入医療機器
  • 融資元の金融機関


物件・内外装業者・導入医療機器

工事に入れるよう、半年前には物件を確定する必要があります。また内外装の業者についても確定しておかないといけません。物件に合わせて、ユニット数・医療機器の数が決まります。

このタイミングで電子カルテやレセコンなどの導入もすると思います。「できるだけ資金を節約したい」とお考えの方には「クラウド型」のシステムがおすすめです。

融資元の金融機関

複数の融資元から、金融機関を確定しましょう。長い付き合いになる存在ですので、慎重に決める必要があります。

5.着工・開業前準備(3~4カ月前)

工事業者が提示した工期によりますが、だいたい開業の4カ月前くらいには内外装工事に着工します。そのタイミングで以下の事柄を決めておきましょう。

  • 消耗剤や備品の契約
  • スタッフの採用
  • ホームページ制作
  • SNSアカウント登録
  • 内覧会の準備
  • 大型機器の設置


消耗剤や備品の契約

医療機器ではなく、紙コップやデンタルフロス、ゴム手袋などの消耗剤・備品の卸業者と契約をします。勤務医時代からの馴染みの業者に発注するケースもあります。

ただし備品は患者さんの目に触れる部分でもありますので、可能な限りコンセプトにあわせて発注しましょう。

スタッフの採用準備

歯科助手、歯科衛生士といったスタッフ採用の準備をします。求人サイトに掲載したり、馴染みの人をスカウトしたりして、雇用します。

ホームページ制作・SNSアカウント登録

ホームページやSNSは集患ツールとして必要になります。特に地域の患者さんを集めるにあたって、ホームページは必須です。WEBの知識がある方であればご自身で作れますが、不安な方は制作会社に依頼をしましょう。この際にも、当初のコンセプトを、制作会社に伝える必要があります。

内覧会の準備

内覧会は開院の直前に行いますが、3ヶ月前には準備を進めておきます。「どうやって宣伝をするのか」「どんな飾り付けにするのか」などを考えて、発注物が必要な場合には準備をしておきましょう。

内装工事が完了したら大型機器の設置

工事が完了して機材を入れられる状況になったら、ユニットやレントゲンをはじめとした大型の機器を設置します。

6.開業直前(1カ月前)

開業1カ月前には、手続きをはじめとした最終調整が必要です。主に以下の準備を整えておきましょう。

  • スタッフの採用決定・研修
  • 内覧会の開催
  • 保健所・厚生局への届け出
  • 保健所の検査


スタッフの採用・研修

1カ月前にはスタッフを採用しておく必要があります。可能でしたら研修までしておけると、開業もスムーズに進むでしょう。研修前に「業務の流れ」を確定させておくことで、スタッフの理解度も変わります。

紙とペンを使った業務では、業務のやり方が属人化しがちです。電子システムを積極的に組み込むことで「やること」が明確になり、スタッフが入れ替わったとしてもすぐ慣れることができます。すると、長い目で見て承継・M&Aで売りに出す際に買い手がつきやすいなどの利点があります。

内覧会の開催

事前に準備しておいた計画に沿って、地域住民の方々などに向けて内覧会を開催しましょう。

先述した通り、今後は治療から「予防」に意識が移り変わっていくなかで「かかりつけの歯医者」という見られ方が、より定着する可能性があります。そんななかで多くの患者さんに認知してもらえるような内覧会を意識しましょう。

保健所・厚生局への届け出

開業にあたって、役所に届け出をしなくてはいけません。保健所と厚生局に以下の資料を提出します。

保健所への提出物(開設後10日以内)

開業医本人の歯科医師免許

  1. 開業医本人の臨床研修修了登録証
  2. 従事する先生の歯科医師免許
  3. 従事する先生の臨床研修修了登録証
  4. 顔写真付きの職務経歴書
  5. 土地および建物の登記事項証明書
  6. 賃貸借契約書
  7. 敷地の平面図
  8. 診療所の平面図(縮尺1/100以上のもの)
  9. 診療所の案内図
  10. 診療用エックス線装置備付届

厚生局への提出物

保険医療機関指定申請書

  1. 開設届
  2. 保険医登録票

税務関連の提出物

個人事業の開業届出書

  • 所得税の青色承認申請書
  • 給与支払事務所の開設届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 青色専従者給与に関する届出書
  • 個人事業開始申告書


また歯科医院によっては以下の提出物が必要になります。

  1. 施設基準の届出
    1. クラウン・ブリッジ維持管理料
    2. CAD/CAM冠
    3. 歯科外来診療環境体制加算
    4. 歯初診
    5. レーザー機器加算・口腔粘膜処置
  2. その他
    1. 難病に対する指定医療機関
    2. 生活保護法等指定医療機関
    3. 原子爆弾被爆者に係る指定医療機関
    4. 労災保険指定医療機関
    5. 金属床による総義歯の提供の実施(変更)報告書
    6. う蝕に罹患している患者の指導管理の実施(変更)報告書


保健所の検査

開設届を出しても、地域によっては保健所の立入検査があります。その際に以下の項目をチェックされます。もし不備があった場合は、届け出が取り消しになってしまう可能性がありますので、あらかじめポイントを守れているかを確認しておきましょう。

保健所の検査のポイント
基本事項は守れているか
  • 免許の確認
  • 医療法の手続き状況
  • 医療の情報提供
  • 広告の景表法など
  • 院内掲示(医療法14条)
  • 個人情報の保護
医療安全管理はできているか
  • 医療安全管理
  • 院内感染対策
  • 医薬品の安全管理
  • 医療機器の安全管理
帳票の記載が正しく、保管管理機関を守っているか
  • 診療録
  • 照射録
  • 処方箋
  • 歯科技工指示書
業務委託の状況はきちんと守れているか
  • 滅菌消毒
  • 医療機器の点検
  • 洗濯
  • 清掃
  • 感染性廃棄物の処理
防災体制
  • 消防設備の点検
  • 避難訓練の実施
放射線管理
  • 管理区域の表示
  • 放射線障害防止の注意事項の掲示
  • X線診療室の標識
  • 使用中の表示
  • 障害防止措置(防護用具、取扱者の被爆測定器具等)
  • 事故に対する措置
設備
  • 診察室の区切り
  • 技工室の防塵設備の有無

7.オープン

ここまでの準備ができたら、いよいよ開業となります。特にオープン当初は以下の事柄に注意が必要です。

  • 最初は診療報酬が入ってこないが運転資金は大丈夫か
  • マニュアルやオペレーションが想定通りに回っているか
  • 患者からの反応はよいか

診療報酬が入らない

最初の2カ月は診療報酬を受け取れませんので注意が必要です。融資などで用意してた運転資金を使いながら経費や人件費を支払います。そのため、当初からたくさんのスタッフを雇うのは危険です。

マニュアルやオペレーションの観察と改善

事前に研修などでスタッフに共有していたオペレーションでうまく患者さんが回っているかを確認する必要があります。またそのうえでマニュアルは機能しているかを観察し、随時改善をしていきましょう。

患者さんの反応

最初は歯科医院での取り組みが患者さんにとって嬉しいものかを判断できません。そのため、患者さんにアンケートを取るなど、常に工夫をしながら患者満足度向上に努めていきましょう。

開業を成功させるために重要なこと

歯科医院は開業したらゴールではありません。引退するまで安定した経営を続ける方もいれば、途中で運転資金が底を付き、閉業してしまう方もいます。

では開業を成功させるためには、どういった要素が重要なのでしょうか。

「コンセプト」や「ターゲット」がブレていない

前提として「どんな患者さんにどんな治療を届けたいのか」を明確に定義づけておく必要があります。例えば「自費診療メインの歯科」「小児歯科」などの定義をしたうえで、ターゲットにマッチした「開業場所」「内外装デザイン」「応対」などを意識しましょう。

こうした「コンセプト」がブレてしまうと「誰にも響かない歯科医院」となってしまいます。

「エリア選び」「エリア内での差別化」に成功している

医院の場所は開業を成功させるうえで大前提です。「定期的に患者に来てもらえるエリア」を選ぶようにしましょう。

ただし仮に人口の多いエリアだとしても、既に近隣に競合がいる場合があります。この場合は「診療内容」「応対」「スタッフの質」「機器」などのポイントで差別化をしましょう。差別化ができなければ、多くの患者さんは馴染みの医院のほうを選びます。

また逆に「開業後に周辺に後発の歯科医院が現れる」可能性があります。この場合は、逆に「どの点で差別化をしているのか」を把握したうえで、患者が離れていかないようにする必要があります。

目標設定をきちんとできている

開業したからには「利益目標」を立てます。以下の計算式で決まります。

患者数 × 単価 - コスト = 利益

この「単価」を計算するうえで重要な指標となるのが「自費率」です。保険診療では1回5,000円が平均的ですが、自費診療の場合、数万円~数百万円と、それだけ売上が大きくなります。歯科医院のコンセプトにはよりますが「自費の項目をどれだけ増やせるか」は安定した経営を実現するうえで重要な要素になっています。

こうした点も考慮して売上目標や患者数目標を明確に決めておき、常に確認しながら経営を続けていきましょう。もちろん目標に対する実績値が悪いときは、問題を放っておかず改善点を考えてアプローチすることが大切です。

Web・デジタル機器を用いた集患・かかりつけ化ができている

以前では「患者さんは自宅などから近い歯医者に行く」というのが慣習化していました。しかし歯科医院を選べるようになった時代において、患者さんは「事前に近辺の歯科医院を調べてからニーズに合うところを選ぶ」という行動を取るようになっています。

そこで「Webを用いたマーケティング」の需要が高まっています。例えば以下の項目をクリアできているかを確認してください。

  • 医院としてのメッセージをきちんと伝えられているホームページがあること
  • GoogleやYahoo!などの検索エンジンで「地域名 歯医者」などで検索したときに上位に表示されること
  • Google Mapsなどの地図アプリで「地域名 歯医者」などで検索したときに上位に表示されること
  • 集患用のポータルサイトに掲載されていること


また「医院が立地しているエリア」の患者数は限られています。そのため「一度来てもらった患者さんを離さないようにする仕組み」も重要です。例えば以下の仕組みがあることで、患者さんとのつながりを維持できる可能性が高くなります。

  • キャンセル率を下げるためにリマインドメッセージを確実に送る
  • 治療が終了した後も健診などのメッセージを配信して再診を促す
  • 電話や来院でなくWeb上で予約できる状態にすることで予約のハードルを下げる
  • 来院時の待ち時間を短縮することで患者満足度を高める


「スタッフが働きやすい環境」を維持できている

医院の経営において、歯科助手や歯科衛生士を始めとしたスタッフは非常に重要な存在です。スタッフの労働環境が悪いと、当然離職率が高まります。すると、当然その分の採用コストが数十万円かかります。

また業務非効率により残業が続くと、接客態度の悪化につながります。すると患者が離れてしまい、副次的に売上減少に繋がる可能性もあります。スタッフは医院の売上、利益に関して重要な存在ですので「働きやすい環境を構築できているか」は適宜確認をしておきましょう。

「開業前の準備」が成功の鍵

今回は「歯科医師の開業」についてご紹介しました。人口に対しての歯科医院数が増えている現在、開業を成功に導くためには事前の戦略や準備が重要です。

「開業医自身・患者・スタッフ」の三方良しの状況を構築することで、歯科医院の経営を長く続けることができます。

新規開業にあたって、歯科向けのクラウド型業務支援システム・Dentisを導入される先生も多くいらっしゃいます。電子カルテ・レセプトといった基幹機能だけでなく。Web予約、Web問診、決済、オンライン診療、自動メッセージ送信、サブカルテ、訪問歯科、集患用ポータルサイト「CLINICS」への掲載など、1つのシステムにさまざまな魅力が詰まったシステムです。

「患者とのつながりを強化する機能」「スタッフの働き方改革を実現する機能」の両方を網羅することで、歯科医院の経営安定化に貢献します。以下のページから「3分でわかるDentisの資料」を無料でご覧いただけますので、ぜひお気軽にダウンロードしてください。



また以下のページでは「実際に開業と同時にDentisを導入し、順調にスタートダッシュを切った歯科医院様」の導入事例をご覧いただけます。ご興味のございます方は、こちらもご一読ください。

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