2024年診療報酬改定のポイントは6つ|報酬改定のスケジュールもわかりやすく解説します!
2024年01月22日
2024年の診療報酬改定は、6年に1度の「トリプル改定」として注目されています。医療、介護、障害福祉サービス等報酬の3つにおいて、重要かつ大規模な改定になることが予測されます。
本記事では、2024年診療報酬改定の「トリプル改定」や診療報酬改定のスケジュールについて詳しく解説しています。また、2024年診療報酬改定のポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
2024年の診療報酬改定は「トリプル改定」
2024年の診療報酬改定は、医療、介護、障害福祉サービス等報酬の3つが同時に改定される「トリプル改定」として注目されています。
診療報酬は診療行為のサービス対価を決める制度であり、介護報酬は要介護者・要支援者へ、障害福祉サービス等報酬は障害者や難病疾患の対象者へのサービス対価を決める制度です。
このトリプル改定が起こるのは、6年に1度であるため、重要かつ大規模な改定となることが予想されます。
トリプル改定にも関わる「2025年問題」と「2040年問題」
トリプル改定に関連する話題として、「2025年問題」と「2040年問題」も注目されています。2025年問題は、団塊の世代が後期高齢者になることで医療・介護などを必要とする方が急増する課題の総称です。
一方、2040年問題は、生産年齢人口減少とともに社会保障費の増大や、インフラ、公共施設の老朽化が進む問題の総称です。特に、2040年には、第2次ベビーブーム世代が65歳を超え、65歳以上の人口が全人口の約35%になると予測されています。
これらの問題がトリプル改定に与える影響は大きいです。高齢者の医療・介護が増加するなかで、2040年問題対策として「生涯現役社会」をスローガンとする、高齢者が働きやすい社会づくりを重視したサービスの提供が求められています。
地域医療構想に向けた最後の改定となる
2025年は「地域医療構想」の最終年です。この構想は、各地域における将来の医療ニーズを先取りし、持続可能な医療提供体制を築くための取り組みです。
政府は、2014年6月に「医療介護総合確保推進法」を成立させ、そこで「地域医療構想」が制度化されました。背景にあるのは、日本の超高齢化社会の問題です。
第2次ベビーブーム世代が65歳を超える2040年まで、医療や介護のニーズが増加していくと予測されています。そのため、2025年に備え、医療や介護サービスの各地域における提供体制の整備が求められているのです。
参考:厚生労働省|地域医療構想
診療報酬改定のスケジュール
次期診療報酬改定について、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」が設置され、2023年3月から3回の会議が行われ、課題のすり合わせがされてきました。
ここでは、第8次医療計画や医師の働き方改革、医療DXなどが検討され、その後、入院、外来、在宅、歯科、調剤、感染症などについて広く意見交換が行われています。
例年通りであれば、2023年12月に改定率が決定し、2024年1月に個別の改定事項が示され、2月に具体的な点数が含まれた改定内容が回答される予定です。
2024年度診療報酬改定は6月1日施行に後ろ倒し
引用:厚生労働省「医療DXについて(その2)診療報酬改定時期を2ヶ月後ろ倒しした場合のスケジュール(案)」
医療DXについて(その2)によると、2024年度の診療報酬改定は、従来のスケジュールから一転し、6月1日の施行に後ろ倒しとなりました。この背景には、医療DXの議論のなかで、診療報酬改定の期間が短いために改定作業の負担が大きいことが課題として挙げられています。
これまでの改定期間は実質2〜3ヵ月と短く、医療機関・薬局等の改定作業が逼迫し、大きな負担がかかっていました。そこで、中医協総会において、2024年度診療報酬改定より、診療報酬改定が6月1日に施行することで了承されています。
2024年診療報酬改定のポイントは6つ
最後に、2024年診療報酬改定のポイントについて解説します。
- 外来医療の推進
- 第8次医療計画との関連
- 医師の働き方改革
- 診療報酬改定DX・医療DXのさらなる推進
- 介護サービスとの連携
- プログラム医療機器(SaMD)における評価の明確化
それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.外来医療の推進
2024年の診療報酬改定における重要なポイントは、外来医療の推進です。外来医療における課題として、「かかりつけ医機能」、「外来機能の分化の推進」、「オンライン診療」が挙げられています。
「かかりつけ医機能」については、国民への情報提供の強化や地域での協議体制の構築が重要視されています。
「外来機能の分化の推進」に関しては、外来機能の分化を促進するため、対象医療機関の拡大や保険給付範囲の見直しが行われているのです。そのため、対象範囲や患者負担の見直しに焦点が当てられます。
「オンライン診療」は、2022年の改定で大幅な変更があり、次期改定でも大々的な推進が予想されます。外来医療の充実と効率的な提供体制の構築が、2024年の医療報酬改定の注目ポイントです。
2.第8次医療計画との関連
2024年の診療報酬改定における重要なポイントの1つに、第8次医療計画が挙げられます。この計画では、高齢者の救急患者や特別なケアが必要な救急患者を受け入れるために、地域の救急医療機関の役割を明確にする必要があると考えられています。
具体的には、初期救急医療機関が軽症患者の夜間および休日の外来診療を提供し、第二次救急医療機関が高齢者救急や地域での初期診療と入院治療を主に担当し、第三次救急医療機関が重症患者に対して専門的な医療を提供するものとしているのです。
次期改定では、高齢者の救急搬送なども考慮し、急性期入院医療の提供と機能分化に焦点をあて、転院搬送などを含め、救急医療に係る評価の在り方などが論点となります。
3.医師の働き方改革
2024年の診療報酬改定の重要なポイントの一つは、医師の働き方改革に焦点をあてている点です。2019年からはじまった「働き方改革」推進のなかで、2024年4月から「時間外労働の上限規制」が医師でも対象となります。
今後は、医師をはじめとした医療従事者の柔軟な勤務体制、デジタルツールの活用、タスクシフティングなど、働き方改革の推進に対する診療報酬の評価の在り方が議論されることになります。
4.診療報酬改定DX・医療DXのさらなる推進
2024年の医療報酬改定における重要なポイントの1つは、「医療DX」と「診療報酬改定DX」の着実な推進です。医療DXは、医療DX推進本部によってまとめられた「医療DXに関する推進工程表」に基づいて進んでいます。
工程表において、2024年度中には電子処方箋の普及を進めることが計画されています。また、電子カルテ情報共有サービスの構築と情報共有の拡大も行われる予定です。
さらに、オンライン資格確認の範囲拡大も進められ、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療、地方独自の医療費助成などの情報がマイナンバーカードと連携され、次の感染症危機に対応するための対策も行われています。
診療報酬改定DXについても、2024年度には医療機関の電子カルテやレセコンの共通言語となるマスタと、それを活用した電子点数表の改善・提供が行われ、共通コストの削減を目指しています。
このように、医療DXと診療報酬改定DXの推進が進み、情報の標準化と効率化が進められ、医療の質と効率の向上が期待されているのです。
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5.介護サービスとの連携
次期診療報酬改定では、医療と介護の同時改定が進行しており、より一層の診療報酬と介護報酬の連携と調整が重要視されているため、「令和6年度の同時改定に向けた意見交換会」が設置されています。
具体的な改訂内容の検討のために、医療と介護の連携に関するさまざまなテーマが議論されています。たとえば、地域包括ケアシステムのさらなる推進や、リハビリテーション、要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療、訪問看護、薬剤管理などが検討されているのです。
この検討会では、医療と介護の相互のコミュニケーションを主体として、患者や家族と共有しながら質の高い医療・介護を実現するための姿勢が強調されています。また、情報提供の仕組みにおいて、主治医からも情報発信できる双方向性が求められています。
6.プログラム医療機器(SaMD)における評価の明確化
2024年度診療報酬改定において注目されるポイントの1つは、プログラム医療機器(SaMD)の評価の明確化です。
SaMDとは、医療機器にアプリや人工知能(AI)などの技術を組み込んだもので、禁煙外来におけるニコチン依存症治療アプリや一酸化炭素(CO)チェッカーなどがすでに利用されています。
デジタル技術を継続したSaMDの普及が進むなかで、診療報酬改定においてもこれに対応するため、SaMDの評価に関する基準やガイドラインが明確化されます。この評価の明確化により、新たな医療機器の開発や利用が行われ、患者への最適な医療サービスの提供が促進されることが期待されているのです。
まとめ
この記事では、2024年診療報酬改定の「トリプル改定」や診療報酬改定のスケジュール、2024年診療報酬改定のポイントについて解説しました。
2024年の診療報酬改定は、6年に1度の「トリプル改定」として注目されており、医療、介護、障害福祉サービス等報酬の3つにおいて、重要かつ大規模な改定になることが予測されています。
この報酬改定におけるポイントはいくつかあり、なかでも医療DXの推進について注目している人も多いのではないでしょうか。特に、2024年度中には電子処方箋の普及を進めることが計画されており、電子カルテ情報共有サービスの構築と情報共有の拡大も予定されています。
これらの動向をしっかりと理解し、事前の準備を進めておくことが求められています。
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