【院長必見】歯科医院の開業に必要な費用と目安|調達方法や費用を抑えるコツもご紹介!
2023年07月04日
「自分の歯科医院を開業したい」「でも、どのくらいのお金を準備すればよいかわからない」
このように悩んでいる歯科医師は少なくないでしょう。歯科医院を開業するには、多額のお金を必要とします。そこで本記事では、開業資金の目安から内訳、調達方法について解説します。開業を検討されている先生は、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
- 歯科医院の開業費用が高くなりやすい?
- 歯科医院の開業に必要な費用と目安
- 医療機器にかかる費用と目安
- 物件にかかる費用と目安
- 当面の運転にかかる費用と目安
- 集患にかかる費用と目安
- 自己資金の目安
- 歯科医院の開業資金を調達する3つの方法
- 1.銀行融資
- 2.国・自治体の補助金
- 3.親族・知人などからの借入
- 歯科医院の開業資金・自己資金を抑える5つのコツ
- 1.不要な経費を削減する
- 2.適切な形態で雇用 する
- 3.融資は余裕を持って借りる
- 4.リニューアルを前提とした資金繰り計画を立てる
- 5.自由診療による集患にも力を入れる
- 歯科医院の開業資金でよくある3つの質問
- 【質問1】歯科医院開業までの大まかな流れとは?
- 【質問2】医療機器は購入とリースのどちらが良い?
- 【質問3】歯科医院の開業を成功させるために重要なことは?
- まとめ
歯科医院の開業費用が高くなりやすい?
歯科医院の開業費用は、5,000万円を超える費用が必要とされています。
歯科医院の開業費用が高くなりやすい理由は、特有の設備及び医療機器に多額の投資が必要となるためです。たとえば、治療に必須となる機器や排水設備、レントゲンの防護工事など多岐にわたります。これらは歯科医院を経営していくにあたり、どれ1つとして欠かせません。
そのため、開業資金は極めて高額になる傾向にあるため、入念な資金計画を立てることや開業資金を確保する方法についても理解しておくことが大切です。
歯科医院の開業の流れや必要な手続きを知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
歯科医師の開業について知っておきたいこと! 流れ・手続き・成功のためのコツを紹介
歯科医院の開業に必要な費用と目安
ここでは歯科医院の開業に必要な費用と目安について各項目に分けて解説していきます。
イニシャルコストとランニングコストの目安は以下になります。
医療機器 | 2,000万〜3,500万円 |
物件 | 2,000万〜3,000万円 |
運転資金 | 目標とする1ヶ月の粗利額の約半年分 |
集患にかかる 費用 | 150万~400万円 |
具体的に項目ごとにどのように費用がかかるのか紹介していきます。
医療機器にかかる費用と目安
開業資金でもっとも比重が高まるのが、医療機器にかかる費用です。金額の目安は2,000万〜3,500万円となり、多額の投資をしなければなりません。
主に購入する医療機器の内訳は以下の通りです。
- 歯科診療ユニット
- バキュームシステム
- エアーコンプレッサー
- 歯科材料
- 滅菌器
医療機器メーカーや機械の品質によって必要な投資額は変わりますが、治療に欠かせないものを最低限購入するだけでも2,000万円は準備しておく必要があるでしょう。
物件にかかる費用と目安
歯科医院の物件費用として、2,000万~3,000万円が必要です。賃貸契約金や内外装工事費なども開業資金の大きな割合を占めます。
上記金額は、テナントから開業する想定した目安ですが、好立地を選択した場合、さらに費用が必要となることも考えられます。
物件にかかる費用の内訳は以下の通りです。
- 敷金
- 礼金
- 前払い家賃
- 仲介手数料
- 内外装工事費
当面の運転にかかる費用と目安
歯科医院に限らず開業後は、収入が安定しないことは決して 珍しくありません。歯科医院の場合、患者が増えるまでに時間がかかりますし、開業から当面2ヶ月は保険診療収入が入らず、自費診療からしか現金を得られません。
そのため、開業資金として、しばらく収入がほとんどなくても医院を続けられるだけの運転資金を用意しておく必要があります。最低でも、1ヶ月の粗利益額半年分の運転資金を準備しましょう。たとえば、毎月300万円の粗利益を見込むのであれば、1,800万円の運転資金が必要です。
集患にかかる費用と目安
集患にかかる費用の目安は、150万~400万円です。ほかの投資額と比較すると少なく感じますが、広告費・求人費も準備しておきたい費用です。
広告費としてはチラシやリーフレットのほか、ホームページ開設にかかる費用も含まれます。広告費・求人費は、歯科医院のソフト面を充実させるために欠かせません。主な内訳は以下の通りです。
- Webサイト制作費
- 求人媒体への掲載費用
- チラシ・リーフレット
自己資金の目安
ここまでご紹介してきた費用をまとめると以下の通りです。
- 医療機器:2,000万〜3,500万円
- 物件費用:2,000~3,000万円
- 運転資金:粗利益額の半年分
- 集患費用:150〜400万円
状況によって変動しますが、開業資金は4,500万円〜5,500万円程度を必要とし、自己資金についても1,000万円〜2,000万円が目安とわかります。
歯科医院の開業資金を調達する3つの方法
歯科医院の開業資金を調達する方法には、以下の3つが挙げられます。
- 銀行融資
- 国・自治体の補助金
- 親族・知人などからの借入
ここでは方法ごとの詳しい内容を解説します。
1.銀行融資
歯科医院の開業資金は、1,000万円程度を自己資金から捻出し、残りは銀行から融資を受けることが一般的です。融資額は、個人や経営計画によって異なります。具体的な開業時期を決めたら、まずは金融機関へ出向いて相談してみてください。
また、開業資金で大きな割合を占める医療機器を、購入ではなくリース契約とすることや、運用システムをオンプレ型ではなくクラウド型にすることで初期投資を抑えることも選択肢のひとつといえます。一般的にオンプレ型のシステムを導入すると、導入に数百万円かかります。ここをサブスク型のクラウドにすることで、初期投資を抑えるという方法を取ることもおすすめです。
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2.国・自治体の補助金
国及び自治体からの補助金を活用することも検討してみてください。補助金には、以下のようなものが挙げられます。
- 医療施設等施設整備費補助金
- 臨床研修費等補助金
- 働き方改革推進支援助成金
医療機関として申請できる補助金は多岐に渡ります。そのため、条件が一致するのであれば利用を検討してみてください。
注意点としては、書類申請から審査を経て、融資が決定するまでには長い時間が必要となることです。また、必ず審査に通過できる保証はなく、入金されるまでに時間を要するおそれがあります。
そのため、補助金を当てにしすぎると資金計画に狂いが生じることも考えられます。この点を理解したうえで資金を準備してください。
3.親族・知人などからの借入
親族や知人から借り入れることも開業資金の調達で良く使われる手段です。ポイントは、トラブルを未然に防ぐために借用書を作成することがあげられます。
さらに、滞りなく返済できる額だけを借りることが重要です。知っている仲だからといって甘い目測で借りすぎないようにしてください。親族や知人から借り入れる方法は、親しい仲であり、個人を信用しているからこそ使える手段だといえます。
歯科医院の開業資金・自己資金を抑える5つのコツ
歯科医院の開業資金・自己資金を抑えるコツは、以下の5つが挙げられます。
- 不要な経費を削減する
- 適切な形態で雇用する
- 融資は余裕を持って借りる
- リニューアルを前提とした資金繰り計画を立てる
- 自由診療による集患にも力を入れる
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.不要な経費を削減する
歯科医院の医療機器や設備に不要なものは何一つありません。しかし、すべてを新品で賄う必要性はないといえます。医療機器の場合はリース契約を利用すること、そしてシステムの場合は、オンプレ型ではなくクラウド型を利用することで経費を抑えることができます。
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また、内外装や設計料についても複数の業者へ依頼して相見積もりを取るように心がけることで経費削減につながります。同じようなデザインでも工夫して、少しでも安く抑えるように意識してみてください。
2.適切な形態で雇用する
歯科医院を経営するには、必要最低限のスタッフはそろえなければなりません。しかし、雇用形態を工夫することによって、人件費は最適化できます。
たとえば、経営に必要なスキルを有している人は正社員として、未経験者はパートなどの雇用形態を選ぶことが挙げられます。ただし、開業を検討している人が適切な雇用形態を想定するのは難しいのが実情です。
3.融資は余裕を持って借りる
自己資金の額にもよりますが、銀行からの融資は余裕を持って借りましょう。開業資金は、事前に計画を立てていたとしても、想定外の出費が発生することはよくあることです。
また、診療報酬が入金されるのは2ヶ月後となるため、一般的な事業よりも運転資金にゆとりをもたせておかなければなりません。開業後に資金が不足し、追加融資を受けるには再び審査が必要です。そのため、開業資金は多めに借りておくようにしてください。
4.リニューアルを前提とした資金繰り計画を立てる
リニューアルを前提とした資金計画を開業当初から考えておくことも重要です。一般的に歯科医院は、開業後10年でリニューアルを検討します。これは、医療機器の買い替えや税金負担が大きくなることなどが理由です。
システムにおいても、オンプレ型を使用している場合、保守期間が切れてしまうと更新費用が初期費用と同様になるため数百万円となることもあります。一方でサブスク型のクラウドシステムを利用していると毎月定額の費用になるため大きなコストはかかりません。
歯科医院はリニューアルが前提となるため、システム導入の段階からリニューアルを前提とした計画を行うことが重要になります。
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また、新規患者数も頭打ちになる傾向にあり、新たなニーズに応えるためにもリニューアルは欠かせません。当然、開業時から10年後の資金を用意しておく必要はありませんが、リニューアルがあることを念頭に置いて計画を立てることが大切です。
5.自由診療による集患にも力を入れる
虫歯の罹患率は減少しており、現在、歯科医院の収入源は自由診療に比重が増えつつあります。自由診療は、単価を高めるために欠かせません。自由診療の例を挙げると、以下の通りです。
- マウスピース矯正
- セラミック治療
- 審美治療
自由診療をアピールする際、これらを受けることで得られるベネフィットを訴求することが大切です。そのため、自由診療の価値について、Webサイトやリーフレットなどを活用した情報提供が求められます。
歯科医院の開業資金でよくある3つの質問
歯科医院の開業資金でよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
- 【質問1】歯科医院開業までの大まかな流れとは?
- 【質問2】医療機器は購入とリースのどちらが良い?
- 【質問3】歯科医院の開業を成功させるために重要なことは?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
【質問1】歯科医院開業までの大まかな流れとは?
歯科医院を開業するまでの流れは以下のステップを踏むことが一般的です。
- 現在の勤務先を退職する(独立する1〜2年前)
- 歯科医院のあり方について構想を立てる
- 構想をもとに経営計画を立てる(10ヶ月前)
- 開業準備を進める(6ヶ月前)
- 着工・開業準備(3~4ヶ月前)
- 開業直前(1ヶ月前)
歯科医院を開業するには、少なくとも1年以上の準備期間が必要となり、ステップごとに必要な手続きがあります。入念に体制を整えれば、開業してからスムーズに経営へと移ることができます。次の記事では、歯科開業までの流れをさらに詳しく解説しています。
歯科医師の開業について、開業までの流れ・手続き・成功させるために重要な ことを紹介
【質問2】医療機器は購入とリースのどちらが良い?
ユニットやレントゲンなどの医療機器は購入・リースのいずれかの手段を選びますが、どちらが正しいというものではありません。それぞれの特徴は以下の通りです。
【購入した場合】
- 追加費用が発生しない
- 資産として扱われる
- 減価償却して経費計上できる
【リースした場合】
- 初期費用を抑えられる
- 事務手続きや経理処理が楽
- リース期間満了時に追加費用が発生する
それぞれメリット・デメリットが異なるため、自身の資金計画や将来的なことを総合的に考えて、適した方法で医療機器を揃える必要があります。
【質問3】歯科医院の開業を成功させるために重要なことは?
歯科医院を開業し、成功させるには以下のようなポイントを押さえる必要があります。
- コンセプトやターゲットを明確にする
- エリア選び及び差別化を意識する
- 目標設定する
- Webを活用した集患
- かかりつけ化
- スタッフが働きやすい環境の確立
歯科医院の院長は経営者的な側面もあり、治療だけではなく、経営目線を持ってこれらのポイントを計画・実行することが大切です。ただし、最初から完璧にできることはないので、トライアンドエラーを繰り返しながら少しづつ最適化を目指しましょう。
なお、次のページでは、歯科医院における開業で成功するためのコツを解説しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。
歯科医師の開業について、開業までの流れ・手続き・成功させるために重要なことを紹介
まとめ
今回は「歯科医院の開業資金」についてご紹介しました。歯科医院の開業は他業種よりも多くのお金が必要です。そのため、入念な資金計画を行いどのように調達するのか・どの項目にいくら投資するのかを判断しなければなりません。
開業資金に関してご紹介しましたが、開業の全体像を理解したい方は、以下の歯科医院開業の流れを読んで開業後に成功させるためのポイントを抑えていただければと思います。
歯科医師の開業について、開業までの流れ・手続き・成功させるために重要なことを紹介
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