歯医者における自由診療とは?メリットや導入に失敗する歯医者の特徴、成功に導くポイントも徹底解説!
2024年01月22日
歯科医院が自由診療を導入することにより、保険診療でカバーしきれない患者のニーズに適した治療法の提供や売上増加が可能になります。
本記事では、歯科医院における自由診療の概要や自由診療と保険診療の併用について、歯科医院が自由診療を提供するメリットについて解説します。また、自由診療の導入を成功に導くためのポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
記事監修
株式会社メドレー Dentis編集部
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INDEX
- 歯医者における自由診療とは?
- 自由診療・自費診療の市場規模
- 保険診療との違い
- 自由診療と保険診療は併用できる?
- 日本では混合診療は原則禁止
- 先進医療に該当する医療は例外として認められる
- 歯医者が自由診療を提供する3つのメリット
- 1.売上の増加を期待できる
- 2.保険診療でカバーしきれない患者のニーズに適した治療法を提供できる
- 3.より耐久性の高い材料を使った治療ができる
- 自由診療の導入に失敗する歯医者の特徴は4つ
- 1.患者に適切に情報提供できていない
- 2.現場スタッフの納得を得られていない
- 3.必要以上にスペックが高い機器を導入している
- 4.相場より高い価格設定をしている
- 自由診療の導入を成功に導くためのポイントは5つ
- 1.患者のニーズを事前にリサーチする
- 2.カウンセリングや見積もりに対応できる仕組みを設ける
- 3.サービスの提供に要するスキルを習得する
- 4.スタッフ向けに研修や勉強会を実施する
- 5.適切な企業・機器を選定する
- まとめ
歯医者における自由診療とは?
自由診療は「自費診療」「保険外診療」とも呼ばれています。保険診療のような制限がないため、さまざまな材料や技術を使用した治療が可能です。
ここからは、自由診療の市場規模や保険診療との違いについてお伝えします。
自由診療・自費診療の市場規模
自由診療や自費診療の市場は、健康や美容に関するニーズの対応とともに拡大しています。特に、審美や健康、アンチエイジングなどの診療に対するニーズは増加傾向にあり、多くの歯科医院でも取り入れられています。
厚生労働省「第24回医療経済実態調査(2023年)」によると歯科診療所の医業収益に占める自由診療の割合は21.4%とされています。
1施設あたりの年間の自由診療による収益は、約1,470万円ということになります。
また、2019年時点で歯科診療所は約68,500施設あるため、日本全体の歯科医院における自由診療による収益は、約1兆円に上ると推定されます。
厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によると、2020年時点での保険診療の歯科診療医療費は年間約3兆円とされているため、自由診療の占める割合の高さが伺えます。
今後、治療から審美への興味関心がより一層高まると予想されるため、市場の動向を捉えながら準備を進めることで、歯科医院として患者の需要に応えられるようになるでしょう。
保険診療との違い
保険診療は日本の公的医療保険制度によって定められた範囲で行われる治療のことで、患者が受ける治療費の一部を自己負担し、残りを社会保険や国民健康保険が補うシステムです。基本的に自己負担は診療費の3割ですが、年齢や疾患により、2割や1割というように変動することもあります。
自由診療は、保険適用が認めらず、材料費や技術費を患者が負担することとなる一方、多様な治療や特定のニーズに合わせた治療の選択が可能です。
また、歯科医院側も治療の内容や価格を自由に設定可能です。このように、保険診療と自由診療は、負担の仕組みや治療の内容、選択の幅において違いがあります。
自由診療と保険診療は併用できる?
次の自由診療と保険診療の併用について解説していきます。
日本では混合診療は原則禁止
日本では、患者が望む部分を自由診療で実施し、ほかを保険診療で行う「混合診療」が原則禁止されています。
先進医療に該当する医療は例外として認められる
日本の医療制度では、通常、健康保険が適用されない治療を受けると、その治療はすべて自由診療となります。ただし、先進医療に該当する医療は例外として、ほかの治療との混合診療が認められています。
この制度の目的は、新しい医療技術の普及を促進しながら、患者に正しい治療を提供することです。歯科医療の分野においても、この制度の適用は可能ですが、制度を活用するには一定の条件があります。
すべての歯科医院で先進医療を提供できるわけではなく、厚生労働によって認定を受けた病院のみが可能です。
歯医者が自由診療を提供する3つのメリット
次に歯科医院が自由診療を提供するメリットについて解説します。
- 売上の増加を期待できる
- 保険診療でカバーしきれない患者のニーズに適した治療法を提供できる
- より耐久性の高い材料を使った治療ができる
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.売上の増加を期待できる
歯科医院が自由診療を提供することで、売上の増加が期待できます。自由診療は保険外の治療や歯科矯正など、高付加価値な治療を提供できるチャンスです。
特に審美歯科は保険診療に比べて料金が高いケースが多く、売上も増加しやすくなります。また、自由診療は患者の選択肢を広げ、自院の競争力を高める助けにもなります。
2.保険診療でカバーしきれない患者のニーズに適した治療法を提供できる
歯科医院が自由診療を提供する際のメリットの1つは、保険診療にはない治療法の提供です。自由診療として提供するインプラントやホワイトニングなどは、患者のニーズに応えられる治療の代表例といえます。
保険診療は、一定のルールに基づいた材料や治療法しか選択ができないため、患者が思い描く状態にできない場合も少なくありません。その点において、幅広い選択ができる自由診療は、患者のニーズと満足度を高められる方法といえるでしょう。
3.より耐久性の高い材料を使った治療ができる
歯科医院が自由診療を実施するメリットの1つに、より耐久性の高い材料を使用した治療が可能になる点が挙げられます。保険診療では、治療に使える材料が制限されているため、長期的な耐久性や審美性の追求が難しいとされています。
しかし、自由診療であれば、これらを重視した材料での治療が可能です。特に、インプラント治療にて使用するジルコニアのような高品質な材料は、その強度と天然歯に匹敵する見た目の良さで知られており、プラークの付着も少ないため、口腔内の健康維持に最適です。
自由診療では患者のニーズに合った質の高い材料を提供することで、長期的な満足度の向上につながる治療を提供できます。
自由診療の導入に失敗する歯医者の特徴は4つ
次に、自由診療の導入に失敗する歯科医院の特徴について解説します。
- 患者に適切に情報提供できていない
- 現場スタッフの納得を得られていない
- 必要以上にスペックが高い機器を導入している
- 相場より高い価格設定をしている
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.患者に適切に情報提供できていない
自由診療の導入に失敗する歯科医院の典型的な例は、情報提供が十分にできていない場合です。自由診療は高額な治療費を支払うため、それだけの価値があると感じられなければ、患者は治療を希望しません。
そのため、治療の価値をしっかりと伝えるコミュニケーション能力や、高い技術力が求められます。また、ほかの歯科医院との差別化を図る戦略や価値の高いサービスの提供が、自由診療を成功に導く鍵となります。
自由診療がもたらす治療技術や優れた結果を効果的にアピールするため、チラシや掲示物は大きな役割を果たします。
なお、歯科医院のチラシを活用した宣伝活動については、こちらの記事も参考にしてみてください。
参考記事:【歯科医院向け】チラシの効果を高める5つのコツ|効果や活用するメリット、注意点を徹底解説!
2.現場スタッフの納得を得られていない
歯科医院で自由診療を導入する際には、スタッフの理解を得ることが大切です。歯科医院の院長だけが自由診療の意義や必要性を感じていても、現場のスタッフがそれを理解していなければ、導入は困難なものになります。
もし、納得していないスタッフがいる場合、治療の提供がスムーズに進行せず、患者にもその不調和を感じさせてしまうかもしれません。そのため、スタッフへ自由診療の目的やメリットを明確に伝え、スタッフに対する適切な研修や情報共有を欠かさないようにしましょう。
また、スタッフの懸念が自由診療による負担の増加である可能性が考えられるため、いかにスタッフの負担を軽減し、自由診療を提供できる効率性を持たせられるかが重要です。
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3.必要以上にスペックが高い機器を導入している
自由診療の導入を成功させるためには、慎重な経営判断が求められます。特に、高スペックな医療機器の過度な導入は、経営状況のリスクが高まる原因となります。
最新の医療機器はさまざまな魅力があり、質の高い治療を提供するための効果的な手段です。しかし、そのコストとのバランスを考慮しないまま、多くの機器や過剰なスペックの機器を導入すると、経営に大きな負担をもたらします。
維持費や管理費も考慮すると、その投資が本当に必要かどうかを見極めることが大切です。
4.相場より高い価格設定をしている
自由診療を成功させるための1つの鍵は、適正な価格設定にあります。価格が相場よりも高く設定されている場合、患者の受診意欲が低下するおそれがあります。
特に、高額な治療や施術を提供する際には、価格の妥当性を患者に伝える努力が必要です。患者に価格の妥当性が伝わらないまま、高い価格設定になってしまうと、患者はその価格差を理解できず、ほかのクリニックを選択してしまう可能性が高まります。
そのため、市場の相場や他院の価格を把握し、それに基づいて適切な価格設定を行うことが大切です。高い技術や独自のサービスを提供する場合、その価値を明確に伝えるコミュニケーションが求められています。
自由診療の導入を成功に導くためのポイントは5つ
最後に、自由診療の導入を成功に導くためのポイントについて解説します。
1.患者のニーズを事前にリサーチする
自由診療の成功のためには、患者のニーズを正確に捉えることが大切です。歯科医院が自由に治療内容や価格を設定できる自由診療の魅力は大きいものの、その内容が患者の期待に応えられなければ効果は期待できません。
ニーズの事前リサーチでは、どのような治療やサービスが求められているのか、また、どの価格帯での提供が望まれているのかを明確にする必要があります。
例えば、地域の患者層が高齢者が多い場合、予防歯科や入れ歯の調整に特化した自由診療のメニューにニーズがあることが考えられます。また、若い世代が多い地域では、ホワイトニングや矯正歯科にニーズがあることが考えられます。その地域やクリニックの特色を活かしたサービス提供が、自由診療の成功を後押しするポイントになります。
2.カウンセリングや見積もりに対応できる仕組みを設ける
自由診療の成功において、カウンセリングや見積もりの対応は極めて重要です。歯科治療は医療行為であると同時に、患者の生活の質を向上させるサービスとしての側面も持ちます。
自由診療では、特に患者の自己負担額が高価になるため、その価値をしっかり伝えるカウンセリングが欠かせません。治療内容や費用、期間などの詳細を明確に伝え、患者の疑問や不安を解消することで、治療への理解と納得感を高められます。
また、見積もりを明確に提示することで、患者は治療にかかるコストを把握し、計画的な治療を受けられるようになります。歯科医院としても、納得のいく治療を提供することで、信頼関係の構築や再診の機会が増える可能性があるのです。
3.サービスの提供に要するスキルを習得する
自由診療の導入にあたり、治療の質を高めるためにも、継続的なスキルアップが不可欠です。特に歯科医院では、最新の治療法や技術を取り入れることが求められています。
これには、定期的な研修やセミナーへの参加、専門書の閲読、同業者との情報交換などが有効です。また、新しい機器の導入も考慮に入れ、その操作に関する適切なトレーニングを受けることが重要です。
スタッフ全員が最新の知識と技術を身につけることで、患者への適切な治療提供が可能になり、歯科医院の信頼性と満足度が向上します。
4.スタッフ向けに研修や勉強会を実施する
自由診療の導入を成功に導くためのポイントは、スタッフ向けに研修や勉強会を実施することです。
本記事でも説明しておりますが、自由診療の導入を成功させるためには、チーム全体が連携し患者に対して自由診療を案内し提供することが重要です。
研修と勉強会を実施することで、スタッフがモチベーションを高め、専門知識を習得し、患者に対して自信を持って自由診療を案内できるようになります。
5.適切な企業・機器を選定する
自由診療の導入において、適切な企業と機器の選定は欠かせない要素となります。他院や勉強会での情報交換は、企業選びの参考となる貴重な情報共有の場です。
機器の購入を検討する際には、費用や性能、耐久性、アフターサポートなどを総合的に評価するようにしましょう。また、購入後のメンテナンスや修理の手間、コストも考慮する必要があります。
これらの正確な情報をもとに、最も適切な企業と機器を選定することで、自由診療の品質が向上し、患者からの信頼獲得が可能になります。
まとめ
この記事では、歯科医院における自由診療の概要や保険診療との併用、自由診療を提供するメリットや導入を成功に導くためのポイントについて解説しました。
歯科医院が自由診療を導入することにより、売上増加や保険診療でカバーしきれない患者のニーズに適した治療法の提供が可能になります。しかし、自由診療の導入を成功させるには、いくつかのポイントを押させておく必要があります。
特に、自由診療の導入によって、院内スタッフの業務負担が増える結果につながる場合、スタッフの協力を得ることが難しいかもしれません。このような課題に対処するためには、歯科医院の業務効率化を検討してみてください。
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記事監修
株式会社メドレー Dentis編集部
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