経営難に陥る歯科医院の特徴は4つ|経営難を防ぐ方法や経営の実態についてわかりやすく解説します!

経営難に陥る歯科医院の特徴は4つ|経営難を防ぐ方法や経営の実態についてわかりやすく解説します!

2024年01月22日

歯科医院の休廃業または解散は増加傾向にあり、これらを防ぐためには集患対策や経営戦略の策定、システムやツールの導入による業務効率化が欠かせません。

本記事では、歯科医院における経営の実態や経営難に陥る歯科医院の特徴について解説します。また、歯科医院における経営難を防ぐための対策についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Dentis編集部

記事監修

株式会社メドレー Dentis編集部

歯科や医療に関する情報をわかりやすく発信しています。システムに関する情報だけでなく、医院経営や最新のトピックについても幅広くお届けしています。

歯科医院における経営の実態とは?

歯科医院の経営実態については、厚生労働省の「第23回医療経済統計調査」によると、歯科医院の年間平均売上高は約4,574万円で、月間に換算すると約380万円となります。もちろん、月間売上が380万円を大きく上回る歯科医院もあり、逆に下回る歯科医院も存在します。

割合としては、10件の歯科医院のうち全体の3〜4件が平均売上高を上回り、6〜7件が平均以下の実績です。

参考:厚生労働省「第23回医療経済統計調査」

歯科医院の休廃業または解散は増加傾向にある

帝国データバンクの調査によると、歯科医院の休廃業または解散は増加傾向にあることがわかります。2019年に75件だった医院の数は、2020年には83件、2021年に84件と微増しております。ただし、84件のうち倒産した歯科医院は10件に限られます。

歯科医院の休廃業や解散数が増加している原因として、院長や理事長の引退や全国的に歯科医院の数が多く競争が激化していることが背景にあるともいわれています。

参考:帝国データバンク「医療機関の休廃業・解散、倒産の 17 倍超」

ユニット数が少ない小規模医院は減収傾向にある

歯科業界の現状は、大型医院と小規模医院の間で明確な二極化が進行していると指摘されています。具体的には、ユニット数が多く、より多くの患者を受け入れられる大型医院は増収傾向にあります。

一方で、ユニット数が制限される小規模医院は、収益面でのプレッシャーが高まっており、減収傾向にあるのです。この現象は、医療提供の規模と効率性が直接的に経営状況に反映されるためです。

小規模医院が増収を目指すためには、他院との差別化やサービスレベルの向上など、新たな戦略が求められます。
参考:厚生労働省「令和4年版厚生労働白書」

経営難に陥る歯科医院の特徴

次に経営難に陥る歯科医院の特徴について解説します。

  1. 院長が経営にリソースを割けていない
  2. 集患ができていない
  3. 離職率が高い
  4. 人件費率が高い

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.院長が経営にリソースを割けていない

経営難に陥る歯科医院の特徴として、院長が経営に必要なリソースを割けていない点が挙げられます。多くの歯科医師は、治療技術に長けていますが、経営状況の管理に対しては苦手意識を持っている可能性があります。

この問題を解決するためには、院長自身が経営全般を一人で決断するのではなく、専門家の意見を取り入れたり、経営に関する課題をほかのスタッフや外部のプロに委託する必要があるのです。

このように、経営のプロフェッショナルにアドバイスを仰ぐことで、医院の弱点を補強し、経営資源を最適化できます。

2.集患ができていない

歯科医院の経営環境は、医科診療所と比べて競争が激しくなっており、集患対策が重要です。現在、医科診療所はすべての診療科目(内科・小児科・皮膚科など)を合わせても約10万件なのに対して、歯科医院の数は約7万件あります。

この数字は、歯科業界だけでの競争が高まっている事を示しており、適切な宣伝や広告が重要であることを示唆しています。集患への投資をせずに経営を続けることは、新規の患者獲得を遅らせ、その結果、経営が困難になるおそれがあるのです。

3.離職率が高い

歯科医院の経営難は、離職率の高さも原因のひとつです。離職率が高い原因として、給与や長期間労働に不満を持つスタッフが多いことも挙げられます。これらの職場環境や待遇を改善するためには、業務の改善や手当の見直しなどを図り、長期的な雇用につながる工夫が重要です。

さらに、歯科医院で働くスタッフの多くは女性であり、結婚や出産を機に離職を検討するケースが多いです。そのため、家庭や育児に専念できる職場環境を提案することが、離職率の低下につながります。

4.人件費率が高い

歯科医院の経営難の一因は、人件費率の高さです。歯科医療は高度なスキルと知識を持つスタッフが必要であり、そのためには高い給与水準が求められます。

経費管理が適切に行われないと、経営に大きな負担がかかります。特に、スタッフの過剰な雇用や、無駄な残業、効率の悪いシフト管理などが問題です。

経営者は人件費の最適化とスタッフの効率的なトレーニングや技術の向上に投資し、高品質な治療を提供しつつ、コストをコントロールする必要があります。


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歯科医院における経営難を防ぐための対策

次に歯科医院における経営難を防ぐための対策について解説します。

  1. 自分以外の人の力を積極的に借りる
  2. 集患施策を実施する
  3. スタッフを育成して属人化を防ぐ
  4. システムやツールを導入して診療や事務業務の効率を上げる
  5. 自費診療の割合を高めて収益構造を改善する
  6. 経営計画書や事業計画書を作成する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.自分以外の人の力を積極的に借りる

歯科医院の経営には多岐にわたる業務が存在し、それらすべてを一人で担当することは非常に困難です。そのため、歯科医院の経営を成功に導くには、人の専門知識やスキルを活用することが、成功への鍵となります。

たとえば、勤務医を採用して診療を分担するやり方や、経営コンサルティングの専門家にアドバイスを求める方法が考えられます。しかし、外部の力を借りるにはコストがかかるため、経営者としての視点で、必要な支出と収益のバランスを常に考慮し、適切な判断が必要です。

2.集患施策を実施する

歯科医院の数は日本全国で非常に多く、競争も激しいため、多くの患者に選ばれるための対策は安定した経営のために不可欠です。これを実現するために、効果的な広報活動が重要になります。

広報活動は多岐にわたり、新聞広告、ウェブサイトやブログの運営、地域のイベントへの参加、さらにはメディア出演やSNSを通じた情報発信などがあります。これらは、医療対象となる地域のニーズに合わせた適切なメッセージを発信することが重要です。

広告を打ち出す場合は、医療広告ガイドラインに沿った内容であることが求められます。たとえば、説明のない術前・術後の写真掲載、ほかの医療機関や医師との比較は規制されますので、医療広告ガイドラインについても事前に確認しておきましょう。

なお、歯科医院の集患に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。

Dentis|歯科医院の集患方法とは?開業前に意識すること・患者離れを防ぐコツも紹介

3.スタッフを育成して属人化を防ぐ

歯科医院の経営を成功させるのに重要なのは、スタッフを育成し、属人性の低い組織を作ることです。患者に最高のサービスを提供するためには、医院の各ポジションでの高いパフォーマンスが求められます。

特定のスタッフに依存する「属人性」は、そのスタッフが離職した際など経営に大きな影響を与えます。各スタッフがその役割を見据え、専門性を高めることが必要です。

また、スタッフのモチベーション維持は、経営の成功のために欠かせない要素です。業務に対する達成感や成長の機会を提供し、仕事の価値を共有することで、スタッフ全員が一体となって医院の発展を目指せます。

4.システムやツールを導入して診療や事務業務の効率を上げる

歯科医院の経営において、診療や事務業務の効率化は重要な課題です。現代のIT技術を活用することで、これらの業務の効率が大幅に向上します。

具体的には、電子カルテシステムを利用することで、患者情報の正確な管理と迅速なアクセスが可能になります。これにより、診療時間の短縮やカルテ作成時間の削減、ミスの減少が可能です。

さらに、会計や在庫管理などのバックオフィス業務に関しても、適切なソフトウェアの採用により、時間とコストの節約が可能です。これらのシステムやツールの導入は、医院の業務効率を大幅に改善し、最終的には経営の安定化と成長につながります。

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5.自費診療の割合を高めて収益構造を改善する

歯科医院経営の安定と成長には、自費診療の割合を高め、収益構造を改善する戦略が効果的です。全国平均の自費診療率は約10〜15%ですが、この割合を増加させることで、医院の経済基盤を強化できます。

自費診療は保険診療に比べ、医院に直接的な収益をもたらします。成功への鍵は、自院の状況を精査し、自費診療に適した患者層や治療内容を特定することです。

データを活用して、自費診療を希望する患者の動向や来院経路を分析し、目標となる患者層に合ったマーケティング戦略を展開する必要があります。

参考:ミック「自費率が高い歯科医院は何が違う?自費率向上の考え方とポイント」

6.経営計画書や事業計画書を作成する

歯科医院の経営難を防ぐ鍵は、経営計画書や事業計画書の策定とその実行にあります。これらの文書は、目標の設定と具体的な行動計画を明確にし、事業の方向性を決めるためのものです。

ただし、計画通りに事業が進むとは限らず、予期せぬ利益の増加や患者数の減少が起こる場合もあります。このような変動に対応するためには、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を回して、常に改善することが重要です。

歯科医院の経営難に関するよくある質問

最後に歯科医院の経営難に関するよくある質問について紹介します。

  • 【質問1】開業医の廃業率はどのくらい?
  • 【質問2】歯科医院では治療と経営のどちらが大事?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

【質問1】開業医の廃業率はどのくらい?

歯科開業医の廃業率は、2021年における帝国データバンクの調査によると、歯科医院の総数68,024箇所に対して、閉院数は84件となっており、廃業率は約0.001%となります。

企業における廃業率の年平均が4%程度であることを鑑みると、歯科医院の廃業率が極めて低いことがわかります。

参考:帝国データバンク「医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)」
参考:立法と調査「企業の開業率・廃業率の動向と事業承継問題」

【質問2】歯科医院では治療と経営のどちらが大事?

歯科医院での治療は、医師の専門的な技術と知識を患者へ提供する過程であり、その質が医院の評価を大きく左右します。一方、経営は医院が持続可能な形でサービスを提供し続けるための重要な要素です。

治療が優れていても、経営が綱渡りの状態だと医院は継続の危機に陥ります。逆に、経営がしっかりしていても、治療の質が低ければ患者はその病院を選びません。

このように、治療と経営は相互に影響し合い、どちらもバランス良く取り組む必要があります。

まとめ

この記事では、歯科医院における経営の実態や経営難に陥る歯科医院の特徴、歯科医院における経営難を防ぐための対策について解説しました。

歯科医院の休廃業または解散は年々増加傾向にあり、これらを防ぐためには、院長がすべての業務を担うのではなく、勤務医を採用して診療を分担したり、経営コンサルティングの専門家にアドバイスを求めたりすることが有効です。

また、適切な集患対策の実行や経営戦略の策定、システムやツールの導入による業務効率化が欠かせません。この記事を参考に、経営難を防ぐための対策を取り入れてみてください。

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